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【書籍化&コミカライズ】勇者パーティーを追放された俺だが、俺から巣立ってくれたようで嬉しい。……なので大聖女、お前に追って来られては困るのだが?  作者: 初枝れんげ(『追放嬉しい』7巻3/12発売)
第3章 ボクネンジンに気持ちを伝えるたった一つの方法/ブリギッテ教会侵入編

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87.お風呂回


87.お風呂回




「もー、うちの両親にも困ったものです」


「ははは。変わらないようで何よりじゃないか」


「変わらないのはアリアケさん、あなたもですよ!」


俺の返事にアリシアは怒ったように言った。


俺も彼女もバスタオル一枚といった格好だ。


「ちょっと、あんまり見ないでくださいよ!」


「見てない、見てない。いや、昔はお互いもっと小さかったのになぁ、と思ってな」


「しっかり見てるじゃないですか! このバカちん!」


などと、会話をしながら、俺たちはお湯につかった。


アリシアの家は豪邸といって良く、お風呂もまた非常に広い。


「あんまり引っ付かないでくださいね! ていうか、後ろを向いてください、後ろを!」


「ははは、分かってるさ」


そう言って、少し距離をとってから後ろを向いた。


やれやれ、最近はずいぶん打ち解けたとはいえ、さすがにお風呂に一緒に入るのは嫌だったらしい。


「すまなかったな」


「べ、別にアリアケさんが謝ることじゃないですよ。両親が勝手に……」


「そうじゃないさ」


俺は首を振り、


「偽装結婚のことだ。教会に侵入するためとはいえ、アリシア、君にとっては不本意だったかもしれないな」


「そ、それは……」


「俺はいつもちゃんと考えて行動しているつもりなんだが、よく君を怒らせてしまう。よくデリカシーが無いと怒られるしな。偽装結婚のことも、よく考えれば、君にとってはとても嫌なことだったかもしれない」


「そ、そんなことはありません」


「そうか? まぁ許してくれるなら、ありがたい。今後もできれば、こんな俺だが一緒に旅をしてくれると助かる」


「へ?」


俺の言葉に、彼女はきょとんとした声を漏らした。


「本当は勇者パーティーを追放された時は、一人旅をする予定だったが……」


俺は目をつむりながら、


「お前たちとパーティーを組んで、いろんなところに行って、たくさんの物を見れたら面白いだろうと、最近は思っているんだ」


柄にもなく、思っていることをそのまま口にした。


こんなことを率直に話すのは。話してしまうのは、相手がアリシアだからだろう。


「まぁ、君にとっては迷惑なことだと思うが……」


そう、俺にとってアリシアが必要であっても、彼女にとってはそうではないだろう。


何せ、彼女は大陸でもっとも有名な偉人であり、教会の序列三位で……、


「ええ、こちらこそお願いします。アリアケさん」


「へ?」


俺の背中に柔らかい手が添えられて、誰かが体重を預けてきた。


「嫌なわけありませんよ。私だって、アリアケさんが……。アー君がいたから、ここまで来れたんです。これからもずっと一緒ですよ」


「そ、そうか」


久しぶりにアー君と呼ばれた。


彼女の体の重みを背中で感じる。


成長した彼女の体は幼い時とは違って、華奢なのになぜか柔らかい不思議な感覚だった。


「こちらこそよろしくな」


「ふふふ」


彼女の嬉しそうな声が耳をくすぐった。


ふーむ、それにしても、


「な、何だか熱くなってきたな……」


やはり今日の俺は何かおかしいな。


柄にもなく照れているのだろうか。


「そ、そろそろ上がろうか!」


俺は立ち上がろうとするが、


「あの、アー君。その……」


しかし、彼女は俺の指をつまむようにしながら、


「本当にもう行ってしまうんですか? その……私のこともっと見なくてもいいんですか?」


「……え?」


「……アー君だったらいいんですよ?」


彼女の方を思わず振り返る。


(しまった、怒られる)


と思ったが、彼女は何も言わない。


ただ、彼女は顔を真っ赤にして俯きながら、上目遣いにこちらを見ていた。


「い、良いっていうのは……」


「……こんな風に二人きりになれること、なかなかありませんし……」


何だろうか、これは。


ドキドキとした自分の鼓動がうるさいなと思った。


こんな感情は普段感じたことがないので混乱する。


混乱したことがないので、どう対処していいのか分からず、更に混乱した。


そして。


混乱するままに。


彼女の肩に手を伸ばしたところで。


『ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン』


そんな屋敷全体を震わせる大音声が浴室に響いたのであった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 俺はアリシアよりコレット派やなぁ
[一言] あまり恋愛方面に鈍感だとアリシアたちが可哀想なのである程度の好意は理解した上で結論はまだ先って感じになると良いなと思ってます。
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