恋に恋した午前二時
「恋人が~……」
弥生はそこからの会話をよく覚えていなかった。どうやって通話を切ったかも何もかも。
弥生は親友である修子のことを密かに思っていた。それは友情ではなく、恋という部類で。もちろんそれを伝えるつもりはなく、墓まで持っていく覚悟はしていた。
だがこうやって実際に、愛している人間に恋人がいると知った時。絶望するのは当然だろう。
修子は優しく、少しネガティブな弥生に対してもいつも温かく接してくれていた。友人が多いというわけではない彼女にとって、数少ない友人であり、長らくの親友だった。
「はぁ……」
同性という時点でいい結果は望んでいなかった。付き合えるだなんて夢のまた夢だが、こうして告白もしていないのに振られるとなると、精神的に来るものがある。
気さくな彼女のことだから、恋人がいないはずがないのは、頭では理解していた。だが心はそれに追いつくことはなかった。まるで死刑宣告のように告げられた「恋人」という単語は、彼女の心に深く突き刺さった。
ため息を付けば反動的に涙が溢れた。今まで溜め込んでいた全てが、水分として体外へ出ていくような。
そこからは急降下。日付を過ぎても泣き続けた。
仕事があるのに、目が腫れて同僚に心配されてしまう。そんなことも思いながらも、流れる涙を止めることは出来なかった。
(私は一生恋人になれない)
何度も反芻するように脳裏に浮かぶ言葉。恋人。親友以上になれない自分を、何度も追い詰めた。
どうして好きになったのだろう、友情で止まっておけば。
タラレバを考えたところで、今の弥生の恋心は朽ち果て、どろどろとした感情にまみれていった。