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日々花々  作者: ボヌ無音
9/9

ああジュリエット

「ねえ理恵」


 岡部 美々香は読書にハマっていた。今日読んでいたのはかの有名な「ロミオとジュリエット」を本にまとめたものである。

両家の争いがために命を落とした若い男女の話だ。


「ロミオとジュリエットって最後死ぬんだって」


 本を閉じてそう言う。美々香が理恵――浜 理恵の方を向くと、目をまんまるに見開いて驚いている理恵の姿があった。

そこでようやっと思い出した。理恵はとことんハッピーエンド主義で、嫌なことがあってもすぐに忘れてしまう能天気でもあった。

だから「死ぬ」ということは、彼女にとってはある意味でタブーなのだ。しかもそれが、恋絡みときたら。


「ひどーい! どうしてそんな事言うの!?」

「いや事実だし……」


 こうなってしまった理恵は面倒なモードだ。何を言っても「ひどい」「なんで」ばかり。

あまりにしつこく面倒になった美々香は、読み終わった本をそのまま理恵に押し付けた。

美々香に文句を言う前に、自分で読んでみればいいのだ。世界的な名作であるし、話としては十二分に面白い。

それにこれはただのまとめた本だが、舞台やミュージカル、それを題材にした映画だってある。アレンジした映画だって。


「面白いよ」

「……じゃあ見るけど……」

「なに?」

「……わたしと、わたしと美々香は――」

「うん。ロミジュリじゃないから」


 わたしと美々香は、幸せらぶらぶ、ハッピーエンドだからね。

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