一幕 微睡みの少女
小説家になろうに投稿するつもりで書いたわけじゃないのでちょっぴり読みにくいと思います。
時間をかけて書いてますので書き方が変わったり表現が変わったりしてます、根強く読んでくださる方大歓迎。
作品全体で12万文字くらいを想定して書いてます、初の連載小説ですので多少多めに見ていただけると幸いです……だからちょっぴり楽しても、、、ダメかな?
そんなことは置いといて、この小説を開いてくださった皆様! ここから先が本編です! ぜひご堪能下さい!
一章 その少女は微睡みの中に
暗い暗い闇の中
私は夢を紡ぎ終える
暗い暗い闇の中
今日もまた新たに夢を紡ぐ
そこにあるのは希望じゃない
そこにあるのは絶望じゃない
そこにあるのは夢ばかり
ゆらりゆらり
渚に揺れる波のように
ゆらりゆらり
夢うつつに揺れ続ける
そこが夢かは分からない
そこが真かは分からない
分かるのは私がここに居ること
寄せては引いて
終わりの見えない繰り返し
寄せては引いて
今日も私は夢をみる
素敵な未来の夢は見ない
確かな今の夢は見ない
見るのは虚ろな過去ばかり
狭い狭い闇の中で
少女は今日も夢を紡ぐ
狭い狭い闇の中で
いつまでもいつまでも終わり無く
いつまでも……いつまでも……
でも
どこまでも明るい日の下で
どこまでも流れる時の中で
私も共に行かねばならない
次に紡ぐ夢を皮切りに
そろそろ夢から覚めようか
希望は無い
絶望も無い
私にあるのは夢ばかり……
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時さえも止まったかと錯覚するような、光の届かぬ部屋の中。
広いか狭いかも分からない、音おも響かぬ不思議な部屋。
私は夢から目を覚ます。
「……終わった」
私が紡いだ夢はもう、虚ろの中に終わってしまった。
「目を……覚まさなきゃ」
いつまでも甘えてはいられないのだ、甘い夢はいずれ終わる。
終わらなければならないのだ、そうでなければ進めない。
「さようなら……さようなら。
だから別れを告げよう。
言葉にしないと決意が揺らぐ。
これからは目を開けて、光の下で生きていこう。
…………。
「……目が開かないわ」
長く開かなかった私の瞼は、まるで糊で貼り付けられたかのように空かなかった。
故障かしら?仕方がないから手で開けよう。
…………。
「……手が動かないわ」
長く動かさなかった私の腕は、金縛りに会ったかのように動かなかった。
口は動くのだ、声も出るのだ、しかしそれ以外が動かない。
「立つこともできないわ……どうしましょう」
どうしましょう? ……どうしましょう?
私では体を動かせない、ここは暗い部屋の中。
あれ?もしかして詰んでないかしら。
私が覚えている限り、ここに人が来たことはない。
それなりに長い間ここに居たと思う、それでも人が来なかったとなると……。
「この先助けが来るとは思えないわ」
あぁ……どうしましょう?
「レイヴ? 貴方は動くかしら?」
座っている私の膝元に長く連れ添ってくれた大事な友達、カラスの人形のレイヴに声をかける。
別に気が触れたわけでも、少女趣味的に妄想の会話を楽しんでいるわけではない。
このカラスの人形は話すことはできない、しかし言葉を理解して動くのだ。
「……(スッ)」
膝の上でレイヴが動く。
ああ良かった、レイヴは動くのね。
「お願いよレイヴ、私の目を開けてくれないかしら」
私の声を聞いてレイヴが動く、そしてその嘴を私の目に近づける。
「優しくお願いね?」
こうは言ったけれども不安は無い、本当に目を潰されたとしても何の文句がありましょうか、私の唯一の友達なのだから。
レイヴの嘴が、私の重い瞼を開けてくれる。
ずっと暗闇だったその部屋に、冷たい色が付いていく。
「ありがとうレイヴ、ようやく思い出したわ」
そうだった、瞼はこうして動かすのだった。
体の動かし方って忘れるものなのね?
「レイヴ、頼りきりで申し訳ないのだけど……体を動かすの手伝ってくれないかしら」
「……」
レイヴは何も語らない、でも私のお願いを聞いてくれる。
本当に有難い、そのうちレイヴには何かしてあげないとね。
「動くだけでも前途多難、私はずっと夢を紡いでいるべきなのかしら」
別にそれならそれで問題ない、ただ私が進めないだけ。
「……そういう訳にはいかないわ」
だって約束だから、 私の大切な……。
「……?」
誰だったかしら? 私の友達はレイヴだけのはず。
なんとなく口が覚えている気がする、でも記憶にない。
「……そのうち思い出しましょう」
誰だったかは問題ないじゃない、今私が感じていることが全てであり、大切なのだ。
しかし明確な目標がない今、その身に覚えのない約束を目標にするしかない。
「とりあえずは立つことはできた、腕も足も問題なし……ラッキーと言うべきなのかしら」
レイヴの力を借りて、何とか立つことには成功した。
懸念していた手足の劣化もそこまで酷いものでもないらしい、暗くてハッキリと見えているわけではないが、感覚としては以前と差はないように感じられる。
ここまでレイヴの力を借りて体を動かしていたが、だいぶ感覚が戻って来た。歩くことも問題はないだろう、走ると転ぶかもしれないが。
「外に出なきゃいけないわね、出口はどこかしら?」
当たりを見渡す、壁まで見えてはいるものの、壁の色と同化して扉がどれだかの判断が難しい。
部屋は広く天井も高い、壁にはそれなりに豪華な意匠が施された柱が何本も、天井からはシャンデリアと思わしきものがぶら下がっている。
何故ここに居るか、それは覚えている。部屋を見たことで間取りも思い出した。
「外に……出ましょうか」
怖くないと言ったら嘘になる、でも出なければ進むことはできない。
あの頃とは変わっているはずだ、その為に私はここに居た。
一体どれだけの時が過ぎたかは分からない、しかし体の動かし方を忘れるくらいには時間が経っているはずだ、そうでなくては私が間抜け過ぎる。
「別に私は引きこもりじゃないのよ」
「……レイヴ? この扉を開けることはできるかしら?」
部屋の豪華さと同様に扉もまた豪華で大きかった、少女の力ではとても開けることができないくらいには。
「…………(コクッ)」
レイヴは自信なさげに頷いてくれた。
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この建物はどうなっているのかしら
私の記憶では、町から少し離れた大きな洋館だったはずなのだけど……
どうしてあちこちが土砂で埋まっているのかしら?
窓から一切光が差し込んでいないあたり、何故か完全に埋まっているみたい。
「そして極めつけはこれね」
やっとの思いでエントランスまでたどり着いたはいいものの、またもや扉が開かない。
それも土砂のせいじゃない、魔術的な封印が掛かっている。
土砂自体は入り口から外までトンネルのように穴が空いているらしく、向こうに光が見えている。
「レイヴ……どうかしら?」
魔術的な封印ともなれば、物理的な力押しでは解決しない。
魔術には魔術で対応するしかないのだが……
「封印の魔術は私の専門外よ、力になれそうにないわ……」
私は魔術には明るいと思うのだが、封印の魔術は使えない。
多分レイヴなら何とかしてくれるはず、だってレイヴは凄いのだもの。
「……」
レイヴは黙って前に出る。
何となく手を上げて応援したくなるが、そんなことしても意味はない。
「おお~流石ね」
バサッと一振り翼を広げた途端、扉にかけられた封印の魔術が消えていった
流石はレイヴ、困った時に頼りになる。
仕組みも理屈も分からないが、レイヴは一つを除いて全ての系統の魔術を使うことができるらしい。
普通の命は、一系統の魔術しか使うことができない。それは体内の魔力が……
長くなるので割愛させてもらうわ、とりあえず一つの系統の魔術しか使えないのが普通なのよ。
「本当に不思議ね、ほとんどの魔術が使えるのに催眠の魔術だけは使えないのは何故かしら?」
私が使える魔術は催眠の魔術、レイヴの穴埋めが出来ていると考えるならそれでいいのだけど、何故使えないのかは謎のまま。
「ありがとうレイヴ、貴方のおかげで外に出られそうよ」
兎にも角にも扉の封印は解けた、いよいよ外に出る時が近づいてきている。
「でもその前に……この扉を開けなきゃね」
悠然と聳え立つ玄関の扉、心なしか最初の扉よりも大きく思えた。
4章構成で書いては居るのですが、なんにせマイペースに書いてます、ストックが無くなれば半年投稿が無いくらいざらにあると思いますので先に謝っておきます、ゴメンナサイ。
わりと見切り発車ですので書き終わる頃にはこの一話が編集で変えられてるかも……?
まぁそんな感じでMarionett`s Memorialスタートです!
……大丈夫だと信じたい