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「リボンを巻いてっと」
簪のはいった箱にリボンを巻く。
「これで良し」
『おっ結構いいんじゃないか?』
箱とリボンを別で買ってラッピングした。中々いい感じに出来たと思う。
『さて、これをいつ渡すかだが』
「それなら、もうすぐ星祭りがあるんです」
『星祭り?』
「はい。年に一度だけ星が降ってくる日があって、それを星祭りっていうんです」
『どうやって星が降ってくるってわかるんだ?』
「……さあ?俺にもちょっとよくわからないです」
『………まあいいか。とりあえずその日にプレゼントを渡すんだな』
「……はい」
そしてレーネに告白する。
『……そうだな、レーネって娘に予定を聞いておいたほうがいいんじゃないか?』
「あっそうですね。さっそく聞きに行かないと」
『そういうのは早いほうがいいってな』
家から飛び出してレーネの家に向かう。
「え、いない?」
「ええ、なんか大切な用事があるって言ってねえ」
「あ、どっ何処に……」
「さあねえ……」
「……お邪魔しました」
レーネの家を離れてレーネが何処に行ったのか考える。
……まさか、彼奴と一緒に……
『……どうした?』
「……レーネは、彼奴と一緒にいるかもしれない」
『彼奴?』
「イケメン」
『イケメン?』
走ってこの前二人を見た場所へと向かう。どうかこれが杞憂でありますように……
「………」
『………』
「……はは」
思った通りだった。レーネはこの前のイケメンとデートをしていた。
大切な用事……かぁ。
「やっぱり、付き合ってるのかなあ」
『……まだ、まだわからないぞ。あの男は友達かもしれない』
「でも!」
『聞かないとわからないだろう!』
「……」
『聞いてみよう』
「………わかりました、聞いてみます」
レーネと男が別れる。ゆっくりレーネに後ろから近づく。
「レーネ」
「!ラル、どうしたの?こんなところで」
レーネが振り向いた。驚いた顔をしている。
「レーネ、今の人誰?」
「今の?……ってああ!カロンのこと?」
「カロン?」
「うん。私の友達なんだ」
「友達」
「うん、友達」
友達、友達か。
「それがどうしたの?」
「あっいや、何でもない。そっそれより、あのさ七日後の夜ってなんか予定ある?」
「七日後……?」
レーネが考え込む。じっとレーネの返事を待つ。
「……えっと、ごめん。私その日の夜は予定があって」
「え」
顔が引きつった気がする。
「本当にごめん!」
「あっいや、だっ大丈夫、だよ」
「ごめんね!」
レーネはそう言って踵を返して雑踏に消えて行った。
「駄目だった」
『………あー』
家に帰って布団にくるまった。レーネには予定があるらしい。絶対カロンっていうやつとの予定だろうけど。
『……まあ、まだ希望はある』
「希望……?そんなもの」
『レーネの用事が終わってから渡すんだ』
「終わってから?」
『ああ、さすがに次の日の朝まで一緒、なんてことはないだろう』
うーん、確かにそう、なのかな?他人の家に泊まるのなんてレーネのお母さんは許さないだろうし……
『レーネと男が別れるまで待つんだ。別れたら告白する。どうだ?』
「………うん、そうだね。頑張るよ!」
布団から身体を出して窓から見える空に向かって返事をする。
『ああ、その意気だ!』
頑張ろう。女神様が応援してくれてるんだ、きっと成功する。
レーネに告白するんだ!




