第13糞 さ〜〜〜~~〜~~~〜~~~~~~~~~~~~~~~~〜〜~~〜~~~〜~~〜〜~~〜~~~〜~~〜〜~~〜~~~〜~~〜〜~~〜~~~〜
1日遅れやした。
オレは尾股と戦おうとしていた。
「街の喧嘩じゃないんだ、覚悟しろよ」
「は、はい…覚悟します」
このゲームの世界に来てまも無い頃、スカーレットさんからこんな話を聞いた事がある。
※
『スカーレットさん、このゲームって役職とかないんですか?』
『役職って勇者とか魔法使いのことですよね?』
『はい』
『ん〜、五感ブレイカーにはそういうのは特にないですね、でも剣とか杖とかそういう武器はあるんで何にでもなれますね、キンタさんは今チュートリアルでゲットできる剣を身にまとってるんで勇者ですかね!』
『へー………このゲームって自由度が高いんですね』
『そうなんですよね〜糞ゲーだけどある意味「神ゲー」みたいな笑』
※
オレはその後松谷と出会った時にチョウカク村で新しく剣を買い今もその武器を使っている。(強さで言ったら中の上くらい)
尾股の方はというと、武器を何も持っていないため素手で勝負しそうな気配だ。そのため役職で言ったら「プロレス選手」だろう。
「街の喧嘩じゃない」と言っただけはあるくらい真剣な眼差しでこちらを見ていた。
しかし全然攻撃してこない。
攻撃しないでファイティングポーズをしながらずっとオレの周りをまわっていた。
そこでオレは考えた。
ここで『精神と時の部屋』を使えば倒せるんじゃないかと!
精神と時の部屋は技を当てた相手の中で流れる時間が遅くなる技。どうやらその技にかかったら、オレたちの1秒は相手の中では6分になるらしい。そのため、技を使いすぐに突撃すればどんなに反射神経が良くても絶対に避けられないだろう。(ちょっとせこいが)
オレはファイティングポーズでまわっている尾股に向かい『精神と時の部屋!』と言った。「勝った!」と思いながら、尾股の方へ突っ込んで行った……が尾股はすごい速さで上の方へ飛んでいった。
「え?」頭が真っ白になった。今自分が置かれている状況が飲み込めなかった。
『キンタさん!あれは「俊足」です!』
『瞬足?』
『いや、俊足です!』
瞬足のパクリでは?と思ったが今はそんなことどうでもよかった。
『このゲームにあるスピードやジャンプ力を上げる靴です!キンタさんが俊足を履いていないのを瞬時に理解して飛んだんです!空中にいればキンタさんの攻撃は絶対に当たらないんで!』
なるほどと思ったが明らかに飛んで上がるスピードが速すぎると思った。
『でも、明らかに飛ぶスピードが速いんですよね……』
『!、やっぱりそうですよね』
スカーレットさんも同じことを考えていた。
その後スカーレットさんと話し合った結果、『精神と時の部屋』の効果が切れる3分間を待ちながらこの後の作戦を考えることにした。
『それにしても空中でじっとしてるオマタさん、滑稽ですね〜』
『今はそんなことどうでもいいんですよって言いたいところですけど尾股って18時間空中にいることになるんですよね?』
『1分が6時間なんで確かにそうですね〜、でもゲームと現実で「時間」は連動してないんでオマタさん本人は3分待てばいいと思いますよ』
『なるほど……』
「さぁ〜〜〜~~〜~~~〜~~~~〜~〜」
上の方から声がした。その声は尾股の声だった。流れる時間軸が遅くなっているせいかずっと「さ〜〜〜~~」と言っている。
『シュールだなぁ』
『シュールですねぇ』
その後も尾股は微妙に身体を動かしながらずっと「さ〜〜〜~」と言っていた。その姿をずっと見ていると技を使ったことに申し訳なさを感じた。
「ごめん、尾股。」