夕日の見える日に
初めての作品です。
小説とは言えない文章かもしれませんが読んでいただければ光栄です。
十月のある日、夕方のコンビニで洋は体から季節に似合わない大量の汗を流していた。
五つの好奇の視線が洋に集まる…。
(やっぱり無理だ…。)
……十分前のことだった。
いつものように洋は四階から屋上に続く階段に呼び出されていた。屋上は立ち入り禁止でめったに人がこないのでその階段は伊藤たちの絶好の溜まり場だったのだ。欠点といえば掃除をしないのでゴミや虫の死骸があるというところぐらいだろう。
洋が階段に着いたのに最初に気づいた五十嵐が洋の腹に蹴りを入れた。
「…ぐふっ!」
「遅えんだよ。二分で来いつったろだろうが。」
「いいよ五十嵐、…そういうのダルい」川倉が五十嵐を止めたのは洋の体を気遣ったのではなく、五十嵐があまり洋を殴ると体力を消耗するので“遊び”に支障をきたすと考えたからだろう。
川倉はいつもなら眺めているだけである
しかし川倉はさっき思いついた新しい“遊び”を早くしたくてたまらなかったのだ。
「洋ぃ今日はお前のために新しい遊び考えてやったぞ。」
そう言って笑うのは取り巻きの一人の大室だ。
新しい遊びと言われても洋には嫌な予感しかしなかった。
“ルール”を伊藤から聞き洋を含めた六人は近くのコンビニに向かった…。
時刻は十四:二六分
三十分までにやらないと五人全員から顔に煙草を押しつけられる事になっていた。そんなことされるくらいなら、と意を決しお酒のコーナーに向かう。
洋の頭の中で色々な考えが張り巡らされた。
…捕まった時の事、成功したとしても後から学校や家に電話がこないか…。
成功したとしても学校に電話はあるだろうなにせ洋は制服なのだ。
そんなことを考えているうちに二八分になってしまった。
覚悟を決め伊藤に注文された品物を五つ手にする。
洋の心拍数が余計に上がる。
五個というの予想はしていたがやはり重いようだ。
焦りながらも洋は酒をバッグの中にしまい駆け出した。
店員は驚いていたがやがて洋を追いはじめた。
洋の足は遅くないが荷物を持ってるとさすがにキツい。洋は追いつかれるかもしれないと思ったが振り返ることもせずただ全力で走った。
幸い人通りが少なかったので走るのに難ははなかった。
息を切らしながらしばらく走ると伊藤たちと約束してた公園に着いた。
五人の姿はまだ見えない。
店員も撒いたようだ。
とりあえずは安心したがこんな事がこれからも続くのかと思うと憂鬱で堪らない…。
そんな事を考えていると背後から肩をたたかれた。ふと振り返るとそこには洋が今一番会いたくない人が立っていた。
「警察だけどちょっと署まで来てくれるかな?万引きの通報があってね。」
洋は陰に隠れてこっちを見ている五つを見つけた。
ため息すらでない…。
綺麗な夕日が公園と洋をただ照らしていた…。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
感想、アドバイス等いただければ作者の力になりますので是非。