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星祭りの夜、当日。
『大丈夫か?落ち着け、ちゃんとプレゼントは持ったか?』
「う、うん。大丈夫……」
全然大丈夫じゃない。緊張する。落ち着け。
落ち着くために深呼吸をする。
今日、レーネに告白する。
そのためにいつもより小綺麗な服を着て、プレゼントを手に持った。
『行くぞ、ラル。準備はいいか?』
「……うん、行こう」
ゆっくりと玄関の扉を開けて、外に出た。
町はいつもより賑わい、キラキラと綺麗にいろんな人が笑っている。皆笑顔だ。
「……っ!」
それを見ているとドキドキと高揚する。なんだか、告白が上手くいく気がする。
『これなら上手くいくかもしれないな』
「うん……!」
『さて、レーネを探しに行こうか』
「うん!」
レーネを探す。何処にいるんだろうか、この辺りにはいないみたいだけど。
「……片っ端から探すしかないな」
『時間はまだある。焦るなよ』
「……ありがとう、女神様」
レーネを探しに足を前に踏み出した。
「いっいない……!」
『何処に行ったんだろうなあ』
町の中の何処を探してもレーネの姿は見つからない。
「後行ってないのは……」
東の森。昔はよくレーネと一緒に行っていた。森の中で遊んで迷子になって、それからあそこで遊ばなくなったんだよな。懐かしいなあ。
「……」
行ってみよう。あそこならいるかもしれない。
「ここなら……」
森の中をズンズンと進んで行き、キョロキョロと辺りを探す。
今は道がわかるけど、昔はわからなくて怖かったなあ。
そんなことを考えて進んでいると、前の方に開けた場所がある。
『お』
「いた」
レーネがいた。隣にはあのカロンという男がいる。
バッと木の陰に隠れて様子を伺う。
二人は星を見ている。
ジッと二人を見つめているとレーネがカロンを見つめて喋り始めた。
「私ね、カロンのこと好きだよ」
「………え」
『………え』
男もレーネを見つめてこう言った。
「私も、レーネのことが好きだ」
「ふふふ、私たち両思いだね」
「そうだな」
二人が笑い合う。
「………」
俺はゆっくりと後退り、その場から逃げ出した。




