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第3話 幼なじみとの再会

母上にいざなわれ、城内にある移動用魔法陣がもうけられている部屋の前までやってきた。

 そこには、意外な人物が待っていた。


「やっほー、ティアナちゃん。お待たせしちゃったかしら?」

「いえ、まったく。それよりおば様、本日はヴァーンズ侯爵家ご子息の、ダンジョンマスター就任の儀にお招きいただき、ありがとうございます。身に余る光栄です」


 ティアナと呼ばれたツインテールの少女は、ミニスカートの両端を指で軽く摘まみながら、母上に向かってうやうやしく頭を下げた。


「もー、ティアナちゃんたら、久しぶりに会ったのに固いー。昔から仲良しのご近所さん同士なんだし、かしこまらないでー?」

「いえ、今日はヴォルフガンド子爵家の代表として伺っております。そういうわけには……」


 なおも慇懃いんぎんな態度を崩さないティアナに、大人げなく頬を膨らませる母上。


「あー、そういうこと言ってると、ティアナちゃんが昔、うちでお漏らしして泣いちゃった時の話するわよ~?」

「ちょっ、おば様っ!」


 顔を真っ赤にして慌てるティアナ。その様子に思わず吹き出しそうになった瞬間、少女の切れ長の瞳から獣のごとき鋭い眼光を向けられ、僕は縮みあがった。


 彼女はティアナ・ヴォルフガンド。子爵・ヴォルフガンド家の末娘で、僕の幼なじみだ。

 幼い頃はよく一緒に遊んだものだが、別々の魔導学院に行くようになってからは、会うことはなくなっていた。

 昔は、口より先に手が出るという乱暴ものだったけど、今はすっかり子爵令嬢らしい雰囲気になっていた。……さっきの眼光以外は。


「でも、本当に久しぶり。きれいになったわね~ティアナちゃん。さすが、ルクスの『許嫁いいなづけちゃん』よね~」

「は、母上っ……!」

「……昔の話です」


 急に懐かしいエピソードを口にされ、気恥ずかしさにうろたえる僕と、対照的に、表情を曇らすティアナ。

 そんな僕らの様子を見て、母上は微笑みながら、小さくため息をついた。


「さ、ふたりとも陣に入って。跳ぶわよ~」


 その言葉に呼応して、足元の魔法陣が青白い光を放ち始めた。



★★★ 次回 ★★★

『第4話 ダンジョン『不夜城 ファイト一発▼』』、お楽しみに!


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