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うん、このゲーム糞だ  作者: 運 虎太郎
一軍編
11/27

第11糞 『一軍』

オレのクラスには一軍男子が『4人』いる。


1人目が『将軍』浅川。

通り名の通り、いつも一軍男子の前線にいる。

その姿は一軍の中の一軍。

言うなれば『将軍』のようなものだ。


2人目は『寡黙な一軍』茸澤(たけざわ)

彼はずっとゲームをやっているため、会話の中で喋ることは滅多にない。

そう聞くと金魚の糞なのでは?と思うかもしれないが、彼には一軍にしかない『威圧感』を喋らずとも放ち、その威圧で一軍男子に上手く馴染んでいる。

まさに『寡黙な一軍』。


3人目は『普通に良い人』尾股(おまた)

彼は一軍の中のいじられキャラ(苗字からして分かると思うが…)。

いじられるといってもそんないじめみたいないじりではないし、本人もいじられることに抵抗を持っていなさそうだ。

そして彼はとても優しく、寛容だ。

金魚の糞なオレにも平等に話し掛けてくれる。

まさに『普通に良い人』。


4人目は『つまらん男』若林。

ウケた言葉を何回も言ったり、寝てない自慢をしたり、本当は頭良いと言いつつ、毎回テストの順位最下位...

全てに置いてつまらん男。

金魚の糞なオレもこいつにだけは気軽に話し掛けられた。

………若林やばし


そしてその4人が今、目の前にいる。




「お前がワイルドドラゴンか...

名前に似合うダサい格好じゃねーか笑」

『え!浅川!?』


「おいおい、あんまり煽るな

今日は『顔合わせ』だけなんだから...」

「はっ!すいません姫宮穣!!」

「分かったならよし」


『飼い慣らされてますね...アサカワさん』

『はは、たしかに...』


そういえば浅川、姫宮さんのこと好きだったな...

それじゃあ姫宮さんと近づくためにこのゲームをやってるのか...?




「よし!じゃあ最後に今回の戦いについて説明する!

今回はワイルドドラゴンだけ(・・)がレベルがカンストしているため一対多数というのも考えたが、それは不公平だと思ったんでな...

浅川の方から1日1人ずつワイルドドラゴンと戦うという形にさせてもらう!

その4日間の中で1人でもワイルドドラゴンに勝てたら、浅川たちをギルドに入れ、逆に1回もワイルドドラゴンに勝てなかったらワイルドドラゴンがギルドに入り、浅川たちには私に付き纏ってくるのを辞めさせる!!」


「付き纏うの辞めさせる...!?

冗談きついって、姫宮穣ぉ......」

「でも、辞めさせる(・・・・・)たってどうやって辞めさせるんだ?」


「私達のギルド全員でお前達のアカウントを通報する!

...大人数で通報すれば運営側も黙ってないだろうなぁ?」


「チッ」

質問をした若林は密かに舌打ちをした。…若林やばし




『姫宮穣辛辣ですねぇ〜、キンタさん幻滅しました?』

『こんなことで幻滅しませんよ』

『まぁキンタさん、Mですもんねー』

『なっ...!』

心が読まれるというのは心が痛い...




「コマクサ(姫宮穣のユーザー名)さん、質問いいですか?」

と、普段喋らない茸澤が言った。


「いいぞ」

「1日1人ずつ戦うって言ってましたけど、順番とかはこっちで決めちゃっていいんすか?」



「う〜〜ん...まぁいいぞ」

「わっ!ありがとうございます!!」

と言ったあと、手を下顎に当てながらボソッと、

「4日もあればイけるかなあ藁藁藁藁」

と言っていた。


その時の茸澤からは今までにない『威圧』を感じた。






この後、何事もなくオレたちの顔合わせは終わった。


そして今、姫宮さんに連れられ宿屋にいる。

どうやらこのゲームはセーブをする時に宿屋に行くらしい。


「はぁ〜、疲れたぁー」

『ゲームを初めて2日、ノンストップで活動してましたからね〜』


『えっ!まだ2日なんだ!』

人生で1番長い2日間かもしれない。

そんな生活があと53日続くと思うと先が思いやられる。


『てゆーかクエストってどうなったんですか?』

『ああ!確かに!クリアしましたね!次はどうしよっかなぁー』

『なんかめっちゃアナログですね...』

『まぁその場しのぎで考えてますから!』

『......そんな元気に言うようなことじゃないと思いますけど…』


『あっ!』

オレの話を聞かないで何か考え、閃いたらしい。


『...キンタさん、今日の姫宮さんに付き纏うアサカワさんを見てどう思いました?』

『どう思うかって言われても…付き纏ってるなぁーくらいにしか......』

『それって何かに似てません?』


いきなり話が切り替わり、オレの頭は混乱していた。

しかし、似てる何か(・・・・・)が何かすぐに思いついた。


『もしかして、金魚の糞...ですか?』

『はい!そうです!!

一軍男子が誰かの金魚の糞みたいにクラスカーストなんてものは人それぞれの見方で変わる様な曖昧なものなんですよ

そんな曖昧なもので一軍になるくらいなら、自分が好きな人と楽しく会話して人生の一軍(・・・・・)になりません?』


スカーレットさんのその言葉は『学校』という小さな視野を『人生』という大きな視野に変えてくれた。


「はい!俺、人生の一軍になりたいです!!」

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