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Marionett‘s Memorial  作者: DEER
一章 その少女は微睡みの中に
7/30

七幕 それぞれの思惑

一日空いたのは早く寝ちゃったからです、まぁそんな感じで今後も上げたり上げなかったりすると思います、ゴメンネ。

「メアちゃんには悪いけど、ここで眠ってもらうニャ」

色々慌ただしかった一日もそろそろ終わりを告げ、夜の帳が下りる時間帯。


私は今日の寝床に案内されていた、そこはベルさんの部屋と同じように壁を掘ったような部屋であったが、雰囲気はまるで違う。


なんか……牢屋みたい。


「ゴメンだニャ……監視をつけた上で休める場所はここだけだけニャんだニャ」

「贅沢は言わないわ、場所があればどこでも問題ないもの」


どこで寝ても体が痛くなることはないわ。

「明日からは多分マシで寝れると思うニャ、今日だけは勘弁ニャ」


本当に大丈夫なのだけど……このままじゃ話がループしそうね。

「えっと……明日は何をするのかしら?」

「ニャ、特に決まってニャいニャ、また明日説明するニャ」


まぁいきなり来たものね、仕方ないのかしら?

「そう……じゃあまた明日になったらお願いね、今日は助かったわ」

「ニャ~……本当に大人しいニャね」


どういうことかしら?

「とりあえず、また明日迎えに来るニャ、それまでここに居るニャよ」


「分かったわ、それじゃあベルさん、いい夢を」

「ニャ? ……いい夢をニャメアちゃん」



 この世界はどうなったのかしら?

 もう戦争は終わってかなりの時間が経ってる、殺しあっていた種族とも手を取り合えるほどにまでなっているのに、何故かこんなにも武装して何かと戦っているみたい。


 多分妖精族とは敵対してるみたい、街に居なかったし。

 でも妖精族だけだとは思えない、昔は魔族獣族と人族妖精族の二種族ずつでようやく拮抗してたんだもの、魔獣人の三種族が協力している現状で妖精族が一種族だけで対抗しているとは思えないわ。


 それとは別に魔術が無くなってる、その代わりに魔法が発達してるみたいだけど。

 私が眠ってからどれだけ時間が経ったかは分からないわ、でも間違いなく世界は続いていて変わっていっている、そして今その中に私は居るわけで……。


 ちょっとパンクしてきたわ、あんまり考えるようなことして来なかったからね。

 気分転換も兼ねてレイヴを見やる。


「ねぇレイヴ? 私は何をすればいいのかしら?」

 ちょっと放置気味だったけど、それでもレイヴはずっと近くに居てくれていた。


「……」

 レイヴは何も語らない。


「今日はごめんなさいね……あんまり構ってあげられなかったわ」

「……!」


「そう……ありがとう」

「……」


「そういえばあの時はいきなりどうしたの?」

「……?」


「上で魔石を見た時よ、いきなり暴れたじゃない」

「……(シュン)」


「別に怒ってるわけじゃないわ、ただレイヴがあんなに動くのが珍しくてね」

「……」


「……私には分からなかったけどレイヴは何か感じたってことね?」

「……(コクッ)」


「そのうち話す方法が見つかったら教えて頂戴、力になれるなら力になるわ」

「……!」


 別に会話ができるわけじゃないけど、何となく言いたいことは動きから察することはできるわ。

 人形二人が地下の暗い牢屋で何かを話してる、はたから見れば凄く怖いでしょうね、誰も居なくてよかったわ。


「この先……どうしようかしら」

 全くのノープラン。


「ベルさん……多分私に敵対してる何かと戦ってほしいのでしょうね」

 戦うとなれば私は強いわ、ちょっとやそっとじゃ負けないし絶対に死なない。


 かつての魔王様相手でも生き延びることは可能よ……多分。

 でも……。


「もう戦いたくない……」

 散々殺した、散々酷い目に合わせた。


 自分で作り出した阿鼻叫喚の地獄はもう見たくない、勝手な言い分だけどね。

 私が戦えばそこは戦場じゃなくなる、レジストされない限りはみんな眠る。


 そしてもう目覚めない、心を殺すから。

「でも断る自信がない……」


 人形……誰かに必要とされて初めて存在意義が果たせる存在。

 戦力としてだろうとオモチャとしてだろうと置物としてだろうと、必要とされるならそれ以上望むものはないわ。


「無理ね」

 説得……しましょうか、もし戦力として必要とされたなら。


 それもこれもまた明日、今は眠りましょう。

「レイヴ……おやすみなさい」

「……」




「眠った?」


「……zzz」


「おい爺さん! あんたが寝るな」


「私も眠くなってきたわ……寝ていい?」


「ダメに決まってるじゃないか」


「クックック……これから始まるは影の集い、貴様はその一員たる自覚が」


「うるっさいわね、その眼帯引っ張るわよ」


「貴様! それは深淵に触れることと同義! 故に(グイッ)あ痛い痛い!」


「うむ……? お主たちはまた言い合って居るのか? 少しは静かにせい、老人を若者のヤンチャに巻き込むでないわ」


「おい! だから爺さん寝るなって! 今から会議だって言ってただろ!」


「もう今日はいいじゃないの……皆で寝ましょうよ、ね?」


「テメェ昼間言ってたことと真逆のこと言ってるじゃねぇか……」


「う~ん……これはいつもの流れかな?」


「クックック……我が主の魔力に当てられてるようであるな、こうなっては抗うのはまず不可能であろう」


「君がそういうならそうなんだろうね、今日は解散しておこうか?」


「またその流れかよ! これだから会議はしたくなかったんだ!」


「……zzz」


「……zzz」


「おいおい爺さんと元凶女! こんなところでまた寝るんじゃねぇ! 誰が部屋まで送るんだよ」


「また君かな?」


「ふざけんな澄まし顔! たまにはテメェが運べや!」


「僕じゃ彼女の部屋の鍵は開けれないよ、君だけだ」


「魔術を使えば出きるだろうがよ! 押し付けんじゃねぇ!」


「主殿に気付かれずに使うのは難しいであろうな」


「中二病も付いていけば出きるだろうが」


「二人で行けと言うのかい? それは非効率だ、君が適任だよ」


「ウルセェ! だったら爺さんくらいはテメェが運べや!」


「土の部屋に近いのは君だけじゃないか、わざわざ遠回りしろと?」


「そんな言い訳は聞き飽きた「「何回も言ってるからね」」ウルセェェェェ!!」


「じゃあそういうことでお願いね?」


「任せたぞ火よ、貴様ならこの任務を完遂できると信じているぞ」


「おら! 勝手に出ていくんじゃねぇ! まだ話は終わって「「お休み」」待てやゴラァァ!」


「……」


「テメェは今回も最後まで喋らなかったな」


「……」


「相変わらず無言はよく分かんねぇ奴だ」


「……手伝う」


「おう、いつも悪りいな」


「……何だかんだで面倒見がいい」


「あ? 勝手言ってんじゃねぇ」


「……水さんは任せて」


「いつも通り俺は爺さんか、後は頼むぞ」


「分かった、お疲れ様」


「お? いつもよりはっきり言えたな、無言もお疲れ様だ」


「……」


「(バタン)」


「……そんなのだから任せられるんだよ」




「監視係ベルスター、報告には上がっているこのメアってのは魔族はどんな人物だ?」

 誰もが寝静まる真夜中、地割れの街の最奥の隠された扉の向こうで厳つい男の声が響いた。


「は! 魔族メアにおきましては我々が持っていない魔法行使手段、彼女は魔術と読んでいましたが、それを使うことにより広範囲で我々の魔法では不可能なほどの効力を持った魔法を使うことが可能なようです。彼女のいう魔術は道具を必要とせず、いつでも行使可能であることから警戒は怠るべきではないと思います。」


 メアを寝床(牢屋)に連れて行った後、ベルはメアの行動や能力をまとめて長に報告していた。


「ほぅ? 魔術か」

「何か知っておられるのですか?」


「いや知らん、ただ遺跡の書物にその様な文字があったと友人から聞いたことがあったのでな、あいつなら何か知ってるかもしれん。まぁそれよりも広範囲高威力で道具も無しか……用心しようがないな」


「おそらく彼女がその気になれば被害がかなり出るでしょう」

「恐ろしいな」


「しかし今のところ敵対の意思はないようです、話をしてみた所感としては「大人びた子供」でした、行動が少女じみてはいるものの話をしてみたら大人と大差ない喋り方でしたので」


 おそらく最初に見たメアがレイヴで遊んでいるところが少女っぽい行動だったのだろう、見た目も少女なら疑いようもなく年相応という印象を持たれても仕方がない。


「敵対の意思がないのが救いか……仲間にはできそうか?」

「寝床と称して牢屋に連れて行きましたが、抵抗の意思はありませんでした……不思議なほどに、一応明日からは監視は付けますが一般の部屋を与えても大丈夫だと思います。仲間に関しては分かりませんね、ゴブリン巡回第3部隊隊長のサロの話によりますと「一人で出ても問題ない」と言っていたそうですが、森に倒れていたそうなのでそこを強く言えば協力をしてもらえるかもしれません」


「もし協力して貰えるなら心強いだろうな、当然後ろから撃たれないように警戒は必要だが。……森に倒れていたと言ったな? どこから来たかは分かるか?」


「いえ……彼女は山の中の洋館から来たと言っていました、その前は既になくなった国からと」

「かなり嘘っぽいな、本当だったとしても信用できるはずがない」


「そうですね、他にも彼女に矛盾がないか質問しましたが……魔術の力と返されてしまいました。」

「魔術ってのはそんなに万能なのか? 道具要らずで時すらも超えるか」


「その後は確認のために魔術を使うところを見せてもらいました」

「どうだった?」


「それが……覚えていないのです」

「覚えてない? 今日の話じゃないのか?」


「今日の話です、ですが睡眠の魔法だったらしくそれにかかってしまったようです」

「抵抗の魔法はかけていたんだろ? それでもかかったか」


「はい、ついでに記録魔石も使いましたが効果がありませんでした」

「記録魔石もか!? 本格的に魔術とは何なのか分からなくなったな……」


「彼女は魔法に興味を示していました、交換という形ではありますが教えてもらえるかもしれません」

「とりあえず今のところは会っても問題なさそうか? 一度会って話をしてみたい」


「いつでも無力化できるように準備は必要でしょうが、大丈夫だと思われます」

「ほぅ……なかなかに信用してるみたいじゃないか、では明日会ってみるとしよう、準備しておいてくれ」


「……分かりました」

 

会話の終わりと共に部屋を立ち去り、今日のメアに見せてもらった魔術を思い出す。

思わず高笑いをしたくなる衝動に駆られるがここは道のど真ん中、誰が聞いてるかも分からない状態でそんなことはできない。


しかし、それでも微笑みは抑えきれず思わず下を向く。

 月の光が差し込む静まり返った地の底、彼女の笑みは暗い影に隠されていた……。


一区切りついたところから書き始めると、また書き続けないといけない気がして書きたくなくらる時があります、んなわけで今書いてない

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