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プロローグ

よろしくお願いします!

熱い……



男の人の体ってこんなに熱いんだ……



愛おしいな。


決して結ばれる事のないあなたが


今でもこんなに愛おしい。



どうして今、わたし達はこんな事になってるの?


お互いに掛けられた魔法のせい?



こんな事絶対に許されないのに……。



でも今更何を考えても仕方ない。


あなたもわたしもこうなる事を受け入れてしまったから。


あなたにとってはきっと一夜の過ちでも、


わたしにとっては一生の思い出になる。



だから今は、今だけは、


このまま二人、ひとつに溶けあっていたい……






じゃないわっ!!!




「な、な、な、な、なんでこんな事にっ……」


まだ仄暗い部屋の中、

わたしは彼より先に目を覚ました。


ここは第二王子ヴィンセント殿下の寝室……よね?


という事は昨夜のアレは現実!?


夢ではなかったの!?



「………………」


一応確認しようと思い、

わたしは上質なコンフォーターを恐る恐る捲った。



ちーーーん……



間違いなく事後だった……


だって破瓜の跡があるっ……(泣)


おまけに一糸まとわぬ姿だし……



こ、これはまずいでしょう。


婚約者候補を辞退した夜にこんな事……


でもアレは仕方がなかっ…た……?


ど、どうしよう……。



……………………………………………よし。



なかった事にしよう。


それしかない。


わたしと彼はもうなんの繋がりもない

関係になったのだ。


昨夜の事はもう全てなかった事にするしかない。



安心してくださいませ、殿下。


あなたにとって消し去りたい一夜、


わたしの脳内から綺麗さっぱり消し去って

差し上げますからね。



わたしはこっそりと大きな寝台から抜け出て、

息を殺して服を着る。

今日は簡易なドレスで良かった。

一人で着られるドレスで良かった。

借金取りに全部取られて、

残ったドレスがこれで良かった。(泣)



そしてわたしは殿下の寝室を出るため扉の

ドアノブに手をかける。


最後にもう一度振り返り、

殿下の寝顔を見つめた。


本当にこれが最後。


次に会う時にはわたし達の関係性は変わって

いるから。


わたしは眠っている彼に微笑んだ。


「さようなら、ヴィンス様」



そうしてわたしは寝室を後にする。


こそこそしては逆に怪しまれるので

静かに音を立てないようにしつつも

堂々と部屋を出た。


部屋の前にいた近衛がギョっとした顔をして

いたが、


わたしはさも女官風な体を装ってそそくさと

その場を後にした。


(よく捕まらなかったものだ)















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