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君と輪廻の結び方  無適正者と鬼姫の異界捜記  作者: 鈴片ひかり
第四章 結びの章
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38 葵衣編⑤ 流転暗夜

令和元年 一発目の投稿を決めようと思いスタンバってました(≧▽≦)

挿絵(By みてみん)

 地上へ迫り出すように築かれたドワーフ王国の入り口でもあるノイベ岩城門。歴代ドワーフ王の似たような深みのある重厚な顔が彫刻された威容と濃さに人々は圧倒されるのだろう。

 さすが手先の器用さにかけては他の追随を許さないと言われるだけあって、彫刻や建築物の出来栄えも唸るほどのものだ。まるで今にも動き出しあくびでもしそうな躍動感がみなぎっている。


 そのノイベ岩城門にてオーガ族の受け入れが開始されていた。


 族長代理のバルディが単身で乗り込み話をつけてきたという。

 条件はあったものの、オーガ族にとっては受け入れやすい内容で女子供や負傷者たちの収容作業と受け入れ施設への案内が始まっている。


 訝しむ葵衣にマイが聞きこんできた内容を説明してくれた。


「つまり……戦えるオーガ族は巨人族との戦争が近いので軍に参加しろってことなのね?」

「はい、皆雪辱の機会を出来たと張り切ってるんです!」


 こういう表情を見ているとやはりマイもオーガ族の血を強く受け継いでいるのだということがよくわかる。

 自身も鈴鹿御前という恋に生きた鬼姫の血筋を強く意識することがたまにあるぐらいだし……胸の鼓動とレイジへの身を焦がすほどの思いさえ愛しく感じるほどだ。


 レイジという少年がもしかしたら坂上田村麻呂の転生した姿ではないか……そう思ったことはあったが、まったく別人だと相談した菩薩様がきっぱり断言した。


 もし違ったら思いが変わってしまうのか?という不安もあったが、実際は前よりも好きになってしまったほどで前世なんてどうでもいいやという気にさせてくれたものだ。


「にゃ?」どうしたの?とばかりに頬をぺたぺたと肉球で触れてきた”ぷに太”が心配そうな瞳で見つめてくれる。


 ほぼ一撃で見る者全てをその肉球と愛らしい表情で虜にしてきた魔獣いや、聖獣グランライガーの幼生体【ぷに太】

 あら? 意外と普通の名前じゃない? と思う人がいるかもしれないが、これは紆余曲折、猛反対の署名の末に変更された名前である。


「ぷに太くん良かったね、バケツ なんて名前じゃなくて」

「にゃぁ!!」


 ひと際大きく力強く同意したぷに太は明らかに人の言葉を理解している節がある。


「バケツいいじゃない。器量が大きな子になってねっていう思いが」

「それたいして大きくないですから!」「うにゃ!」



 ◇



 ドワーフ王国では疲労を癒し、聞き込みも兼ねて数日滞在することにしていた。

 地下の大帝国はドワーフたちの凄まじい技術力によって昼夜の照明設備が完備され、整備された歩道や太古の技術を応用した貨物輸送のベルトコンベアのようなものまであった。


 見慣れぬ文化形態と生活様式に戸惑いながらマイと一緒に昼食をとっていたとき、それは唐突にもたらされた。


 隣の席にいた商人らしきドワーフが声をかけてきたことから始まる。

「お嬢さん、その美しい黒髪は非常に珍しいのう。ラザルフォードで一度見た時も驚いたものじゃわい」


「……ちょっと! 今なんて言ったの! ねえ!」


 掴みかからんとする葵衣を取り押さえながら事情を聞くと背はこれくらいで歳はあなたと同じくらい、優しそうな顔立ちじゃった という情報に葵衣は崩れ落ちた。


「レイジくん、レイジくんだ! レイジ! レイジ!!」

 マイに抱き着いて大泣きし始めた葵衣を宥めつつ、ぷに太がよしよしと頬ずりし始めた。


 落ち着いたところで改めて情報を聞き出すと、二カ月ほど前ラザルフォード滞在中に見かけたという。


「どこに行くんですか葵衣様!」

 マイに取り押さえられてから、葵衣がラザルフォードに急ぎ向かうという報は折衝中のバルディの耳にも入ることになる。


 同席していたドワーフ王国の将軍がラザルフォードの竜籠便に空席があれば押し込んでもいいぞと言ってくれたため、大恩人のなのでどうかお願いしますと頭を下げてくれたのだ。


 いきなり出発が明日早朝になり、入院していたバルディの父である長老は葵衣の手を握り感謝の言葉を改めて囁いた。


「葵衣様……我らオーガは闘争を好みます。ですが300年前に野蛮だと滅ぼされかけた我らを救った人間がいたのです。剣の英雄ヴェンディダール……」

「マイも同じ話をしていたわ」


「彼は防衛や身内の危機に関する以外で人を襲わず争うなかれ、話し合って決めようという教えを実践したのです。我らはそれを守りました……さすればあなた様との邂逅へと繋がったのでございますね」

「そんな大げさよ、オーガ族の誇り高い生きざまと諦めない心がここに到着させたのよ」


「葵衣様、できればあなた様にオーガ族を率いて欲しかったのでありますがそれは叶いますまい。レイジ殿と再会できることをお祈りしておりますよ」

「ありがとう長老様」


 ここに来てようやく葵衣が冷静になったとマイは感じていた。

 同行者に関しては多くの者が立候補したが、オーガ族をそのままには出来ないという葛藤に苦しんでいた。


「だから私が行くしかないと思うのです父上」

「うむ、わしもそれが一番ではないかと思っていた。娘よ!! 葵衣様の補佐役、見事務めてみせよ……無理はするな死ぬんじゃないぞ。せっかく生き残れたのだからな」

「お父さん……ちょっと汗臭いよ……」


 一時的に借り上げられた宿屋には多くのオーガが集まり、マイに俺たちの思いを頼むと……静かな別れが繰り返されていた。




 翌日、葵衣は巫女服姿ではなく出会ったときに来ていた不思議な恰好をしていた。


「セイフク っていうお召し物ですか?」

「うん、これを着てたらすぐにレイジも私だって分かると思って」


 かわいい人だなぁと思う。逆にこれだけ思われる男、レイジに対しマイはやや嫉妬の感情が生まれ始めている。

 葵衣様を悲しませ寂しがらせるなんて、ひどい男だ……と一瞬だけ嫌な感情がよぎったことに自分でも驚いていた。


 人を深く思うようになると、その人に関わる情報にやきもきさせられることになるんだとマイは自戒した。


 だが葵衣はマイが同行することにしばらくイエスと言わなかった。

「何故ですか?ぷに太がいるとしても、葵衣様は結構ポンコツなんですからすぐに行き倒れになりますよ?」

「ちょっとポンコツってひどいじゃない」「にゃぁ……」


「もうぷに太まで! うう……だってさ、マイにはガイガスパパがいるじゃない。一人になったら寂しくて泣いちゃうよきっと?」

「葵衣様、私は共に行きたいと志願した者たちの代表なのです。どうか同行させてください」


「そりゃさ、私だって見ず知らずの土地だから誰かいてくれたほうが、うれしいっていうかさ」

 まったくかわいすぎるでしょこの人は。


 気付いたら、もう抱きしめていた。放っておけないし、この人の笑顔をずっと見ていたい。

 レイジさんと幸せになってのろけておバカに騒ぐ様子を眺めてみたい。


 きっとぷに太もあきれて「にゃぁ・・・」とか言っちゃうんだろうな。


「大丈夫です。ずっとずっと葵衣様と一緒です、それにそうしなくちゃいけない気がするんですよ」

「ありがとう……マイ」



 ◇


 軍事機密……

 ということで竜籠に乗る前に目隠しと防音効果のある魔法耳栓をされ、手足を縛られ籠に放り込まれた葵衣とマイは荷物として押し込まれた。あの将軍が押し込むと言った通りの処遇である。


 騒ぐとうるさということで眠りの呪文をかけられ、すぐに熟睡。


 気付いたら魔導王国ラザルフォードの竜籠駐機場の待合室で荷ほどきをされているところだった。


 ぱたりと倒れる二人。

 同じ体制だったらしく、足腰が痛い。


 二人で老婆のように頼りない足取りで近くのベンチに腰をかける。

「よっこいしょういち……」

「ふぅ……」

「にゃぁ……」


「そういえばぷに太も同じ目にあってたの?」

「にゃ!!」


 猫のように伸びをして体をほぐしている姿がなんともかわいらしい。


「ってここどこなのかしら?」

「待合室の事務員が気の毒そうに見てましたが、どうやら魔導王国ラザルフォードで間違いないようですよ」


「うわぁ……凄い街だな」


 無数の尖塔が地上から生え天へ歯向かっているような挑戦的な意志さえ感じさせる。


 他の建築物はデュランシルトやグルノアとあまり差はないが、色調としては東大陸よりバラエティーに富んだ印象が強い。


 ここにレイジがいる。いるに決まっている! そう思うと走り出したくなってたまらない。

 出会ったらどうしよう。

 私から抱き着いたら恥ずかしいかな、軽い女って思われないかな。


 でもそんな気持ち抑えられる余裕はないし……


「葵衣様、とりあえず冒険者ギルドとやらに顔を出してみませんか?」

「そ、そうね、そうだよね! レイジだったら絶対冒険者ギルドに登録してるよ!!」

「にゃ!」


 マイが何人かに声をかけギルドの場所を聞き出すと、そこは尖った塔が構造物の両脇から生えた奇妙な建物だった。


「けったいな建物ね」

「きっと冒険者登録とかあるみたいですよ」


 レイジは私のことを魔法使いとか召喚士に相当するんじゃないかと言っていたが、果たしてどうなのだろう?

 退魔法がこの世界でどういう分類として扱われるのかは謎だ。


 内部は非常に清潔で清掃が行き届いている。

 大理石に似た石材で作られた内部は魔導王国の名にふさわしく、宙に浮いたドローンのような魔法道具が書類などを上階へ運んでいる。

 逆に上から下、各部署を巡回するようなタイプまであるようで、カウンターの女性職員たちも優雅でどこかデュランシルトの雑多な感じとは異なる。


 もちろん葵衣はそのことを知る由もないが、やや息苦しさを覚えてはいる。


「そこのお二人さん、どうやら冒険者ギルドは初めてみたいね? 何だったらお姉さんが相談にのっちゃうぞ?」

「え? あっはい、そのお願いします」


「そうそう分からないことは素直に聞くのが一番よ」


 その受付のおねえ……さんは、とても背が高く190cm以上あり、筋骨隆々で鍛え上げられた肉体に黒のタンクトップと口ひげを生やしている。


「あ、自己紹介が遅れたわね、私は受付嬢をしているパールよ。パールちゃんって呼んでね!」

「は、はい、パールちゃんありがとう」


 初めて見るおねえ系に圧倒されっぱなしのマイだが、慌てて葵衣の後を追う。

 入り口に近い椅子が置かれたカウンターに到着すると、手際よく書類を二枚取り出して説明してくれた。


 非常に説明が丁寧で嫌がることもなく教えてくれる態度に、葵衣はパールという受付嬢の人柄の良さを実感した。

「葵衣ちゃんに、マイちゃんね、素敵な名前だわ」


「パールちゃんも音の響きが落ち着いた美しさを感じさせてくれますね」

「!!? ね、ねえ……も、もう一回言ってもらえる?」


「えっと、落ち着いた美しさが感じられる」

「ああああ、この言葉を殿方から囁かれたらあたし……もう死んでしまってもいいわ」


 固まるマイを突っついて愛想笑いでもいいからしなさいと目で合図をするが伝わるかどうか。


「じゃあ、二人とも指先からちょっとだけ血をもらうけどいいかしら?」

「血ですか??」

「そうなの、最新の適正職判定で必要なのは血液なのよ」


 痛みを感じることもないような極微々たる量を魔法道具で採取すると、それぞれを判定機になる水晶を使った判定魔法道具へとセットする。


 奇妙な光を発しながら測定される適正職業らしいが、葵衣はさして興味がない。もうすぐレイジに会えるのだから職業判定などどうでもいいという意見であった。

 マイは緊張し、変な職業じゃありませんように! と祈ってさえいる。


「……葵衣ちゃん、あなた!? お、おにひめ ってどういうことかしら?」

 何か叫びそうだったマイの口を抑えると、ちょうど良い言い訳を思いついた。


「えっと現地の言葉で、魔法っぽいものを使う人って意味だったような?」

「すごいわ、おにひめ、いい響きね!」

「ありがとうパールちゃん」


「ふふふふ……じゃあ次はマイちゃんだけど……あら? これって」

「なんかカッコイイの出ちゃいました!? 聖剣士とか!?」



「ごめんなさいマイちゃん、あなた 世話係 らしいわ」

「にゃにゃぁ~」

 パールはぷに太のかわいらしさにノックアウトされて悶えているが、マイは若干ショックを受けているようで葵衣が必死になぐさめている。


「せ、世話係って……」



 落ち込み気味のマイと共に目撃情報を探しに行くと、 聞き込みどころの話ではなくなっていた。



 いわゆるナンパの嵐だった。


 あまりのしつこさに葵衣がぶちきれかけていることを察したマイは、ナンパ集団を追いやり静かな昼間の酒場で飲み物を飲むことにする。


 冷えた果実水が喉と体に染み込み葵衣の苛立った精神を鎮めてくれているようだった。ぷに太もあのかわいい脚で頭を撫でてくれるようにさすってくれた。


「ごめんねマイ……レイジ君まであと一歩だって思ったらもう頭に血が昇っちゃって。なんで私の邪魔をするの!! って」


「気持ちは分かりますけど、焦ったり怒りに任せたらチャンスもなくなっちゃいますよ」「うん……ごめん、ぷに太も苦労かけるわね」

「にゃ」


 マイの提案であと数日でお金が尽きるから適当な依頼をこなしましょうということになった。


 さっそくパールちゃんにおすすめの仕事を聞いてみる。


「二人ともEランクでマイちゃんはレベル15、葵衣ちゃんはレベル30になるのね。ならレベル補正でこのくらいの依頼なんてどうでしょう?」


 パールが進めた依頼は、二人に配慮してくれたものだった。


 ・サキージュ街道の魔物退治。 倒した数・種類で追加報酬あり。

 ・ラドモンド草原で目撃された魔物の調査。討伐ではなく情報収集。


 二つとも依頼達成で3万レーネ。中々の高収入だが男たちはただ単純な討伐を好むため調査要素が入ると敬遠されたがちなのだという。


 葵衣はしばらく縁結びのお守りを握りしめ思案していたが、ラドモンド草原での魔物の調査を選んだ。

「てっきり街道のほうかと思いましたよ。魔物調査とか大変そうで、大雑把でずぼらな葵衣様には不向きかと思いますよ?」

「あんたねえ、私をなんだと思ってるわけ?」


「それはもう尊き鬼姫様ですよ。少々食い意地が張りすぎて、すぐ落ち込んで泣きべそかいたり、怒ると見境なく破壊しまくったり、でも後で反省してしょんぼりしてるような人です」


「マイっていじわるね」


「にゃぁ?」


 なけなしのお金で安めの宿を取り、翌日朝一でラドモンド平原へ向かうことになった。

 あいかわらずぷに太が魔物の気配を感じるとすぐに教えてくれるため、襲ってくる妖人種たちは全てきっちり返り討ちにさせてもらっている。


 マイもガイガスパパから餞別として送られた魔法の長剣を下げており、オーガ族なのでそこそこの戦士並みに戦えるが基本戦闘経験が豊かでないのですぐに、ひぇー! とかうぎゃー! とか悲鳴を上げている。

 だが修羅場を何度もくぐっているためか、ひょいひょいと避けるのがうまい。


「にゃにゃ!」

 ぷに太もその小さく愛らしい体躯とは違った迫力でゴブリンたちを追い払ってしまうほどで、頼りなさそうで頼りがいがあったりその逆だったり面白いメンバーだなぁと思う。

 そしてここにレイジがいてくれたら、どんなに心強いか。


 彼は刀を使った近接が得意で、私は退魔法を使った中距離戦を使う……これ以上の相性はなかったのに。


 ラザルフォードから半日ほど南西の小麦畑を抜け湿地帯を抜けた先に広がるのがラドモンド平原だ。


 湿地帯ではナマズンというナマズ型半魚人が襲って来ようとしたが、ぷに太の「にゃぁ!」という一吠えで逃げ去って行ってしまったので無事サバンナと大草原の中間的な平野へ到着することができた。


「へぇこんなに平地で良い土地があるのになんで開拓しないんだろうね?」

「それなんですが、例の魔物の他にここはグリフォンの狩場らしく、滅多に人は近寄らないみたいですよ」


「グリふぃんどーる??」


「グリフォンです。鷲の上半身と獅子の体を持つそれはそれは獰猛で怖い魔物ですよ!」


「へぇ……でもぷに太がいれば大丈夫じゃない?」

 だがその時、ぷに太は何かに警戒し、小さくかわいい唸り声をあげていた。


「ぷに太?」

 ぴょんと飛び出していったぷに太はその体に似合わないスピードで駆けて行ってしまう。


 急いでマイと葵衣は追いかけるも、追いつくことができない。

 体力のあるマイや葵衣がやっと追いついたとき、ぷに太が警戒し唸った理由がそこに転がっていた。


「ねえ……これってマイが話していたグリフォンじゃない?」

「そう……ですね」


 マイが語って聞かせてくれた恐ろしいグリフォンは、内臓を食い散らかされた無残な姿で草原を朱色に染めていた。


 千切れた頭部が転がり、引き裂かれた羽が血に濡れている。

 背骨を砕かれそこから脊髄を啜ったような形跡まであることに、マイは震えんばかりに驚いている。


「グリフォンをこのように一方的に倒し食い散らかす相手って想像がつく?」

「あ、葵衣様!! 逃げましょう!! む、無理ですよぉ!」


 しがみ付いたマイの頭を撫でながら、葵衣は胸の縁結びのお守りが鼓動のように脈打つ感覚に戸惑いにも似た喜びを感じていることに驚いていた。


「ぷに太、マイとここで待っていてね」

「にゃ!!」と元気よく前足をあげて答えてくれる。


 ささくれ立った心がぷに太のおかげでどれだけ救われただろう。


 血の跡が残る草原の赤を辿りながら、葵衣は森との接合点で生えるように飛び出していた小山の頂上へ登っていく。


 心臓の鼓動が高鳴り、歩む足が重く感じられていく。ねっとりとした存在感と発する気が足元に絡みつき不安や恐怖を掻き立てていた。



 古の神殿跡のような遺構が苔むし倒れ埋もれる中、無事な石柱が立ち並ぶ祭壇のような場所に アレ がその姿を無防備に晒していた。






最終章 結びの章 です。

去来する思いが私の中で溢れ爆発してしまそうになりましたが、なんとか仕上げることができたと思います。

目を通していただけたのであれば、これ以上の喜びはありません。

皆さまにとって、令和がすばらしい年になりますように。

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