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うん、このゲーム糞だ  作者: 運 虎太郎
コロシアム編
23/27

第21糞 若林の末路

若林が浅川と尾股が何をしているのか分からないと言っている場面を見て、RINEとかで本人に聞けばいいじゃないかと思った方もいると思いますが、若林は浅川や尾股たちと連絡先を交換していません(浅川たちが交換しようと言っても若林は変なプライドを張り、断ります)。

そして若林たちが通っている学校は今、夏休み中なため若林は浅川たちに何をしているのか聞くことができないのです。

おれは五感ブレイカーをログアウトしたあと、明日ワイルドドラゴンと闘うのを思い出した。


『確かワイルドドラゴン、村1つ滅ぼしたみたいな話あったよなぁ…そんなん絶対ネナロみたいに強いやん〜』


正直、明日の決闘に対して『不安』という気持ちしか湧かなかった。尾股が負けたらしいからおれも負けるのかもという不安もあるのだが、それ以上にワイルドドラゴンにフルボッコにされて、痛い思いをするんじゃないかという不安の方が大きかった(ユーザー名に「ワイルド」ってあるし…)。


その後、おれはワイルドドラゴンとの闘いをどうにか避ける方法がないか頭を捻った。


その末辿り着いた、ワイルドドラゴンとの闘いを避ける方法は「おれの巧みな口上でワイルドドラゴンを説得する」というものである。


おれにとって、この方法は完璧と言ってもいい程最高なものであった。そのためおれの中では、ワイルドドラゴンと闘うことはもうないと決まったようなものであった。


その後完璧な方法を思いついた為か、さっきまでの不安はさっぱり消え、安心して就寝することができた。




おれは目を覚ました。いつもよりもなんだか早く起きれた上に、身体の調子もいい気がした。


「くあぁぁ〜……起きるか。」

そう言ってからおれは朝の身支度をし、そのあとはまたベッドに戻り、毎日恒例のネットサーフィンをした。


「はぁ、もう9時か…」

コロシアムでの決闘の開始時間は10時であった。そのため、決闘開始まで残り1時間という事になる。


「……あと残り1時間。」

そう思うと決闘開始時間が刻一刻と迫ってきてるんだという実感が湧き、なんだか緊張してきた。


「あっ、もう10時だ」

その後も10時になるまでネットサーフィンをしていたが、なんだか内容が頭に入らずただただ時間を潰すためだけに見ているという感じであった。




五感ブレイカーにログインすると、昨日慌ててログアウトした例の倉庫の外れの所にいた。


「やべ、急がねーと」

おれは今も近くにいるかもしれないネナロから逃げるのと、単純に時間に遅れているという2つの意味で急いだ。




「はぁ…はぁ……着いた。」

途中、森を抜け出す時に必要な謎のダンス(第5糞参照)に手こずり、コロシアムに着いたのは10時30分になった。


「遅いぞ……えーと…………!…小林!!」

コロシアムの戦場におれが入るが否や、姫宮がおれの名前を間違えながら叱ってきた。

「すいません…途中の森に手こずって……あと…」

「言い訳はいい!さっさと始めろ!!」

「…………はい。」

口では「はい」と言ったものの内心闘うつもりは全く無かった。


おれが「はい」と言ってから少し経つと、目の前にいたワイルドドラゴンが「よろしくお願いします」と言い戦闘態勢に入っていた。


戦闘態勢に入ったワイルドドラゴンは今にも襲いかかってきそうな気迫があった。

「殺っていいか?若林。」

いやもう襲いかかろうとしていた。


「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って!」

とおれは咄嗟に言い、携えた剣を地面に落とし両手をあげた。

そして続けざまに「降参だ!」と叫んだ。


「え?戦おうよ?」


「いやいやいや!村1つ滅ぼしたプレイヤーに勝てる訳ないから!!むしろ仲間になって欲しいくらいだし……あ!そうだそうだ!おれの友達を救って欲しいんだ!!村1つ滅ぼした力で!!」


「?……友達って茸澤のことか?」


「そうそう!茸澤!茸澤!ネナロってやつに洗脳されてるんだ!!」

おれがそう言うとワイルドドラゴンはぐいっと近づいてきて、おれの両肩に手を置きこう言った。

「その話、詳しく訊かせてくれないか?」

「え?……それって仲間になる…ってコト?!」

「あぁ!なるなる!」

「じゃあ闘わない?」

「あぁ!闘わない闘わない!」


「………………よっしゃーーーーーー!!!!」

少々危なかったところもあったがなんとかおれの完璧な口上で闘いを避けられた。嬉しすぎる…!


「……ちょっと待て!」

無事、闘いを避けられたことに浮かれていると後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえた。咄嗟に後ろを振り返ると、がらりと空いた観客席にポツンと浅川と尾股が座っていた。

「浅川〜!」

動向が分からなかった浅川たちに逢えて更におれの中の嬉しさは増した。


「若林が俺たち(・・・)の仲間になるのはもちろんいいけどさ……せっかくなら闘おうよ」

「え?」

「あぁ、そうだなオレも自分がどれだけ成長したのか知りたいわ」

「え?」

「よし!じゃあ改めて…いくぞ!若林!」

「え〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」

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