終わりの生活と始まる生活Ⅵ
翌日、家を出ると騎士団長様がお怒りのご様子だった。
『罪人たちが脱走した。急ぎ探し出し誰が手を貸したか。問い質せ』
おいおい、街中でそんなに叫ぶと国民達は怖がるぞ。明らかにバレてはいけないことがある顔をしているな。今はまだ相手をするわけにもいかないし、急ぎ大聖堂へ向かうか。
「リナ国王は、現在急ぎの用事があり、面会を禁じている」
「ライオというものだが、通してもらえないか?」
「錬金術師ライオ殿入城を許可する」
前日に送った手紙の内容を無事に見てくれたようだな。おかげさまで今回はスムーズに中へ入ることができた。急ぎ大聖堂へ向かう。そして到着し中へ入ると、リナ様が先に待っていた。
「ライオ・・・」
「国王様、この国は最高だよな」
「ライオ・・・」
「そんな顔をするなよ。自信を持っても大丈夫だ」
「どうして・・。罪人たちを解放したの?」
「反論会を開くことは違反ではなかったよな?それを無理やり投獄しているお前らが罪人じゃないか?」
「それは、違います。私達がルールを決め直せばそれもなくなります」
何をムキになる。正しいことをしたと思っているのか?
「お前は武力行使し、反論会を潰しリーダーとその家族を投獄することは正解だと思うのか?」
「当然です。そうでもしなければ、反論会が大きくなり、王権が淘汰されてしまいます」
「お前が心の底からそれを言っているならば、今すぐにこの国を滅ぼすしかないな」
「・・・・・」
「突然黙ってどうした?お前はもっと言い返してくる奴だろうが」
「貴方にこの立場の恐ろしさがわかるの?一つ間違えるだけで、国民達が反論階を開き、意見を突き出してくる。それを無視すると国のために考えていないと批判される。貴方にはこの気持ちがわかる?」
「全くわからん。俺は所詮錬金術師だからな」
大きすぎる権力を持つ人間は狂うと聞いたことがあるが、ここまで重圧があるとは思っていなかった。もし、俺も英雄になっていたら・・・・。
「反逆者ライオ、貴様を国家転覆の容疑で処刑する」
「これはこれは、ヴァン様じゃないですか」
「己、引きこもり錬金術師ごときが、余計なことを死して償うがいい」
「ヴァン、やめ・・・」
「騎士団長ヴァン様、魔物との契約のために、国を売ろうとした行為は、万死に値します。今ここでローナは貴方を処分することを決定しました」
「リオン遅すぎるだろ」
「ごめんなさい」
これで全員か。次に国民を王城前に集めるとするか。
「リリス、テレパシーで国民を王城へ集結させるように伝令してくれ」
「かしこまりました」
さてと・・・。
「ヴァン、いやキザンお前は何を目的で体を乗っ取った?」
「ははは、やはり気づいていたが、人の子達よ」
「そりゃ気づくだろ。悪いけど邪魔だから自滅してくれないか?」
「人の子よ。余り頭に乗るでないぞ。我は魔王ディム様直属の部下、お前らなど相手にならないわ」
「そうか?じゃあ苦痛を与えて、お前を殺してやるよ」
あーあ。結局戦闘シーンとか苦戦するとかしてみたかったけど、この能力を使うといつも一撃で終わってしまう。
「ごめんな。ヴァン。痛みは消えることはないと思うが、あの世でこの国の末を見ていてくれよ」
「何を・・・・・・・・した・・・・・・」
「錬金魔法ってさ。錬金術師なら誰でも使えるものだと思ってたが、そうでもないんだな」
キザンは、錬金魔法により消滅した。
「ライオ!今の魔法は何?」
「んーと光魔法ってやつじゃないか?」
「魔法を使えたの?」
「まぐれだ」
「そうなの・・。それよりごめんなさい」
直後、リナは泣き崩れてしまった。女性を泣かせてしまうとは、男失格だなとか思ったり思わなかったり。
「ライオはどうして助けてくれたの?」
「リナさんが道を外した時は救うってライオさんは約束してくれたじゃないですか」
「リオンの言うとおりだ。お前国王になって、10年前のことも忘れちまったか?」
「うううううわああああああああああああああ」
また泣かせてしまった。もう今日は泣きたいだけ泣け
「それと、ヴァンのことは残念だが、助からないだから新しい騎士団長と、国民たちへの説明をちゃんとしろよ」
「うん。わかった・・・・」
説教とアドバイスを終えた後リナは前よりも笑う機会が増えたような気がした。確かに平和を守るためには少なからず助からないものはある。しかし、国王がそれを諦めては何もできなくなってしまう。だから動いた。そして『仲間』を助けたいという気持ちもあったしな。
この後の説明は後日談になると思う。今はゆっくり休もうか。
・・・・・
あ、先生になる準備何もしてない・。
元仲間から仲間になってよかったですね。
一章完結しました。まだまだ改稿してクオリティをあげていく予定です。
この後の国民への説明は後日番外編終わりの生活と始まる生活後日談をUPします