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第18話 家族

 これほど夏期補習に感謝したことがある人は多分僕くらいだろう。

 夏期補習が無ければ、どこに住んでるのかもわからない音海に会うことなんてきっと不可能だった。


 僕の学校は全員必須の夏期補習……と言ってもあくまでも補習なので来なくても欠席には数えられない。けれど容赦なく授業は進むし、内申点とかにも影響があるので基本的に誰もが行っている。


 最初これを聞いたときはあまりの嫌気にうへぇと呟いたものだが、今回だけは感謝しよう。

 感謝するから来年からは消えてくれないかな? 消えてくれないよな……。わかってるよ。


 ただ、夏期補習が始まるのは夏休みが始まって数日後からなのでそれまでは特に動く事もできない。

 だからといって宿題にも手がつかず、朝から余っている時間をどうしたものかと考えているとインターホンがなった。


 誰だろうか? 僕のとこに来る人なんていないだろう。だって友達いないし。新聞とか宗教か?

 だったら居留守でいいか。

 音を出さないことに意識を使いつつもさっきと同じようにやることもなくぼーっとする。


 ピンポーン。


 まだいるのか。こういうのって結構しつこいんだな。


 ピンポーン。


 ……


 ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ──


 鳴りやまないインターホンに折れたのは僕の方だった。


 ドアを開けると整った顔を少し不愉快そうなに歪めている女性が立っていた。

 横には大きなキャリーバッグが置いてある。


「母さん何してるんだ?」

「久しぶりに会いに来ただけよ」


 まだ不満そうに言う彼女は四季遥(しきはるか)。僕の母親で常時暴走列車状態のトラブルメーカーだった。


「……父さんは?」

「仕事全部任せてきちゃった」

「そんなのでいいのか?」

「私はあの人を信じてる」


 とまあ、こんな風に自分のやりたいと思ったことを我慢できず、いつも周りを無視して突き進むような人が僕の母だ。


「それで、何しに来たんだ?」


 とりあえずごちゃごちゃしたリビングに通すと母さんはやれやれと頭を押さえながら首を横に振った。


「掃除しなさいよ」

「また今度するよ」


 こう言う奴は絶対しないだろうな。

 なんとか座れるスペースをつくると母さんはそこに座った。


「もう一回聞くけど何しに来たんだ?」

「息子の顔を拝みに」

「もう十分拝んだだろ? 帰ってくれ」

「冷たい! これが反抗期なの!?」


 よよよ。と泣いたふりをしつつこちらをチラチラ見てくる。


「それで、本当に何で来たんだ?」

「本当の本当に私の息子に会いに来ただけよ? お父さんも後で来るから久しぶりにどこかで食べない?」


 母さんの言う姿に特に嘘は感じない。いや、嘘が全部探知できる訳じゃないからなんとなくそんな気がするだけなのだが。

 まあ、僕の方もそれを断る理由も特に思い浮かばない。


 せっかく仕事を抜け出して来てくれたのだ。その気持ちを無駄にしたくない。……けど、仕事抜け出すのはダメじゃないか?


「そういえば湊、最近何かあった?」

「ん? 何で?」


 そう聞くと母さんは僕の顔をじっと見る。

 その目に戸惑っていると視線は別の方向に向く。


「だって私の視線を受けても気分悪そうじゃないもの」


 確かに気分は悪くならない。今までだと少しくらいは不快になっただろうに、今回は全くならなかった。


「だから何かあったのかなって思っただけよ」

「まあ、色々」


 多分、音海のおかげだろう。

 だからこそ音海ともう一度友達になりたい。一緒にどうでもいいことを話して、笑ったり悩んだりしたい。

 けど、そのために何ができるのかわからない。


 母さんなら何かわかるだろうか? けど、こういうのって言いふらして良いものじゃないし、けど相談する人が少な過ぎて全く策が思いつかないのならそれは本末転倒だ。

 考えた結果、それほど時間は経たずに答えは出た。


「仮になんだけど、いじめられてる人がいるとして──」

「いじめられてるの!?」


 デジャブ。


「いじめられて恐怖症が治るって……M?」

「断じて違う」


 というか良からぬ予想が出ているんだが。

 断じて違うからな。


「それで僕はその人を助けたいんだ」

「……女子?」

「まあ、女子だけど」


 そう言うと母さんはニヤニヤしながらこっちを見る。


「そっかぁ。湊も隅に置けないねぇ」

「多分、母さんが考えているような事じゃないぞ?」

「そっかそっかぁ」


 ダメだ、聞いてない。


「けど、いじめって一人が止めて止まるようなものじゃないわよ? それこそ原因がわからないと私も何も言えないし」

「そうだよなぁ。先生に聞いても教えてくれないし」


 というか多分、あの先生は知らなさそうだった。もしかしたら隠してるのかもしれないが、僕にはそんな風には見えなかったし、本当に知らないのだろう。

 だからといって、音海自身に聞こうにもどうする事もできない。


「やっぱり、こういう問題は異性の人には話しづらいことなのよ」

「けど、僕に異性の友達なんていないぞ?」


 音海だって、多分今は友達と言えるような関係でもないだろう。

 同性には友達いるみたいな言い方したけど、一人もいない。

 ……別にいいだろ。母さんにこれ以上心配かけられない。


「大丈夫。あなたが女子になればいいのよ」

「息子に性転換を勧める親なんてあんたくらいしかいないんじゃないか?」


 何をのたまってるのだろうかこの人は。


「見た目だけよ? っていうことで」


 母さんはそう言うとキャリーバッグから化粧やらなんやら取り出した。


「……他にも何か手はあるだろ?」

「何も思いつかないわ。私の特技知ってるわよね?」


 確か、母さんの特技はありとあらゆる護身術だったか。母さんには護身術の言葉の意味をわかって欲しい。


○●○


 鏡の前には長身ですらりとした女性が立っていた。

 髪は肩までかかっており、顔はそこそこ整っている。まあ、端的に言ってしまえば美人だ。

 まるで僕じゃないような見た目だった。というか僕であって欲しくない。これだといつかの女装疑惑が真実味を増してしまうではないか。


「色々と聞きたいことがあるんだが、まずは」

「何?」

「何で僕の学校の女子用制服があるんだ?」

「こんな事もあろうかと」

「僕の学校生活にどんな困難が待ち受けてると思ってるの?」


 男子高校生が女装しなきゃいけないような事態ってなかなか無いぞ。


「実は生徒会長になるプランもあるの」

「残念ながら生徒会長を目指す予定はないよ」

「貴公子プランもあるよ?」

「そんな気もさらさら無い」

「学校のマドンナになるのもあるわ」

「あんた息子になんてことさせようとしてるんだ」


 鏡を見ると苦々しい顔をした女性が見える。

 というか本当にメイクってすごいな。これはナチュラルメイクって言うのだろうか? あまりケバケバしくないというか。化粧をしてるように見えないのに僕の面影はどこかへ行ってしまっている。


「さて、湊の女装姿の名前だけど、『年月渚(としづきなぎさ)』で良いわよね?」

「何で僕の名前まで決まってるんだ」


 絶対いつかこの格好させる気だっただろ。


「……」

「な、何でじっと見るんですか……」

「うーん、娘もいいわね。渚ちゃん、妹欲しい?」

「なんか生々しいからそういう事聞くのやめてくれ。というか僕の名前は湊だ」


○●○


 それから女性の声の出し方など、色々と仕込まれた僕は今、学校にいた。

 母さんに今日学校が開いてるのは聞いている。というかあの人何でそんな事まで知ってるんだ。


 グラウンドでは今日もサッカー部や野球部が汗水たらして張り切っている。

 文化部もそれなりにいるようで廊下を歩いていると何人かとすれ違う。

 母さんに言われた通り、女性っぽく歩きやっとの事で職員室にたどり着く。

 失礼します。と小声で言いつつ中に入ると冷房の効いた空気に包まれ、少し身震いした。


 僕何で夏休みに女装して学校の職員室にいるんだ? というか、普通の文でも『女装』という単語が入るだけでヤバくないか?


 しかし、ここまで来て怖じ気づくのは来た意味がない。

 職員室にいる生徒を避けながら望月先生のデスクにつくと、そこには大量の用紙と格闘する先生がいた。

 少し喉の調子を確認し、女子っぽい声を出せるか確認する。


 よし、多分大丈夫。というかここでばれたら冗談抜きで僕の高校生活が終わる。


「望月先生」

「ん? ちょっと待ってね」


 先生はこっちを見てそう言うと、カタカタとキーボードで何かをうち、Enterキーを押すとよし。と呟いてこっちを見た。


「えっと、ごめんね。私まだ生徒の名前覚えてなくて……」

「あっ、年月渚です。ちょっと先生に聞きたいことがあって……」


○●○


 結果から言えば収穫は無かった。

 先生は本当に何も知らなかったようで、けどこのまま帰るのも少し勿体ない気がして、職員室の向かい側にある図書室に入る。


 図書室には誰もおらず、ライトノベルコーナーに足を運ぶ。

 やっぱり、面白そうと感じられる本は見つからなくて、本棚を眺めていると一冊分の隙間を見つけ、胸が痛む。

 僕はもう一度この本の感想を聞けるだろうか。

 もしかしたらこのままになってしまうのだろうか。

 それは嫌だな。


「あ、あの……」


 その声に振り返るとそこには考えていた人がそこにいた。


「この本戻したいから少しよってもらっていいですか?」

「……その本」

「あ、この本知ってるんですか?」


 音海は嬉しそうにしたあと、しまったといったように少し悲しそうな顔にしてしまう。


「ごめんなさい。私に話しかけられたくないですよね……」


 そこで自分が女装しているのを思いだし、女声を意識する。


「いえ、そんな事は無いですよ。その本どうでした?」


 音海は少し顔をそらした。


「実は全部読んでないんです」

「え?」

「私にこれをオススメしてくれた人がいるんですけど、私酷いこと言っちゃって、だからずっとその事ばっかり考えてどうしても読めないんです」


 悲しそうにする音海を図書室の大きな机まで移動させて席につかせると向かい側に座る。


「もしよかったら聞かせてくれませんか?」

「え?」

「言って楽になる事もあると思うんです。嫌なら無理にとは言いませんが」


 音海は悩むような顔をしてからやがてポツリポツリと話し始めた。


○●○


 私は普通の女子中生だったと思う。

 本当に普通の女子中生。

 友達も普通にいて、毎日をいつものように過ごす一般的一般中学生だった。


 あの日、ある友達に恋愛相談をされた。

 相談なんて言ったけれど、別に相談なんかじゃない。好きになった人のことを聞いてありふれた言葉で励ましているだけだ。

 数日後、私はその女の子が好きだった先輩に告白された。


 別に好きでもなかったから断ると次の日、私は普通じゃなくなっていた。

 周りの視線が妙に痛かった。

 いつも話してくれる友達は私を避けた。

 あの女の子は私を視界に入れようとしなかった。


 女子は数十人で一つの生き物のようで、影響力の大きな一人を中心に物事を進めていく。

 私の友達はその一人であり、また、私はその生き物の一部ではなくなったようでそこから弾き出された。


 それ以来、私は一人になった。

 女子はもちろんのこと、男子にも避けられるようになった。

 私の嫌な噂もよく聞くようになった。

 そうなる度に私と周りの距離はどんどん大きくなっていって、いつの間にか周りには誰もいなかった。

 それまで仲の良かった友達は私を気の毒そうに見ているだけだった。


 苦しかった。

 苦しくて泣きそうだった。


○●○


 それから話は、僕に『関わらないで』と言った所までいくと音海は顔をうつむかせ、涙はこぼれていないのに僕には泣いてるように見えた。

 そんな姿を放っておけなくて、頭に手をのせ、軽く撫でる。


「え、あ、あの?」


 困惑したような、照れたような、驚いたような、そんな色んな感情が混ざったような顔をしている音海に少し頬をゆるませる。


「多分、その人は気にしてないですよ」

「……それはそれで少し傷つきます」

「じゃあ、悩んで悩んで、その上でどうにかしようと頑張ってますよきっと」

「何でそんな事言えるんですか?」


 不思議そうに見上げる音海に、だって私は四季湊だから。とは言えず、適当に理由を考える。


「こんな可愛い子に悲しい顔をさせる人はきっといない」


 我ながら恥ずかしすぎる。何で考えてこんな理由しか出てこないんだ。


「かっ、可愛い!?」


 頬をぽっと染めてあたふたする姿はまさに可愛かった。


「きっと今もどうにかしようとしてますよ」


 女装とかして……。

 音海の少し嬉しそうな顔に胸が高鳴ったのを誤魔化すように手をどける。


「それじゃあ、私は帰ります」

「あ、あの、名前聞いてもいいですか?」

「年月渚。あなたは?」


 答えを知っている問を投げかける。


「私は音海結菜です。また会えますか?」

「多分会えますよ。じゃあ」


 学校を出ると、さっきまでの自分を思いだし、顔が熱くなるのを感じた。

 なんだ、あのやりとりは。恥ずかしすぎる。 頭から湯気が出てそうだ。こんなに熱いのにこれ以上熱くなってしまえばもう熱中症間違いなしだろう。

 だが、ここで熱中症で倒れたりしたら女装しているのが絶対にばれる。そんな事になればもう外に出るのすらできなくなるくらいの黒歴史ができてしまう。

 それは流石にまずいと、なんとか気合いで家まで帰った。


○●○


 なんとか家に帰るとふらふらした足取りでベッドまで行くと倒れこむ。

 母さんが何か言っていたが何も頭に入ってこず、ちょっと眠らしてくれと言って目を閉じた。


 目を覚ますと心配そうにこっちを見る視線に気づいた。


「湊、起きたか?」

「ああ、うん。父さん来てたんだ」


 物腰の柔らかそうな、優しさを雰囲気でまとっているようなこの男性は、四季直哉(しきなおや)、僕の父親だ。


「その、気づけなくてごめんな。私はそういうのは全くわからないんだが、それでも頑張るから何かあれば相談して欲しい」

「え?」


 寝起きの頭には何の話をしているのかわからず、目を擦りつつ今の状況を確認する。

 父さんが僕が起きるのを心配そうにみていた。

 父さんが心配すること……人間恐怖症の話か?


「今さら改めて言うことでもないよ父さん。それに最近は視線にも慣れてきたし」

「し、視線に慣れてきたのか? けど、世の中にはそういうのを良く思わない人もいるだろう?」


 まあ、確かに人とのコミュニケーションに視線だけしか堪えられないというのは良いことではないな。


「まあ、そこのところは後々どうにかしてくよ」

「そうか。けど、無理はするなよ。そういう事は私にはわからないけど、母さんならきっと相談にのってくれるだろうから」


 父さんにはわからなくて母さんにはわかる? 人間恐怖症についてはどっちもあんまりわからないんじゃないか?

 ……何か勘違いしてる?

 改めて現状を把握しようと視線を落とすと制服が見えた。女子の。


「……父さん。何か勘違いしてない?」

「大丈夫。趣味は人それぞれだとわかってる」

「あはははは、あなたも湊も面白すぎよ! 趣味は人それぞれって、だめだ……ちょっとお腹痛い」


 その声の方を見ると、ドアにもたれながら笑い転げている母さんを見つけた。


「母さん、父さんに何て言ったんだ?」

「高校生活で色々と悩んでる湊がベッドに寝ているから相談にのってあげてって言っただけよ」

「勘違いまっしぐらじゃないか」


 女装してる息子が寝てる状況なんて頭を抱えるしかないだろう。


「え、えっと、どういうことなんだ?」


 一人だけ置いてけぼりな父さんを見て力が抜けるのを感じた。

 その後、女装の理由を伝え誤解を解いたあと久しぶりの家族三人での外食となった。


 少しおしゃれなお店に着くとすぐに席に案内された。あまり混んでいなくてよかった。


「私ちょっとお手洗い行ってくるから適当にこれ頼んでおいてね」


 母さんはそう言うと席を立つと僕に向かって親指をあげてウインクをしてきた。

 あれは『久しぶりなんだし何か話しなさいよ。グッドラック!』とか伝えようとしてるんだろうな。

 適当に返すと少しむくれてそのまま歩いていった。


「なんか久しぶりだね」

「ああ、そうだな」


 会話が続かない……。


「最近どうなんだ?」

「まあ、普通」


 ……全く続かないんだが?


 そもそも二人ともあんまり自分から話すタイプじゃないのだ。

 家にいるときもあんまり二人で話すことが無かったし、何か話している時はいつも母さんがいたのだ。


 微妙な空気が流れる中、聞こえるのは店内の音楽だけだった。

 しばらく経つと少し気になっていたことを思い出した。


「父さんってさ。何で母さんと結婚したんだ?」

「好きだから。急にどうしたんだ?」


 のろけられた。彼女いない歴=年齢の高校男子には大きなダメージだと分かってるのだろうか?

 まあ、聞いたのは僕だから自業自得なんだけどな。


「じゃあ、母さんのどんなところが好きなの?」


 そもそも気になったのは何で父さんみたいな大人しそうな人が母さんみたいなうるさ……騒がし……賑やかな人と関わるようになったのかだ。

 父さんと母さんがそれほど馬が合うタイプには思えないのだ。まあ、家にいたときはよくいちゃついていたけど。


「私にないとこ……かな。明るくてムードメーカーで、話すのが苦手な私でも一緒に話すのが楽しかった。けど、そんなのは後付けな気がするよ」


 優しそうに笑う姿がなんとなく気になった。


「後付け?」

「結局、一緒にいて楽しくて、この人とならいつまでも楽しい日々が過ごせそうって気がしたんだ。だからさっきのは全部後から理由づけてみただけなんだ。どれもしっくりこない。この言葉だってあんまりしっくりこないんだ」

「そういうもの?」

「ああ、好きっていうのはそういうものなんだと思う。言葉にできないのは少しもどかしいけどね」


 珍しく饒舌な父さんに少し驚く。


「私の考えはこんなのだけど湊は違うかもしれない。それでも大切な人は絶対に大切にするんだよ」

「うん、わかってる」


 優しげな父さんを見てると、親とのつながりっていうのは少し離れたくらいじゃ薄くなるような物じゃなかったと思える。

 当たり前の事だ。だけどその当たり前が今の僕には嬉しかった。


「湊は私と母さんの馴れ初めって聞いたことあるか?」

「いや、そういえば無い。どんなのだった──」

「わぁぁぁぁぁぁあ!」


 いつの間にか帰って来た母さんは大声をあげて話を遮った。


「母さん静かに」


 客は少ないがここはお店なのだ。他の人には迷惑をかけてはいけない。


「ごめんなさい。あとちょっとあなた耳貸して」


 そこからゴニョゴニョと何かを母さんが一方的に言うと父さんは苦笑いを浮かべた。

 そんなこんなしているうちに料理運ばれてきた。

 久しぶりの家族三人での夕食はいつもより楽しかった。

 まあ、話題は大体母さんと父さんののろけ話だが、それでも楽しかった。

 ただ不満を言うとすれば、カレーが異様に甘かったことだろうか。


更新遅れてすみません!

あと数日は更新頻度が下がるかもです。本当にすみません!


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