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うん、このゲーム糞だ  作者: 運 虎太郎
コロシアム編
22/27

第20糞 『魔呪』

この作品は不定期(・・・)更新です。

「え?ネナロ?誰だそいっ!!」


一瞬茸澤が振り向いたかと思うと、画面がいきなり真っ暗になった。


もしかしておれ、茸澤に殺されたのか?















少しすると、おれは死んだ場所で蘇っていた。


おれはなんでおれのことを茸澤は殺したのか、目の前にいた茸澤に問い詰めようと声を出した。


「茸澤ッ!」


するとそれを聞いた茸澤は振り返り、おれを見たかと思うと、眉間にシワを寄せ、息を荒らげながら近づいてきて、おれの胸ぐらを勢いよく掴んできた。

「フーッ……フーッ、……ネナロ様を、ネナロ様を呼び捨てにするなーーっっっ!!」


そう叫ぶ茸澤の姿は、仕事をサボってパチンコに行くように、自分には甘いくせにおれに対しては厳しい態度をとってくる父ちゃんのように見えた。


でも、そんな茸澤の姿には謎の威圧感があった。


その謎の威圧感は、おれを金縛りにあったのかのように動けなくさせた。


そのため、おれは茸澤の発言に対して、震えることでしか意思を通せなかった。


「ご、ごめん茸澤」

怯える中、咄嗟に出た言葉が茸澤への謝意が籠っていない謝罪であった。



「これだから能の無い人間は…で、ネナロ様、私はこれからどうすれば……」

「あぁお前にはこれからある技を伝授しようと思ってな」

「えっ!ネナロ様から技を!!大変光栄です!!!」

「そうかそうか、今から教える技はな、あまり人に知られてはいけない技なんだ。

だからそこにいる()をこの倉庫から追い出してくれないか?」

そう言いながら、ネナロ…様?というやつはおれに向かって指を差してきた。

「はい、承知しました」

ネナロ……様?の言葉を聞いた茸澤は、知らぬ間におれの脇に腕を通していた。

「ちょっ!何すんだよ茸澤!!」

「お前を外に出すんだよォ!」

おれを後ろに引きずっていこうとする茸澤の力に抗おうとしたがとても強くて出来なかった。

そしておれは引きずられるがままに引きずられ外に放り出された。





「くっそ〜」


おれはあんな糞野郎(茸澤)に対して何も反抗できなかったのがとても悔しかった。


それに対しての腹いせにか、茸澤とネナロの会話を盗み聞きしてやろうという考えが脳裏に浮かんだ。

その考えのもと、おれは茸澤たちがいる倉庫に耳を当てた。

そうするとボロボロになった倉庫だからか、茸澤たちの会話が微かに聴こえた。



「…今からお前に『魔呪(まじゅ)』を教える!」

「魔呪?…え!?あれって()なんですか??」


(2人の会話を聴くことはできたが内容が全く入ってこない……『魔呪』って何だ?)


「ん〜、なるっちゃなるのかなぁ……てか魔呪のことちゃんと分かってる?一応説明しとく?」


(ナイス!ネナロ!)


「いやいや!いいですよ、分かってますから…」


(糞野郎!茸澤!)


「本当?気遣ってない?」


(ナイス!)


「いや、本当に分かってますよ」


(糞野郎!)


「ちゃんと?」


(ナイス!)


「ちゃんと。」


(糞野郎!)


「そっかー…」


(糞〜…)




「……でも一応説明しとくね。」


(……ナイス!!)



「まず、『魔呪』は『ロッカン魔王にかけられた呪い』を省略したものなんだけどその呪いが……」

「五感がなくなる上に不老不死になるというもの……ですよね?」

「……うん、そうだね……

……それで、そのロッカン魔王にかけられた不老不死という呪いがダメージが通りづらいというゲームの仕様(・・)に繋がってて…そのことを……」

「……『魔呪』っていうんですよね」


「…………」


「そこは言わせてよ〜」


「すみません……というか本当に魔呪が使えるようにできるんですか?

ロッカン魔王が今も尚倒されてないことから、あれは仕様の域を超えてバグ(・・)だって言われてるくらいなんですよ!?」

「あ〜できるできる。

目には目を、歯には歯を……バグにはバグを!だよ!!」

「バグにはバグを…って一体どうするんですか?」

「五感ブレイカーのデータを改変するんだよ」

「え?それってチートじゃあ……」

「細かいことは気にしな〜い!」

「えぇ……」

「あ!まずその前にぃ……」








(なるほどなぁ)

(てか、何でネナロは魔呪のことを分かりきっている茸澤に説明したんだ?)









「それはお前に教えるために…だよ。」

(え?)

「聴いていいのはここまでだよ、お前。

これ以上聴いたらどうなるのかは分かるよな?」


正直どうなるのかは分からないが、ネナロからはおれの姿が見えてないはずなのに話しかけられ、脅されたというのが恐くて堪らなかった。その恐怖が行動に表れたかのように、おれはすぐさまその場から立ち去った。





その後倉庫から少し離れた所で、ネナロから逃げるようにログアウトした。

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