22. 英雄は町を救う ~メディスンの町 最終防衛ライン攻防戦~②
22. 英雄は町を救う ~メディスンの町 最終防衛ライン攻防戦~②
「あ、あんた・・・まさか助けに来てくれたのか⁉」
駆けつけたギルドマスターのオシムが信じられないとばかりに言った。
「あれほど、あんたに失礼なことを言った俺たちのことを見捨てずに来てくれたってのか!?」
興奮しているようだ。ちょっと涙ぐんでいるようにも見えるが、男の泣き顔など気持ち悪いだけなので目をそらす。
それに、目的は別に助けに来たわけではない。
「ちゃんとお前たちが仕事をしているか監督しにきただけだ」
俺は正直に答える。
だが、ギルドマスターは微笑むと、
「ふ、くくく。まさか照れ隠しとはな。どうやら、お前はずいぶんと世間の噂とは違う男のようじゃないか!」
「何を勝手に勘違いしているのやら。そんなことよりも、だ」
俺は彼我の戦力差を瞬時に確認する。
コレットの攻撃で大きなダメージを与えられたようだが、もちろん、それだけで甚大な戦力差を覆すことはできない。
「戦略レベルの差を戦術でひっくり返すことは難しい」
「分かっている。だが、ぎりぎりまで頑張ってみるさ」
「頑張りでは埋まらん。今回言う戦略レベルの差とは、単純に数の差だ。防備のない拠点を10倍の敵から守るのは不可能だ」
「それは・・・」
ギルドマスターは悔しそうに唇をかむ。
「ゆえに、俺が補助スキルにて、お前たちの全ステータスを10倍程度に増幅する。そして敵の全ステータスを10分の1ほどに減少させる。これで彼我の戦力差は10:1でお前たちが圧倒できるはずだ」
「は?」
何だ、不服なのか?
「いや、まあ不服かもしれん。10:1の戦力比になるとはいえ、戦闘をすれば怪我をする冒険者いるかもしれんしな。だが、そこまでは面倒を見切れんぞ」
俺の言葉にギルド長は、
「いや、そうではなくて、ステータス10倍? そのうえ、敵のステータスを10分の1? そ、そんなスキル使い見たことも聞いたこともない‼ だ、だが、こんな時に嘘を吐く意味はねえ。つまり本当ってことだ。だ、だが解せねえ。な、なら、あんたは一体どうして勇者パーティーをクビになんてなったんだ? もしかして、勇者とやらは、周りの見えない、自分の力で成功したと思い込む、ただの馬鹿なのか? お前の様な奴を追放するだなんて⁉」
「いや、そんなことはないはずだが・・・」
「いいや、旦那様! わしもギルドマスターの説に賛成なのじゃ! 幼馴染だからと言って、評価が甘すぎになっておるのじゃ! 旦那様らしくもない不公平な甘々採点なのじゃ!」
「そんなことないだろう、ははは」
「だめだ、この男、幼馴染に対する評価が間違いなく甘すぎるっ・・・」「普段は客観的で慧眼じゃのに、何で幼馴染にだけそれが機能しておらんのじゃ・・・」
「?」
俺は首を傾げる。
ともかく、今はそんなことを話している時ではない。モンスターたちも混乱から立ち直ろうとしている。
「それでは始めるぞ。≪全体化スキル≫を常時発動。まずはダメージ軽減スキルを発動」
「おお、すごい・・・」
「皮膚がカチカチになったぞ!」
冒険者たちがざわつく。
「次に、俊敏スキル発動」
「す、すごい! 早すぎて、目が回りそうだがっ!」
「3つ目に、回避補助スキル」
「す、すごい!」
「4つ目に、回数制限付き無敵付与」
「おお、まだあるのか。これなら!」
「5つ目に、確率回避付与」
「えーと、うん、まだあるんだな」
「6つ目に、ダメージ割合低減付与」
「えっと・・・助かるな」
「7つ目に、毒・火傷・冷気・呪詛などなどまとめて耐性付与」
「あの・・・」
「8つ目に、攻撃力アップ付与」
「アリアケさん・・・?」
「9つ目に、攻撃割合アップ付与」
「・・・・」
「10個目に、追加効果、毒付与」
「11個目に、攻撃時状態回復付与」
「12個目に、攻撃時体力回復付与」
「13個目に、魔力耐性付与」
「14個目に、魔力攻撃アップ付与」
「15個目に、魔力攻撃割合アップ付与」
「16個目に、時間経過による体力・魔力回復付与」
「17個目に、即死無効付与」
「18個目に、首の皮一枚を付与」
「19個目に、クリティカル率アップ付与」
「20個目に、クリティカル威力アップ付与」
「えーっと、次は敵だな。えーい、面倒だ、高速詠唱! 今の逆を敵に付与する! 〇×△■●〇■!!!」
はい終わり。ふー、と大きく息を吐く。
と、なぜか隣ではギルドマスターだけでなく、他の冒険者たちも唖然とこちらを見ていた。
そう言えば、スキル発動時も何か言っていたような気もするが・・・。
「どうしたんだ?」
「いや、どうしたもこうしたもねえ・・・。まじで驚いた・・・。それほどの高LVスキルを使いこなした上に、普通3つ程度までと言われる重ねがけを20以上も・・・」
んん?
「そうか? これくらい普通だろ? 勇者パーティーでは更に重ねがけをいつも当たり前にやってたし、別に感謝されたことなかったぞ?」
「「「はあああ?」」」
なぜか冒険者たちが驚きの声を上げた。
「じゃ、じゃあ何か。今まで勇者たちは、こんな補助スキルの恩恵を受けながら、ダンジョンを探索していたってわけか⁉」
「そうだが・・・」
「何だよ、そんなの誰だってできるじゃねーか!」
「っていうか、全部アリアケさんのおかげだったんじゃねえの?」
「しかも感謝すらしないって。それって最悪じゃね?」
何やら、ざわついているが、
「えーっと、雑談はもういいだろう? ていうか、それどころじゃないよね。今、町が襲われてるからな」
「!? し、失礼しました!」
何だか嫌に丁寧に返事をされてしまった。
まあ、いいか。
ともかく、
「行くぞ、みんな! モンスターたちを駆逐するぞ!」
「はい、アリアケ様! 行くぞ、みんな! アリアケ様の加護ぞある!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
再び大地が鳴動した。
・・・ところで、何で様付けなんだ?
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
「今後どうなるのっ……!」
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