復習と復讐
魔人襲来の警報を受けて、学園は自己防衛体制を取ることになった。リオンは急ぎローナ部隊を指揮し、学園にやってきた。後はアリサを見つけ出し、宮廷魔術師団に任せればいいと思っていたが、アリサがどこにもいない。マナを追っているが、実験棟3階にいるのは分かっている。しかし、実態がないということは、魔人共が隠したがあるいは死んだか。後者は考えたくない。3階を走り回りながら探していると、錬金実験室から悲鳴のようなものが聞こえてきた。
「ねえねえモネお姉さま、この女の血飲んでもいいですか?」
「ねえねえミラお姉さま、この女の血美味しそうですね」
「ミラ、モネ、人間の血を美味しそうというのは失礼ですよ。すみませんね」
「ちょっとあなた達何者なの?それにここは魔物が来ていいところではなく、高貴な学生たちのところよ。帰ってちょうだい」
「私達はディム様の参謀ミラ、モネ、メイと申します。人間たちを実験台に錬金魔法を完成させるべく、実験台を確保しに来ただけなので、目的が済みましたら、帰るのでもう少々お待ちくださいませ」
「また、錬金魔法・・・。ふざけないで!あなた達魔物のせいで、沢山の人間が巻き込まれたのに」
「何をおっしゃっておりますか?元々は帝国指導で行っていた事実を知らないのですか?私達は魔人は前皇帝から生み出されたのですよ?」
「な・・・に・・を・・・」
「悪いな。未来ある教え子に余計なことをいうのはやめてくれないか?」
良かった間に合った。どこかで見たことのある奴らだと思ったら10年前、俺が殺してしまったサキュパス3姉妹じゃないか。こいつらも復活することができたのか。今はそんな事を言っている暇はなさそうだな。
「お前は10年前の錬金術師!」
「よくも私達を殺したな」
「人間よ。頭にのるなよ」
「待て待て、悪かったよ。でも、今回の目的次第じゃまた殺さないといけなくなるんだが?」
「先生!この魔物たちと知り合いなんですか?」
「後で教えてやるから後ろにいろよ」
この騒ぎがこれ以上大きくなると、現政権の信用度が落ちてしまう。そうすると大規模暴動になりかねない。しかし、この場で俺ができることは、奴らをまた一瞬で殺すか。逃げるかだが、ここで逃げると、別の誰かが標的になってしまう。そんなことをしては、面目がただない。だからこそ、10年前と同じことをするまでだ。
「久しぶりの再会嬉しかったけど、被害出るとさ、リナとかリオンが築き上げてきたもの、崩れるんだわ。それにさ、お前らだって残酷な死にかたより、楽に死にたいだろう?」
「ミラ、メイ、逃げなさい」
「これは10年前よりも強い魔力」
「私達はここで死んでしまいます」
「ごめんな。でも敵にならなきゃ仲良くできそうだったよな。あばよ」
次の瞬間。目の前にいたサキュパスは灰になり、風と共に空へ飛んでいった。
「先生!今の魔法はなんでしょうか?」
「お前が嫌っている。錬金術師の魔法さ」
「・・・・。先生!隠し事をするなんて最低ですね」
「聞かれなかったから答えなかっただけだ。それにしてもあいつらと戦おうとするお前は馬鹿だよな」
「そんなことありません。でも、助かりました。ありがとうございます」
「そうか。よか・・・」
ここはどこだ?また、全魔力を使い果たして倒れてしまったか。