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11.コレット(竜の末姫)が仲間になった!

11.コレット(竜の末姫)が仲間になった!






「まず聞いていいか? ええと、コレットさん?」


「さんなど不要じゃよ。コレットと呼んで欲しいのじゃ。いや、べ、別に”お前”とかでもいいのじゃぞ! ともあれ、何なりと聞いておくれ、旦那様♡」


いやいや。


だから、ちょっと待たんか。


「気になっていたんだが、旦那様というのは何なんだ・・・?」


「わしがそう決めたのじゃ。って、言わせるではないわい、この旦那様!!」


そう言うと、娘は顔を赤く染める。


だめだ、このドラゴン。勘違いだと思うが、まるで恋する乙女のようになっている。まあ、もちろんそんな訳がないのだが。


俺はコレットを改めてちゃんと見た。


美しいのは銀髪ばかりではなかった。宝玉のような赤い瞳と唇としなやかにすらっと伸びた手足。年齢は俺よりも一回り程小さいものの、将来は絶世の美女になることが約束されたような少女だった。一緒に町でも歩けば周囲の男がまず間違いなく振り返るだろう。


竜種であることを示す一対の角以外は、何ら人と変わりがない。


「あっ、そう言えば」


俺は思いだす。ドラゴンには有名な伝説があったな。


「ドラゴンには自分を倒した相手と契りを結ぶという伝説があったな」


間接的に、俺はコレットを封印していた男を倒すことで、ドラゴンを倒したことになったのかもしれない。


だとすれば気にしなくていいぞ・・・。そう言おうとしたのだが、


「は? なんじゃそのけったいなルールは?」


違ったらしい。


美しい顔に怪訝な表情を浮かべられてしまった。


「そんな気色悪い変な理由で、一生添い遂げる旦那様を決めるわけがあるまい!」


「じゃあ、なんで俺なんだ?」


そう聞くと、より一層顔をカーッと赤くして。


「そりゃあ・・・お主が絶体絶命のこのわしを、超かっこよく助けてくれたから、そのぅ・・・その姿に一目ぼれしただけじゃ・・・、って言わせるではないわい! もう‼ もう‼」


ポカポカと俺の胸を叩いてくる。痛い痛い。竜だけに半端ない。


ただ・・・、


「それほど大したことはしていないと思うがなぁ・・・」


そう正直に言うが、


「んなわけないじゃろうが」


呆れられながら首を横に振られた。


「いちおう説明しておくがの、あの魔法使いはな、手段はともかく、出来損ないとはいえ、ゲシュペント・ドラゴンを1000年以上の長きにわたって封印したのじゃぞ? 場合によっては世界を滅ぼす存在になったかもしれん」


えっ⁉


「そうなのか? ただの少女略取の犯罪者だと思ったんだが・・・弱かったし・・・」


「いや、旦那様はどんなけ規格外なのじゃよ。あれを弱いって・・・。いちおう竜族の権能を奪い取っておったわけじゃからな」


そう言われるとそうだ。竜族は地上最強の存在とも言われている。その権能を持った相手を簡単に倒してしまったのだから、コレットが驚くのも無理はなかった。


だが、本当に大したことなかったのだがなぁ・・・。


娘は咳ばらいをして、


「というか、旦那様。答えを聞かせてくれておらんぞ。わしの主様にはなってはくれんのか? 正式な我が竜騎士となってはくれんのか? 悪い魔法使いにつかまって、助けてくれたのに、助けるだけ助けて行ってしまうのか? この≪捨てドラゴン≫を非情にも見捨てるのか?」


「捨て犬みたいに言うな。ていうか、故郷に帰ればいいだろう?」


「呪いをかけた相手がいるような地にか?」


「そうだったな・・・。すまない、つらいことを思い出させてしまって」


「いやいや、それはどうでもいいのじゃ。そのおかげで旦那様と会えたおなら、全て良かったとすら思い始めてきたくらいじゃ! なので、むしろ旦那様がわしをどう思っているか、それを聞きたいのじゃ。やはり、こんなチンチクリンではだめなのか? そうなのか? じゃが、ちんちくりんじゃからできる技もあると思うぞ? わしは尽くすタイプじゃぞ? 頑張って旦那様を満足させると思うぞ? な? な?」


そう言って、縋る様にしてきた。というか、俺を逃がすまいとホールドしてきた。チンチクリンとか言っているが、身体は年相応に出るとこは出ていたりする。ええい、胸をおしつけてくるな。


「いやいや、チンチクリンて。お前くらいの美人は一人くらいしかお目にかかったことがないよ。ていうか、頑張るってなんだ!」


別にお世辞ではない。


俺の先日まで所属していたパーティーに、一人、同じくらいの美少女がいたが、そいつを除いては、これほどの美しい少女は見たことがなかった。


「また美人じゃと言ってくれたな! ふ、ふふふ」


嬉しそうに微笑む。が、


「・・・じゃが、そのわしと同じくらいの美人とかいう一人が気になる。というか、嫌な予感がするのじゃ。なんじゃか将来旦那様を取り合うライバル的存在になりそう的な予感が・・・」


次は難しい顔をした。何を言っているのかよく理解できない。


やれやれ。俺はため息をつく。


久しぶりの一人を満喫するつもりだったが・・・、


「捨てドラゴンか・・・。まあいいさ。飽きるまでついてくればいい」


「へ? よ、良いのか? そんな簡単に」


突然の許可に唖然とした。。


「俺がお前の唯一の乗り手なのだろう? なら、一緒にいるのは道理というものだ」


すると、彼女は、


「えへへ、とてもうれしいのじゃ」


年相応と言って良い、あどけない、満面の笑みを浮かべたのであった。


嬉しそうに微笑んだ。


「むむ・・・」


ただでさえ絶世の美少女だけあって、微笑むとその破壊力はすさまじい。俺としたことが少し息をのんでしまった。


「・・・ああ。別にあてのある旅じゃないからな。急ぐ旅でもない。ドラゴンの姿になって飛んで行く必要もないし、目立ちたくないから、徒歩で進んで行くつもりだ。あと、俺は勇者パーティーをクビになった身だ。今更大きな街に居場所なんてない。冒険者ギルドもきっと俺のランクをCからFまで落とすだろうさ。なら、田舎の僻地にでもひっこんで、適当に畑でも耕すつもりだ」


「連れて行ってくれるのか、やったのじゃ‼ よろしく頼むぞ旦那様‼ 我が竜騎士殿!」


そう、喜んでから、


「じゃが、一点腑に落ちんのじゃが・・・」


コレットは怪訝な表情を浮かべてから、


「その勇者パーティーとやらは、阿呆なのか? 旦那様をパーティーから追放するって。それと人間社会というのは、そうも人を見る目がないのか? 明らかに旦那様がいたから、その勇者パーティーは勇者パーティーでいられたのじゃろ? という当たり前のことが、わしですら一瞬で察することができるのじゃが・・・」


そう言ってから、


「追放って、どんな判断なんじゃよ!」


おおいにツッコんでから、小首を傾げたのであった。


「まあ、無理もないことさ」


「そうなのか?」


「理解できないこと。余りにもレベルの違うもの。それを人間は恐れて遠ざけようとする。人の本能に根差した逃避だ。自分を保つ、というのは優れた者を排除する、という事実が含まれる」


「確かに人間は社会的な動物じゃて。しかし、だからと言って人間の宝と言っても過言ではない旦那様を排除するのは歴史的な失敗ではないのじゃろうか?」


「さてなぁ。だが、あいつらに教えるべきことは教えた。保護者、教師としての役目は終えた。あとは生徒であるあいつら自身が独り立ちをしなければならないんだ」


「なるほどのう」


コレットは得心したとばかりに頷き。


「確かに旦那様は勇者そのものではないようじゃな。むしろ勇者や人類、いやこの世界のあらゆるものを、望ましき場所へ、あるべき姿へ、通るべき道へ、そういったところへ先導する『導き手』なのじゃろうな」


「お前の言葉は大仰だな」


「何を言うか。これでも出来るだけ抑制して言ったつもりじゃわい」


やれやれ、過大評価もいいところだ。俺がやったことなど、人類を救うためのほんの些細な一手にすぎない。俺は人類の、いや世界を『バックアップ』する程度の裏方にすぎないのだ。無論、俺のそうした行いが人類や世界の行く末を決めると言う、決定的な役割を果たしてはしまうのだが、やはり俺は裏方にすぎないし、その方が性に合っている。目立つのはそういうのが好きなもの好きに任せておけばいい。俺はのんびりとしたのが好きなのだ。力があり、才能があったとしても、それを振るいたいとは特に思わない。そういう地位や名誉よりも、日々の平穏こそを愛する人間が世の中にいてもいいだろう。


「さ、そんなことより、改めて宜しくな。コレット」


「うむ、こちらこそ宜しくなのじゃ、旦那様。わしの唯一の乗り手。竜騎士様♡ 今後久しくよろしく頼むのじゃ」


そう言ってコレットは俺の腕にヒシとしがみついてくるのだった。


なお、この時コレットがさらりと言った「今後久しく宜しく頼む」という言い回しが、ドラゴン種族においては、命尽き果てるまで一緒にいる、という意味合いであるとは、この時の俺は迂闊にもまったく気づかなかったのだった。"


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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[一言] なろうには主人公の最初の仲間を美少女にしないといけない決まりでもあるのか? 美少女量産しすぎだろ そりゃ現実の映画製作なら俳優探すの大変だから、 気軽に台本に絶世の美少女なんて書けないのに対…
[一言] 会えたおなら だけは面白い
[一言] あぁ、バックアップ(後方支援)じゃなくてバックアップ(記録装置)なのね
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