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日々花々  作者: ボヌ無音
8/9

ああロミオ

「あぁ、美々香、どうして貴女は美々香なのぉ〜」

「あぁ! 理恵〜!」

「またやってるよ、あの2人」


 そうやってロミオとジュリエットにドハマリして、毎日のようにクラスでイチャついている2人を敬遠するのは、田端桜だ。

彼女かこうもイラついているのは、そうやって自分の思いを素直に言えないからだ。そう、例えば隣で居眠りをしている友人――河原なずなにだとか。


 この夏ヶ丘女学園は、その名の通り女子校である。

そして、女生徒同士の恋愛が黙認されている学校でもあった。それは、生徒間だけではなく、教師の中でも。勿論知ったところで、保護者へ通告する訳では無いし、中には生徒と交際している教師だっているらしい。


(羨ましい)


 冷たく当たるのには、そういった感情があった。桜も、なずなに思いを伝えられたら。何度そう思っただろう。

だが悲しいことに、なずなには既に交際相手がいて、それが誰かは教えてもらったこともない。

 小学校からのつきあいだというのに、薄情だな……なんて桜は思った。しかしながら、告げられたことで自分が傷つくのはよく分かっていた。

そしてそれを口に出来るほど、彼女はできた人間ではなかった。


「……どうしてあなたはロミオなの」


 か細い声だった。ピクリとなずなの肩が揺れる。これが聞かれていようがいまいが、関係ない。

桜の知らない誰かと、河原なずなは愛を育んでいるのだから。

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