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プランターの野草

作者: 中島千里

1.覚醒

これは僕の明日への希望


明日?

いや 明日はまだいい 寒いよ


明後日?

まだ まだだよ 寒い


…声が聞こえる

君の声か 懐かしいような…

ねぇ もう少し待って まだ眠っていたい


ああ うん 

…わかった


僕はちょっぴりうざかった でもホッとした

そして うーんと 一つ大きく伸びをした


僕は生きている





2.息吹

僕は生きている

僕は生きている!


ああ むずむずしてきた

まだ眠っていたい気分もあるけれど

なんだか眠っていられなくなってきた


それは君のせい


君が僕に呼びかけるから


届いているよ

受けとめたよ

君の気持


君は心配しているの?

楽しみに待っててよ


諦めないで





3.始動

諦めないで どうか諦めないで


また僕は大きく伸びをした


さあ始めよう 始めなくちゃ

気持ちは始まっているけど まだ力が出ない


ゆっくりでいい

準備を始めよう 焦らなくていいんだ

自然体で


君を信じて

僕を信じて





4.高揚

僕を信じて!


よかった

信じてくれているんだね

ありがとう


僕は今自分でも面白いくらい ぐんぐんカラダが大きくなっている気がする

本当だよ


なんだかワクワクしてきたよ

ああ嬉しいな


それは君が愛してくれるから





5.新生

君が愛してくれるから 僕は前に進める

勇気と期待をもって前進する

するとどうだろう


なんてことだ!


世界が変わった

うわあ こんなに違うなんて!


なんて素晴らしいんだ

なんて美しいんだ


思い出した この感覚

僕はもっと大きくなることにした





6.歓喜

僕はもっともっと大きくなることにした

だって君の喜びが伝わってくるから


嬉しくなっちゃうよ

だって君が褒めてくれるから

有頂天になってしまう


君が僕を励まし 君の愛で僕はこの世界に辿り着けた

君が僕を変えたんだ

ああ幸せだ


この気持ちが大きく膨らんでいく 青い空に向かって

ああいい気分だ





7.矜持

ああ いい気分だ


僕はどうだい?

僕のずーっと上にいるお日様に負けてないと思わないかい?

ああお日様 あなたはなんて暖かいんだろう 眩しいんだろう

でも今の僕はあなたに負けてる気がしないんだ


ねえ君 僕は美しいでしょう

寝ぼけ気味の街を照らす朝のお日様 

一瞬金色に輝いたような木々の夕映え

それが僕


君は喜んでくれてるね よかった…

今僕は最高だ!





8.終末

今僕は最高だ 僕は最高に誇らしかった

これが僕 僕だよ!


それは少し前のこと

この世界は変わらず美しいけれど 時間はあっという間に流れていくね


金色に輝いていた僕はもういない

まだ僕のカラダは大きくてお日様に向かっているけれど

これからゆっくりと朽ちていくことだろう…

だけどそんなことはどうでもいい それは自然なことだから


僕はこの時をすこぶる楽しんだ それが大事

僕は僕を生きた





9.希望

僕は僕を生きた

今も僕は精一杯僕を生きている

でも本当は違う

君の愛がなければ 僕は僕をまっとうできない


僕のカラダはもう殆どなくなった

やがてこの世界からは消えてしまうだろう


「ありがとう これからも愛するよ」 

君がくれた言葉


たとえ今僕が消えたとしても…

これは僕の明日への希望






我が家のプランターに美しい山吹色の可愛い花を4月末から5月上旬にかけて咲かせてくれるやまぶき草という花がいます。

春先に芽を出し花を咲かせ、葉のみになり、やがては跡形もなくなり、毎年芽を出してくれるか心配する花です。でもこの心配や不安はやまぶき草のほうが強いに違いない。そんなことを考えながら書いてみました。


最後までお読みいただきありがとうございました。


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