三幕 (暫定)ゴブリンの街 入口
サブタイトルが難しい。
そういえばこんなの書いたな~って思いながらサブタイトル決めてますw
書いたのは……一年前くらいかな? おおまかな設定しか覚えてないよ。
「ツイテコイ」
そう言うと、峡谷から少し離れたところで立ち止まり、袋から色の付いた光る石を取り出す。
何かしらあれ、そんな事を考えている時、レイヴが暴れ始めた。
「ち……ちょっとレイヴ!? いきなりどうしたのよ?」
こんなこと今までなかったのに!
隊長さんに突っ込まんばかりの勢いで飛び出そうとしている、何!? 何なの!?
「オイ嬢チャン、ソイツ大丈夫ナノカイ?問題アルナラ置イテイッテモラウゼ」
「だ……大丈夫よ、落ち着いてレイヴ」
声をかけると動きを止めるレイヴ、本当どうしたのかしら?
「……マァイイダロウ、外ニ居タラ拐ワレル」
誰に? そんな魔物居たかしら?
「ヨシ、入レ」
地面に書かれた模様の上に置いていた色を失った石を袋にしまい、立ち上がる。
するとどうだろうか、石が僅かに放っていた光を吸収したかのように模様が光り始めた。
それに呼応するかのように目の前の地面が動いていく。
模様の光が収まる頃、地面には立派な地下に続く階段が出来上がっていた。
「隊長~モット速ク起動出来ヤセンカネ?毎回長イッスヨ~」
「ワガママ言ウナ、魔石ガ支給サレテルダケデモ幸運ナンダ」
よく分からないけど、ゴブリン社会も大変みたいね、魔石? ていうのの確保も大変みたい。
連れられるままに階段を降りていく、乾いてて崩れそうに見えるけど、意外としっかりとしている。
日の光が届かなくなった辺りで隊長さんが強く白く光る石を取り出した、たいまつ代わりにも使えるらしい。
さっきの模様に光を移すだけじゃなくて、こんな使い方もできるのね、夜道もこれがあれば明るそうだわ。
魔石……面白い石ね、私も欲しいわ……手に入りにくいみたいだけど。
「コノ先デ検査ヲ受ケテモラウ、見タトコロ大丈夫ソウダガ一応ナ」
流石に身分も確認せず集落に入れるようなことはしないらしい。
……参ったわね、人形はどうやって身分を証明すればいいのかしら? それに結構長く眠ってたから、前にあった国は残ってるのかしら?
少し降りた所に小部屋があった、ここが関所代わり? 不便そうね
しかし作りや置物はしっかりとしていた、あんな目につくところに槍を置いておいていいのかしら?
「ヨシ着イタゾ、危ナイモノハ……逆二持ッテナイ方ガ不自然ダナ、一応出シテクレ」
危ない物? そんなもの持ってないのだけど?
……強いて言うなら魔術かしら、出せるものじゃないけど
「ドウシタ? 隠シタイノハ分カルガ、出シテモラワナイト入レテヤレナイ、大丈夫取ッタリシナイカラ」
どうしましょう……どうしましょう?
持ってないものは出せない、魔術が使えることを話せば納得してくれるかしら?
「……? マサカオ前」
何? 何がまさかなの?
「ヤッパリ奴ラ二奪ワレタ後ダッタノカ? ダトシタラ……残念ダッタナ」
入れないとか? 別にいいけど凄い残念、賢いゴブリン族の集落なんて滅多に見られないから、一回見てみたかったのに……まぁいいわ。
そして奴らって? もしかして私……結構危なかったのかしら?
「マァ命ヲ取ラレナカッタダケデモ幸運ダッタナ、中デユックリ休ンデケ、追イ出サレハセンダロウ」
「ソノヘンデ良イジャアリヤセンカ~、早ク中二入リヤショウゼ」
「ソウデスヨ、彼女モ疲レテイルデショウシ、後カラユックリ聞ケバヨロシイデハナイデスカ」
口々に文句を言い始める隊員たち、わーい入れそう。
「コノゴ時世、敵ジャナケレバ味方ダロウガ……警戒ヲ怠ルト痛イ目二遭ウゾ」
「ソンナ固コト言ッテルカラ彼女見ツカンネェンスヨ隊長ハ」
「五月蠅イ、ソレハ分カッテル……シカシダナ」
「貴女モソウ思イマスヨネ? コノ隊長固イデスヨネ?」
こちらに目配せをしてくる紳士風の喋り方のゴブリン、気を利かせたつもりなのかしら?
彼から見て私は、話についていけずに戸惑ているように見えたのだろう、まぁ間違ってはないわね。
でもね?
「別に警戒は悪いことじゃないわ、むしろこんなに簡単でいいのかしら? 魔術で確認くらいは取るべきだと思うけど……いいのかしら?」
私達が危ない奴だったら大変よ、集落に入れるのに使える魔術が不明なのは間違いなく危険だろう、最低でもそれくらいはすべきだわ。
「オォ……マサカ隊長ト同ジ考エノ人間ガ居ルタァ驚キダゼ」
まだ人間だと思われてるみたい、その上で襲われてないなら、こちらも信用しても大丈夫でしょう。
「ダヨナ!? 大事ダヨナ!? ドウシテ皆分カンネェカナ……」
この隊長さんも苦労してるのね。
「チョット待ッテクダサイ? 彼女ガ言ッタ魔術トハ魔法ノコトデショウか?」
……? まさかそこを聞かれるとは思ってなかったわ、それに魔法って何?
「確カニナ……嬢チャン、魔術ッテノハ魔法ノコトカイ?」
そんなの知らないわよ、魔法が分からないのだもの。
「私は魔法を知らないわ、魔法ってどんなものかしら?」
この言葉を発した途端、部屋にいた全員が「ありえない」と言わんばかりにこちらを見ていた。
何か変なこと言ったかしら?
「嬢チャン……イクラ何デモソレハ無イゼ、ドコカラ来タカ話シテ貰オウカ」
魔法を知らないのは不自然だったらしい、その声音はさっきまでのフレンドリーさは皆無だった。
「私達はさっきの森の山の中の洋館から来たわ、結構昔になると思うけどその前はアルフェス法国に、今もアルフェスは残ってるかしら?」
残ってたらいいな~、まぁ洋館が埋もれてたり森が出来てたりで、残ってる方が不思議だけど。
「イヤ、今ハ無イナ……カナリ昔コノ近ク二在ッタラシイガ」
やっぱり……じゃあ説明できないわね、中に入るのは諦めましょうか。
「信用して貰えないかしら? それならそれでまた浮浪しに行くわよ」
踵を返す、出口は特に閉まってないから出るのは簡単そうね。
目的を見つける旅なんて素敵ではないかしら、未来への希望に満ち溢れているわ。
「待テ! 嬢チャン死ヌ気カ!?」
いきなり慌てる隊長さん、そういえば外は危ないのだったかしら?
「大丈夫ですよ隊長さん、こう見えても私は強いですから、レイヴも居ればどんな相手でも身を守って逃げるくらいはできるわ」
私の催眠の魔術は強いのだ、隙がないように改良したもの。
「無謀ダ! 魔石モ持タズ二外二出ルナンテ馬鹿ゲテル! 折角拾ッタ命ヲ捨テル気か!?」
むぅ……大丈夫だと思うのに。
「じゃあどうすればいいかしら? 身分も不明、魔法も知らない、中に入れるわけにはいかないのに外にも出させて貰えない、解決策はあるかしら?」
引くも進むも禁じられて、どうすればいいかさっぱりわからないわ。
面倒ね、逃げようかしら。
「……ナァオ前達、ドウ思ウ?」
「ソンナコト言ッテ隊長~、モウ決メテルンッショ? 別二良イト思イヤスゼ」
「魔法ノ説明ヲシテハ如何デショウカ、ソノ魔術トヤラガ魔法ノコトカモシレマセンシ。ソレニ違ウトシテモ、私達ガ持ッテナイ技術ノ可能性ガアリマス」
「ソウカ……スマナイナ」
結局どうなったのかしら、さっきのような緊張はもう走っていない、もう疲れてきたわ……寝てようかしら
「嬢チャン、中二ハ入レテヤルガ監視ヲ付ケサセテモラウ、中デハソイツト一緒二行動シテモラウコト二ナルガ良イダロウカ」
「入れて貰えるなら問題ないわ、ありがとうね」
宿も食事も要らないのだから私が付いていくことになりそうだけど。
「ジャア監視ヲ呼ンデ来ルカラソコデ待ッテロ」
「隊長~俺達帰ッテ良イッスカ? アンマリ妻ヲ待タセタクネェ……」
「今ハ我慢シロ、コレモ職務ダ」
文句を言っていたゴブリンが「ヘイヨ」と返事をすると隊長さんは部屋を出ていく。
どんな人が来るのかしら、やっぱりゴブリン?
最近家の近くに猫が居るのですが、ずっと飼い猫だと思ってたのに実は野良
だったみたいです、何も考えずに撫でてたけど……変なウイルス持ってないよね?