97.大賢者アリアケの対軍スキル
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97.大賢者アリアケの対軍スキル
目の前には、白き少女フォルトゥナが微笑んでいる。その背景には空を埋め尽くす黄金のドラゴンの群れがいる。
一般人からすれば絶望的な状況かもしれない。
だが、俺はむしろ不敵に微笑みながら、
「それでは始めるぞ。≪全体化スキル≫を常時発動。まずは≪ダメージ軽減≫スキルを発動」
「おお、すごい・・・」
「元々ムキムキで最高のボディだった俺たちの筋肉が、更にカチカチになったぞ!」
ブリギッテ教徒たちが歓喜の雄たけびを上げる。泣いている奴もいて、ちょっと怖い。
「き、気にせず、次は≪俊敏≫スキルを発動する!」
「す、すごい! 筋肥大しすぎて鈍重になるところを……。これで問題なく動き回れる。動けるマッチョマンになれる!」
更に歓喜とすすり泣きの声が溢れた。
若干、意図していた喜び方と違うのだが……細かいことは気にしないでおこう!
「3つ目に、ダメ押しで≪回避補助≫を付与する」
「おお!」
「4つ目に≪回数制限付き無敵付与≫を行う。これならドラゴンのブレスも何度かなら防げるはずだ! 切れたらかけなおすから、必ず言うようにしろ!」
「筋肉でブレスまで防げるなんて! おおおおお!」
「5つ目に≪ダメージ割合低減付与(強)≫!! ≪筋肉超強化≫とこれら≪ダメージ軽減≫で少なくとも即死はしないはずだ! ダメージを受けたら、アリシアとローレライの回復魔法をこまめに受けるようにしろ!」
「ダメージを受けて治してもらったら、超回復で更にムキムキってことか!? うおおおおおおおおおおおお!」
ええい、もうええわ!
「6つ目に、毒・火傷・冷気・呪詛などなどまとめて耐性付与する」
「す、すごい! まるで聖人だ! ブリギッテ教徒の力を増強するために降臨された神のようだ!」
「そんなけったいなものではないわい! そしてレビテーション《空中飛行》!」
「ひ、飛行!? 人間の俺たちが!?」
「当然だろう? どうやって戦う気だ?」
「す、凄すぎる。空を飛べるなんて」
称賛の声を聞いていては日が暮れるので無視して、
「さて、あとは攻撃力アップ付与! 攻撃力割合アップ付与! 追加効果、毒付与! 攻撃時状態回復付与! 攻撃時体力回復付与! 魔力耐性付与! 魔力攻撃アップ付与! 魔力攻撃割合アップ付与! 時間経過による体力・魔力回復付与! 即死無効付与! 首の皮一枚を付与! クリティカル率アップ付与! クリティカル威力アップ付与!」
そして、
「高速詠唱! 今の逆の効果を敵へ付与する! 〇×△■●〇■!!!」
ふう!
これだから軍団戦は骨が折れるのだ。
(それにしても、途中から信者たちの声が聞こえないのが不思議だな?)
そんなことを思っていると、
「す、すごい」
「これが大賢者アリアケ様のお力なんだな……」
「大聖女様の夫になる方だけある。いや、むしろ、アリアケ様が我々ブリギッテ教徒の救世主様なのでは? 筋肉を導く存在なのでは?」
俺の力に畏敬の念を持ったのか、静かにざわついていた。ただ、
「誰がお前ら筋肉馬鹿どもの救世主なものか!」
そこだけは力強く否定しておいた。
だが、信者どものは妙にギラギラした目で俺を見ている。何だか獲物を見る狩人のようで本能的な恐怖を感じるのだが……。
そ、それはともかく、
「さあ、これでドラゴン相手にも戦えるはずだ」
「ゲ、ゲシュペント・ドラゴン相手でもですか?」
やはりまだ不安が残っているのだろう。
誰かが不安を口にする。
しかし、俺は微笑みながら、
「ゲシュペント・ドラゴンの力は人の1000倍だ。彼我の戦力差はそれくらいある。いや、あった」
「あった?」
そう、過去形だ。
俺は皆を前に頷くと、
「お前たち筋肉バカは馬鹿だけあって、人の10倍の力を持つ。魔力も無駄に篤い信仰心のおかげで凄まじく高い。それを俺の力で10倍に高めた。そして、敵には俺のスキルで10分の1の戦力へと低下させている。つまり彼我の戦力差は今まさに均衡している状態にある」
「す、すごい……!」
「アリアケ様のおかげでドラゴン相手にも互角に戦えるっていうんですか!?」
「……というか、実は勝っている」
「か、勝ち!?」
余りに意外だったのか、ブリギティアンたちが驚きの声をあげる。
だが、俺はさも当然とばかり「ああ」と頷く。
「大聖女アリシア・ルンデブルクは蘇生魔術の達人だ。君たちを決して死なせはしないだろう。安心して戦え」
というか、
「勘違いしているぞ。これはお前たちが命を捨てるような戦いではない」
だから俺はずっと微笑んでいるのだ。
「あ、相手はあのゲシュペント・ドラゴンの群れなのに?」
「相手がどうかではないだろう? この俺が。大賢者アリアケがついているんだぞ?」
だとすれば、
「少し高強度のインターバルトレーニングだと思えばいい」
その言葉に、一気に信者たちの士気が上がった。
「うおおおおおお! 確かに! 大賢者様がトレーナーについてくださるんだ! こんな絶好の筋トレの機会はないぞ!」
「最高のトレーナーと、プロテインがついていて、しかも世界最高のウェイト器具と来ている!」
「これで燃えなきゃ! 筋トレマニアじゃないぜ!」
ムキムキの教信者たちの雄たけびが上がった。
「いくぞ、みんな! アリアケ様の加護ぞある!!!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』
勢いよくブリギティアンたちがドラゴンたちへと攻撃を開始したのであった。
浮遊スキルのおかげで、一斉にドラゴンたちへ向かっていく。
それにしても、
「あの掛け声、恥ずかしいからやめて欲しいんだが……」
「アリアケさんがあんなに煽るからでしょうに。やれやれ」
アリシアが冷静につっこみながら、さらりと、彼らの支援のために大結界を構成しはじめていた。
いつもお読み頂きありがとうございます!
第2巻5/7発売決定です! 表紙とキャラデザを下の方に置いておきますね。超かわいいですね!
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