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「はぁー……」

ため息をつく。これで何度目のため息だったかな、なんて。

「恋が終わるのがこんな辛いことだったなんて……」

落ち込んで何もやる気が起きない。

「何もしたくねー」

泣こうと思っても泣けない。それは多分諦めきれてないからだ。

「寝よ」

ベッドに倒れる。枕に顔を押し付けて何も考えないように寝ようと試みる。


「……」

寝れない。何も考えないようにするのなんて無理だ。どうしてもレーネのことを考えてしまう。

いつの間にそんなやつと知り合ったんだとか、そいつと付き合ってるのかとか、この頃付き合いが悪いのはそいつとデートしているからなのかとか。

聞きたい、聞きたいが……そんな勇気はない。

聞いてもしも付き合っていたとしたら、立ち直れないかもしれない。立ち直れるにしても凄く時間がかかる気がする。

だったら何も聞かずに諦めて違う人を好きになった方がいいだろう。


『諦めるのか』

「っ!」

声が聞こえた。聞いたこともない女の子の声だ。

『そう簡単に、諦めていいのか』

「……」

また聞こえた。何処だ、何処から聞こえてくる。

……いや違う!これは耳から音を聞いてるんじゃない。頭に直接響いてるんだ!頭に直接……直接?どうやって?

「だっ、誰なんだ、いったい……」

震えた声でそう問いかける。

『ふっ私か、私はな女神だ』

「…女神?」

『そうだ!』

「女神様がどうして、」

『それはな、私は愛が大好きだからだ!』

「………ええっと」

女神様が胸をはって言った姿が浮かんだ。いや、どんな姿をしているかなんて知らないけど。

「愛が大好き、とは」

『ああ!人と人とが愛し合う、素晴らしいじゃないか。たとえそれが同性同士でも異性同士でも、愛し合っていればそれでいいんだ。片思いから両思いになる、最高じゃないか!』

「は、はぁ」

テンション高いなぁ。

『少年!君の恋路、この私が手伝おうじゃないか!』

「えっ!」

手伝ってくれるって、この恋が叶うのか?

「あ、あのレーネと両思いになれるんですか……?」

『わからん!』

「へ?」

『そんなことわかるわけないだろう。私は全知全能じゃないんだ。少年とレーネという少女が両思いになるかなんて知らない。だが、何もせずに終わるよりはましだろう?可能性があるなら努力すべきだ』

「努力……」

……確かに、そうかもしれない。何もせずに終わるより、何かをして終わったほうがいいのかもしれない。

「……」

傷付くのは怖い。だけど、だけど……

『どうする?』

「………」

俺は、

「……やります」

『ん?』

「告白、します。手伝って下さい!」

『ふふ、はははっ……よく言った!この私が少年の幸せの手助けをしてやろう!』

「めっ女神様……!」

『少年、名は?』

「えっあ、ラル」

『ラル、これからよろしく頼む』

「っはい!よろしくお願いします‼」


こうして俺はレーネに告白することを決めたのだった。

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