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313.女神イルミナの権能

313.女神イルミナの権能


【Sideレメゲトン】


「くくく、後一枚だ」


俺は嗤う。


この方舟の制御はほとんど自分の手にあるが、無理やり制御を奪ったこともあり、命令がすぐに通らない。


そのために、少し時間がかかってしまった。


だが結果は変わらない。


アリアケ・ミハマたちは結局、自分の体内にいる虫けらでしかない。


だから、俺が少し本気を出せば、すぐに排除できるのだ。


そう。


アークを覆うフィールド。宇宙と内部を隔てる強固な透明な魔力フィールド。


これがなければ、奴らは生きていけないだろう。


もちろん、魔大陸の生命も死に絶える。


だが、俺が宇宙を飛行し、遍く銀河を支配し、大神として君臨するという大義の前では、些末なことでしかないだろう。


俺は歪に唇を歪める。


「やっとか」


少々時間がかかってしまった。


だが、これで終わりだ。


最後の魔力フィールド。


その解除権限が俺の元に届けられたのだ。俺はその権限を行使することを決定す……


ドゴオオオオオオオオオオオン‼


「ぐあああああああああああああああああああああああああああ⁉」


アークそのものとなった俺にすら届くほどの甚大な衝撃であった。


まるでアークが流星にでもぶつかったような衝撃に、俺は思わず怒声を上げる。


「何があった! もう少しでアリアケたちを宇宙の藻屑にっ……」


出来ると言うのに。


そう言いかけた俺の意識はそこで止まった。


理解できなかったのだ。


なぜなら。


「なぜだ……」


俺は唖然とした後、驚愕に震える。


「なぜアークが星に不時着しているのだ⁉ 先ほどまで確かに俺は宇宙を航行していたはずが‼」


その叫びは、しかし、やはり一人の男の声によって遮られた。


「レメゲトン。さあ、地上に戻って来たぞ。さっさと始めようじゃないか」


始める。


始めるだと。


俺は理解が出来なかった。一体何を始めると言うのか。


「お前は星々を支配するつもりなのだろう? なら、この星も支配してみてはどうだ?」


この星?


なぜそんな言い方をする。それではまるで……。


俺の疑問に、憎いアリアケはあっさりと答えを告げた。


「イシスではない。最も近き星、月。その地上にお前はいる。女神イルミナの権能により、月は今一時的にアークへと接近し、無理やり接舷させた。魔力によりアークを捕らえ、膜も張りなおしてある」


「な、なんだと……。まさか、最初からあのイルミナも、貴様も、これを狙っていたというのか⁉」


「想像にお任せしよう。こんな偶然があると思うのならばそう思えばいい。さあ、それよりレメゲトンよ。ここは小さな星とはいえ、星は星。イルミナの魔力の総出力で拘束した。そう簡単に剥がれることはない」


奴が淡々と。そう淡々と事実だけを告げ居るのが分かる。癪に障る。


「さあ、レメゲトン。もう逃げられないぞ。卑怯なまねはやめて、正々堂々とこの星の代理人アリアケ・ミハマとその星の住人たちと決着をつけよう。惑星イシスを裏切ったなりかけの神よ。裏切りの半神レメゲトン!」


「お、おのれええええええええええええええ‼」


俺はその侮辱に耐えきれず、ついに奴との最終決戦に挑むこととなったのだった。

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