第10糞 付き纏う奴ら
オレは遂に姫宮さんに出逢えた。
人気のない所にいた姫宮さんはいつも通り容姿端麗だった。
変わっている所といえば、髪の色が黒髪から赤髪に変わっていたことくらいだ。
しかし、小柄な姫宮さんには似合わないくらいの食べ物を喰らい漁った痕があった。
『姫宮さんあんな食べんだ…』
『どれだけ食っても太らないなら沢山食べたくなっちゃいますよ』
「おい、お前」
どうやら突っ立っていたオレに話し掛けたらしい。
「あっ!あぁ、すいません!食事の邪魔しちゃって…」
「いやいや、そんな事は気にしなくていい
……それより…そのヘルメットはどうしたんだ?」
その後、オレは「なんでヘルメットを持っているのか」、事情聴取紛いのことを姫宮さんにされていた。
どうやら『ヘルメット』という装備がこのゲーム内にはないらしく、その上「ドラゴンのヘルメットを被ったやつがチョウカク村を崩壊させた」という噂が広まっているらしい(その噂は松谷が広めたんだろう)。
以上の事からオレはランカーに目をつけられていたらしい。
では、何故姫宮さんは『ランカー』の枠内に入っているのか…
「おい!ワイルドドラゴン!私の話を聞いてるのか!」
「……もう一度お願いします」
「はぁ……」
とても深いため息を姫宮さんにさせてしまった。
「お前が頑なにヘルメットを持ってる理由を話さないなら、その代わりに私のギルドに入らないかと言ったんだ!」
「はい!入ります!!」
「即答だな!!」
好きな人と行動できるなら入るしかない!
『キンタさん普通もっと遠慮気味に言うんですよ…』
『神様に人間界の処世術言われても…』
『……キンタさん調子乗ってますね…』
「ギルドに入って貰えるのは嬉しいが、但し条件がある」
「それは…どういう条件ですか?」
「…実はな私にずっと付き纏ってくる奴らがいるんだ。ワイルドドラゴンにはそいつらと戦って勝ってほしいんだ。チョウカク村を潰したお前には悪い話じゃないだろう?」
「もちろんやります!!」
「またもや即答…」
レベルがカンストしているオレには『負け』という文字がなかった。
『付き纏ってくるって笑、キンタさんみたいですね笑笑』
『ちょっと、いじらないでくださいよぉ…』
そして、オレは『姫宮さんに付き纏っている人物』と戦うために、合法的にプレイヤー同士が戦える『コロシアム』に姫宮さんと一緒に向かう事になった。
道中、姫宮さんに話し掛けようと思ったが、臆病風に吹かれて話し掛けれなかった…
姫宮さんの方もオレに話し掛けてこなかった。まぁダサいヘルメット被ってるやつに誰も話し掛けたいと思わないだろう…
そんな事からオレはスカーレットさんと話していた。
『姫宮さんが所属してるギルドってどういうギルドなんですか?』
『えっと…レッドというギルドに姫宮穣は所属してます!
レッドというギルドはラスボスを倒そうとする人々が集まったすごくすごいギルドです!
そして、もっとすごいのが姫宮さんはそのギルドのリーダーを務めてます!!』
『だからあんなリーダー口調なんですね…』
『まぁこのゲームに命懸けてますからね…
学校でも五感ブレイカーの攻略本読んでましたし…』
『あれ小説じゃなくて攻略本だったんですね…』
なんかめっちゃ姫宮さんのイメージが変わった…
ほぼほぼ姫宮さんと話すことなくコロシアムに着いてしまった。
「ここがコロシアムだ」
そのコロシアムは糞ゲーとは思えないくらい立派だった。
「すげー!デカいですねー!」
「お前がワイルドドラゴンか…」
オレは声のする方を向いた。
そこには見覚えのある顔の奴らがいた。
『え!浅川!?』
「名前に似合うダサい格好じゃねーか笑」
俺が戦う相手は俺が超えなきゃならない『一軍男子』たちだった。
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浅川は第1糞で出てきた金太のクラスの一軍男子です。