21. 英雄は町を救う ~メディスンの町 最終防衛ライン攻防戦~①
21. 英雄は町を救う ~メディスンの町 最終防衛ライン攻防戦~①
後に言われる≪メディスンの町 最終防衛ライン攻防戦≫は熾烈を極めた。
人間側の戦力は冒険者100程度であるが、それに対してモンスターは1000を超えていたのである。
メディスンの町の防備は簡単な堀と柵がある程度で、いわゆる城壁のようなものがあるわけではない。
最終防衛ラインを超えられれば、もはやモンスターの蹂躙を防ぐ術はなく、町は瞬く間に崩壊してしまうだろう。
ゆえに、前線は地獄であったと伝えられる。
「くそ! もう左翼がもちそうにねえぞ! あっちにゃネグル兄弟が守備を担当していたはずだ! どうなってやがる!」
司令塔であるギルドマスターが大声を上げた。
「だめです! あちらのモンスターの攻撃が苛烈すぎて、すでに戦力の3割が損耗しています‼ なんとかギリギリ持ちこたえるのが精いっぱいです」
「そうか。何とかもたすように言ってくれ・・・くそ、つっても、余り長くはもたねえか・・・」
全体の戦力はすでに1割の損耗を出している。
死者が出ていないのは、偶然ながら回復術士とアイテムが多く配備されていたからだ。だが、それは時間稼ぎ以上の意味は持たない。
「ギルド長! 大変です!」
「ええい、今度は何だ⁉」
伝令からの報告は凶報ばかりで、ギルドマスターはいい加減にしろと言いたくなった。
「右翼から援軍の要請です! キャタピラー・ドラゴンが出現! Aランク冒険者を最低3名は回して欲しいと・・・」
「飛ばねえドラゴンなんぞ、自分たちで何とかしろと伝えろ! Aランク冒険者の予備戦力なんぞ、とうの昔に使い切ったわ! それより正面もやべえんだよ! 数で押し切られるぞ‼」
正面こそモンスターたちの大攻勢であった。ゴブリンやオークはもちろん、バジリスクやヒュドラまでいる。それを冒険者たちが死力を尽くして食い止めているのだ。
それこそ、ぎりぎりの均衡の中で作り出した、奇跡的な防衛ラインだったと言えた。
だが、その奇跡も長続きしないことを人々は知る。
「あ、ああ、見て下さい。あれを」
「今度は何だ・・・って、ありゃ・・・なんてこった・・・」
ギルドマスターは絶句した。
そして、絶望とともに呟いた。冒険者たちも、その様子を見て唖然とした。戦闘中だと言うのに武器を落とす者たちすらいる。
ズシン・・・、ズシン・・・。
魔の森の方角から、ゆっくりと近づいて来る巨大な影が見えた。遠い、なのに足音は地響きのようにはっきりと、冒険者たちの耳朶をうった。
激しい戦闘の土煙で、最初はっきりとその姿は見えない。
だが、その一歩が桁違いに大きいのだろう。みるみる近づいて来た。やがて、その偉業を人類の前にさらけ出してみせたのである。
「キング・オーガ・・・だとう・・・」
それはオーガの王と言われる存在。Sランク冒険者を連れてこなければ太刀打ちできないほどの上級モンスターであった。魔大陸に渡らなければ遭遇しないはずのそいつは、間違いなく目の前にいた。この町の≪死≫そのものが顕在化したかのように。
「終わりだ・・・」
「こんなの勝てっこねえ・・・」
「くそ、すまない、妹よ。俺はここまでだ・・・」
絶望と諦観が冒険者たち全員の胸中を支配した。
動きを止める冒険者たち。その最前線で戦っていた女冒険者に一体のオーガが襲い掛かろうとしていた。しかし、もはや絶望した女冒険者は剣を構える気力もない。
オーガの腕が振り下ろされる。まるでスローモーションのように女には見えた。
女はすぐに来るであろう痛みや絶命の苦しみをぼんやりと待った。
しかし、それはなかなか来なかった。
いや、それどころか、
『ふぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいい‼』
オーガが両腕を切断され、絶叫の悲鳴を上げていた。
女は我に返った。
「ぼーっとするな! お前ら!」
いつの間にか現れた男がそう言ったからだ。
そして、その声はなぜか冒険者たち全員に聞こえた。
「戦いはこれからだ! コレットも一発見舞ってやれ!」
「かしこまり! なのじゃ!」
そう言って、どこからどう見ても年端も行かぬ少女は大きく息を吸い込む。すると、特大の火弾をその口からはきだしてモンスターが集中する真ん中へと放ったのだ。
それは着弾して、周囲一帯のモンスターを焼き尽くす。
「呪いは完全にとけておるようじゃな! やれそうじゃよ!」
少女は突然現れた男性に嬉しそうに笑いかけた。
それは最終防衛ライン攻防戦の第2幕を告げる大きな狼煙となったのだ。
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