第23糞 猜疑心
訳あって少し遅れました。
申し訳ございません。
「えっ、金太ってあの……糸魚川の?」
浅川の失言により、ワイルドドラゴンが糸魚川金太というのが姫宮さんにバレてしまった。
『やっちゃいましたね〜アサカワさん』
「やったな〜浅川」
「マジでごめん!金太!……いやワイルドドラゴン!!」
「だからもう遅いって…」
浅川の失言によりワイルドドラゴンが金太だというのを理解したらしく、少しして姫宮さんたちが話し始めた。
「へ〜、糸魚川くんだったんだ…」
「金太だったのか〜」
俺はその反応を見て、1つの疑問が浮かび上がった。
なんで死んでしまった俺がゲーム内にいるのに驚きもしないんだ?
その疑問はもう1つの疑問を連鎖的に生んだ。
てか浅川たちもワイルドドラゴンが金太だって当てた訳だが、死人がゲーム内にいることには何の疑問も抱かなかったのか?
俺が黙りこくっていたためか、浅川が声をかけてきた。
「どうしたんだ?金太?」
「いや……ちょっと…確認なんだけどさ……俺って………死んでるんだよな?」
おかしなことを聞いているのは重々承知だが、自分の死が浅川たちにどう思われているのか気になってしまった。
「は?どんな冗談だよ笑
昨日もRINEしたじゃねーか笑」
「え?」
少しすると、浅川が笑いながらそう言った。
「そうだよ笑笑笑、つまんねー嘘つくなよ〜笑」
それに便乗して若林も同じようなことを言った。
「夏休み中だとしてもクラスメイトの人が亡くなったら連絡が入ると思うけど……」
そして姫宮さんも……
「……は?何なんw…こっちは本気で言ってるんだけど」
何かしら事情はあるのかもしれないとも思ったがなんかもう我慢できなかった。
「え?…………冗談なんだよな?」
「はぁ………ごめん、今日はもう帰るわ」
「ちょ、おい金太どこ行くんだよ!?」
俺はその場から立ち去った。
泊まっている宿で、ぼーっとしているとスカーレットさんが話しかけてきた。
『……キンタさん、さっきのですけど…もしかしたら浅川さんたちの記憶が…改ざんされてるのかもしれません…』
『……やっぱり…何かしら事情があるとは思ったんですよ……それで、その記憶の改ざんは…スカーレットさんがやったんですか?』
『いや、やろうと思えばできるんですけどやってないです!』
『……本当ですか?』
『本当ですよ!……信じられないですけど他の誰かがやってるとしか…』
『それ前から言ってますけど何なんですか!?
第一、神様が知らないことなんてないでしょ!!
………そうやってしらばっくれて僕のことを弄んでるんじゃないんですか!?』
『……だから、本当に違うんですって!!
………だって私は…私は……いつでも金太の味方だから!!!』
『!』そのスカーレットさんの言葉に俺はなぜだか懐かしさを感じた。
『…………そこまで言うなら信じてみますよ…』
そうは言ってみたものの、スカーレットさんのことをそこまで信じられないのが本音であった。
『……ありがとうございます』




