第1糞 金魚の糞のオレが異世界転生
「うぉ!えぐいえぐい!ピックアップ確定やんけ!!」
と騒いでいる一軍男子の集団がいた。
その中に「うぉ!まじでえぐいやん!」と、そいつらに合わせて騒いでいるのがこのオレ糸魚川 金太だ。
オレはいつも一軍男子にずっと付き纏っている云わば『金魚の糞』みたいなヤツだ。
クラスの中に金魚の糞みたいな奴はどこにいっても2、3人いると思うがそういう人のことを嫌う奴らは結構いるだろう。
正直言ってオレも今自分がいる立場がそこまで好きじゃない。
でも、一軍に合わせていれば学校生活を楽に暮らせるという点でみたら金魚の糞も悪くないと思う。
そんなことを考えていたらオレのクラスの一軍男子の先導者浅川がいつも1人でいるため孤高の美少女という2つ名がついた女子、姫宮 唯花さんに絡んでいた。
「姫宮嬢。何をしているんでございましょうか?」
「本を読んでるの。うるさいから話しかけないでって昨日言わなかったけ?」
「ありがたい蔑みの言葉有難うございます。」
「勝手に感謝しないで」
どうやら浅川は姫宮さんのことが好きらしくここ1週間姫宮さんに話しかけているらしい。
顔がいい浅川には姫宮さんはお似合いだとオレは思う。
でも、オレも姫宮さんのことが結構前から好きだった。
だから、浅川が姫宮さんのことを好きだと知った時はショックだった。
このまま付き合っちゃうんじゃないかって心配だから…
「ちくしょーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
「ど、どうした金太!?」
やべーついつい悔しさが声に出てしまった。
「わり、オレトイレ行ってくる」
「おう」
トイレに行く途中、教室から浅川たちの声が聞こえてきた。
「昨日食いに行った焼肉マジで美味かったよな」
「それな、また食い行こうぜ」
あれ昨日はまっすぐ帰ったんじゃなかったけ?
…あっ、オレだけハブられたのか。
「…やっぱり金魚の糞じゃなくてちゃんとした一軍になりたいな」
オレは悔いと便意を抱えながらトイレに着いた。
そして、オレはうんこをするために個室に入った瞬間何者かにトイレの水に向かって頭をがっつかれた。
「おぼぼぼぼぼぼぼぼぼボボボボーボ・ボーボボ」
そのまま、オレは「あっ、金魚の糞のまま人生終わるんだな…」と、後悔しながら息を引き取った。
「ブリ、ブチッ、ブリリリ……ブリリリリリリ!!!!」と轟音が聞こえオレは目を覚ました。
目を覚ました先は真っ白でなんか神聖な感じの場所だった。
見える景色が歪んで見えると思ったらオレが今いる場所は水の中だった。(何故か息が出来るのは神聖だからだろう)
少しすると「上!!!上を見て!!!!」と女の声が聞こえ、上を見ると茶色くてデカい物体が徐々に落ちきている。
「なん、なんだあれ?」
「うんこですよ!うんこ!!」
「.........うんこ?」
「とりあえず、こっちに来てください!」
と、水面の方に呼ばれたので咄嗟にそこに向かって泳いだ。
そして、丁度オレが水面に着く頃にはデカいうんこは落ちていた。
「なっ、なんですかここ!!!」
「トイレですよ、トイレ」
「トイレ!?うっ、てゆーか臭!!!」
「まぁうんこが近くにあるんですからね〜
…あっ!今から洪水起こるんで気をつけてくださいぃー!」
「うぇっ!」と、驚くのも束の間洪水が起こったため、咄嗟にトイレのふた?を掴み、溺れながらもなんとか巻き込まれずに済んだ。
「…」
「どうしたんですか?」
オレはさっきの洪水で溺れたことで自分が死んでしまったことを思い出した。
「あっ!あぁ〜実は…」と、オレが死んでしまった経緯をこの人には関係ない事だと思いながらも話した。
「それで何者かに後ろから頭掴まれて溺れちゃって…」
「その何者か私ですね」
「?」
オレは何を言ってるのか分からなかった。
「なんですか、その顔。だから頭掴んだの私ですって〜」
「????????????」
「あぁああぁ…ぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
オレは本能的に彼女に飛び掛っていた。
「なっ!……なんで!なんで俺を殺したんだ!!!」
「だってあのまま生きてても楽しくないでしょ」
彼女の言葉は滅茶苦茶だと思ったが図星を突かれたような気がして何も言えなかった。
「…私、神様なんですよね。正確に言えば『うんこの神様』なんですけど…」
「……え?…うんこぉ?」
意味が分からなかった。
「はい、うんこです。うんこの『神様』ね。」
「一応神様なんで貴方を生き返らせることも出来ます。」
「ほっ…本当!?」
「はい!」
オレは嬉しさを超えて安堵した。また生きられると知って…
それと同時に疑問が浮かんだ。
「…じゃあなんでオレのこと殺したんですか?生き返らせることができるのに…」
「それが今回の肝なんですよね。」
「ちょっと長くなるんですけど」
と、言い彼女は話し始めた。
「神様って人間のことを観察できるんですよ。観察って言っても人間の考えてることとかも分かります。でも私はそんな人間に興味ないんで観察しないんですけど。でも、貴方を初めて見た時観察したい!って思ったんですよね。」
「…なんでですか?」
「だって貴方ほどうんこに近い人間っていないんですよ!!!もう誇りに思ってもいいくらいのレベルで!!!」
「うんこに近い人間?」
「あぁ〜すいません分かりずらくて要するに完璧な『金魚の糞』ってことですね!!!」
「ぐはぁ!」
「だっ大丈夫ですかー?」
オレは精神的ダメージを負った。他の誰かに金魚の糞なんて言われるのは辛すぎる!
「あっ!私にとっては金魚の糞は褒め言葉なんで安心してください!」
「あっあぁー、はい…大丈夫です。」
「それなら良かったです!」
「で、話戻すんですけどある糞ゲーの世界で55日間暮らして貰います!いわゆる『転生』ってやつですね!」
「えっ!…まじか!…転生って本当にあるんですね。」
「はい!…まあ神様の暇つぶしみたいなものですね。」
「それで、その糞ゲーは…てっ、自己紹介がまだでしたね!貴方の名前は確かァ…キンタさんでしたよね!」
「はい糸魚川金太です。これからよろしくお願いします。」
「お願いします!私の名前はスカーレット・トロビアンです!『スカトロ』とでも呼んでください!!!」
「………スカーレットさんでも大丈夫ですか?」
「はい!別に大丈夫ですけど…どうかしたんですか?」
「いや.........なんでもないです…」
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