森崎の組み立て方
商品に付属している説明書、最近では商品本体よりも大きいことも珍しくない。私、森崎はどんなものでもまず触ってみる、そしてわからないことがあれば説明書を読む。そんな「森崎スピリット」を持っている方も多いことだろう。効率的であり、男らしいではないか。しかし、「買い物に行かなくていい」という効率を重視して安易に通販を利用する私ではない。
以前、実家で犬を飼っていたときに母が通販で犬小屋を購入したことがある。組み立てを任された私は途中で違和感を抱きながらも完成させた。犬は完成した小屋の前で立ち止まり、なかなか中に入ろうとしない。「ゴン」という鈍い音がした、入口が小さすぎて犬が頭をぶつけたのだ。なんてかわいそうな犬。森崎はそんな不憫な犬を抱きしめて耳を噛まれてしまった。入口を広げてやすりをかけ、なんとか無駄な買い物にならずに済んだのだが、実物がどんなものなのかを確認できなければ、いくら便利だからといって気軽に通販を利用するものではない、そんな考えに至ったのである。
本棚を購入することにした私は、家具屋に何度も足を運び、納得の一品を購入した。日曜日に届き、組み立てを終わらせるとネジが五本余ってしまった。説明書を読むと「予備のネジは四本」と書かれている。完成した本棚を確認しても、締め忘れた個所は見当たらない。たまたま同じネジが部屋に転がっていたのだろうか、そんな偶然はないだろう。
私は母に電話をかけた。
「あのさ、俺が産まれたとき説明書ついてなかった?」




