200.空中神殿アースガルズ
200.空中神殿アースガルズ
~アリアケ視点~
「やれやれ、みんな無事か?」
「まぁよくあることじゃしな」
俺の問いかけに、コレットが朗らかな声で答えた。
それに対して、
「よっ……!」
「よ?」
「よくあってたまるものですか! なんなんですか、これは!?!?」
「そうだよ!? いきなりマリードの街がゴゴゴッゴゴ! ってなったと思ったら、う、う、う、ういっ……!」
「浮いてますわね。どういう魔力量なのかしら? こんなことが可能なことなの?」
「さすが、俺の生徒たちだ。正常なリアクションをありがとう」
こう言う時に、普通の反応をしてもらえると安心する。
俺のある種常識外の行動にも慣れてきた彼女たちが、驚いているのだから、街の人間たちは慌てふためいていることだろう。
使徒ビビアたちを撃退し、一旦自室へと戻ってきた俺たちは、大きな大地の振動とともに、屋外の景色が急速に落下していく様子を見た。
と、そこへ、
「さて、驚くのはもうすんでいるかのう? というわけで、少しぐるりと聖都を駆け回ってきたぞえ」
「フェンリルは仕事が早いな」
「あとで褒美として、十分モフるが良いと思うぞえ。にゅふふ。で、それはともかく」
フェンリルは狼から人型に姿を戻してから言った。
「聖都マリード全体が浮遊しておるようよなぁ。特殊な力場が発生しておる。魔力と言うよりも、神に備わる神殿創造によるものではないかの」
「なるほどな」
俺は納得して頷く。
「いやいやいや!」
納得する俺に、フィネが首を振りながら、
「どういうことか、さっぱり分からないんですけど!」
そう唾を飛ばしながら言った。
「簡単じゃよ。新しい神が降誕したから、この土地はマジ聖地になった。それだけの話じゃな」
コレットが気楽な様子で説明する。
「おおざっぱすぎて分かりかねますわ、姫様」
が、キュールネーが困惑した調子で言う。
「そりゃそうだ、えっとな」
俺は補足する。授業のようなものだ。
「簡単に言えば、新しい神性が誕生した地は『聖地』となる。そして、当たり前の話だが神は信仰を集め、力を蓄え、それを人々に還元する。要するに奇跡を起こすためのパワーを蓄えるんだ。そして、人々を集めるためには効率的に信仰を集める構造物が必要なんだが、これを人間は『神殿』と呼称する」
そう補足した。
すると、
「ただ浮遊させるほどの神性とは予想外。空中神殿……。空に浮かぶ神殿だから、アースガルズとも言うべき代物」
ピノが久しぶりに口を開いた。
「ピノ、あなたどうしてそんなこと知ってるの?」
ソラが驚いて聞くが、ピノは無視するように続けた。
「空中神殿アースガルズは、空を飛ぶ事自体が奇蹟に見える。新しい神は大きな信仰と力をえる。と、同時に、逆らうものを空から罰することも可能に思う」
「文字通り『天罰』というわけか。どちらかと言えば、神殿というより要塞だな」
「空より大地を睥睨する神の雷を与える要塞。大規模戦略兵器のようなものだと思う。力によって統治を目指す神だからこそ発現したユニークスキルだと思う」
「そんな凄い神様に勝てるのかしら、アリアケ先生?」
キュールネーがまじめな顔で聞いた。
他の生徒達も真剣な表情である。
屋外では、いきなり浮遊した聖地に混乱した信徒たちが慌てたり、ワイズ神に祈りを捧げたりしていた。
だが、俺は微笑みながら、
「ははは。勘違いするな、お前たち」
と言ったのである。
「「「へ?」」」
生徒達が呆気にとられた表情になる。俺はやはり微笑みを絶やさず、
「俺の生徒の一人が真剣にこの世界の将来を憂いた結果、神になってしまっただけの話だ」
「なっただけって……」
あのキュールネーが絶句しているが、
「じゃな。なるほど、力による統治というのは分かりやすいが、ちょっと儂の思う学校の教育方針とは違うのじゃ」
「ほう。我はコレットの教育方針は体育至上主義かと思っておったのだがのう?」
「にゃんと!? それは誤解なのじゃ。儂の教育方針は、考えるな、感じろ! なのじゃ」
ゆえに! と腰に手を当てながら、
「こーんな空中神殿アースガルズで世界を脅しながら統治しても、ぜーったい、うまくいかぬのじゃ! そんなことは空の支配を数千年続けてきた我らゲシュペントドラゴンには直感的に自明なのじゃ!」
「それって教育方針というのかのう? まぁ感性重視ということなのかの。まぁ良いわい。で、主様、どうするのかの?」
フェンリルから話を振られて、俺は堂々と宣言する。
「邪神を倒し、星の神がしばらくの眠りについた。つまり、俺に託されたのは、この星のことは、俺やみんなで決めていけということだ。だから、人魔同盟学校を作った」
「これは神話の序幕。星に記憶される戦いになる」
ピノがぽつりと呟く。
「そんな御大層なものとは思っていないがな。だが、これから数千年後の未来は今、俺たちに託されている。つまり、力による支配か、そうではない何かによるのか。ルギはその舞台に誘われ、自ら立った。そして、俺を倒せるかどうかで未来の形が決まってくるというわけだ」
「旦那様が世界の趨勢を決める鍵というわけじゃな」
「単に生徒と話し合いに行くだけさ。だが、そのためにはお前たちルギの友達の力が必要だ。だから、みんな、俺に力を貸してくれないか?」
俺の願いに、生徒達は大きく頷いたのだった。
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