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貴方の事が大嫌いです  作者: 紫乃
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結婚することになりました

それはある舞踏会。ここではレヴァルーシュ・フォンレイクス公爵の誕生パーティーが行われていた。

そこでは煌びやかなドレスを着た貴婦人達が1人の麗しい男に群がるという異様な光景があった。


レヴァルーシュ・フォンレイクス公爵といったら知らない者はいない。

レヴァルーシュは女遊びで有名だった。国中の、いや、他国の貴婦人までもがその容姿に見惚れる。あまり見ない珍しい黒髪に海のように澄みきった碧い瞳で整った甘い顔立ち、細身だけれど程よく付いた筋肉は世の令嬢達の心を掴んで放さなかった。

来るものは拒まず、去るものは追わずとはよく言ったものだ。

女に刺されそうになったことは1度や2度ではない。とにかく彼は女にだらしなかった。それは両親も頭を悩ませるほどに。


レヴァルーシュの両親は結婚をして落ち着かせようとしたが、その逆効果。愛人がたくさんでき、当時妻だった令嬢は彼の愛人達からの嫌がらせもあるが、夫の浮気にどうにも出来なかった。

遂には離婚をし、またフラフラと女の所へ行っては早朝に帰るという日常に戻った。

だが仕事は出来る。彼は次期国王になる第一王子であるエアリーク殿下の側近だった。そして彼はいずれこの国の宰相となるだろう、と周りから噂されていた。おまけに公爵という地位にいるのだから女にモテないはずがない。


そして今日の誕生パーティーにいる貴婦人達は彼を一目見てみたい、彼と関係を持ちたい、そして公爵という地位の妻になりたいという下心がある令嬢達が殆ど。彼にとって女性とは、それ以上でもそれ以下でもないただの肉体関係でしか無いものだった。

特別に思う相手もいなけれぱ、別に悲しい過去があった訳でもない。ただ会話や、人肌を感じる行為を楽しんでいるだけだった。


実はこの誕生日パーティーは彼の両親が企画した2回目の結婚相手を探す場でもあった。彼は結婚を否定しなかったが貴婦人達との関係を切らすつもりは無いだろう。勿論、この事は貴婦人達には知らせていない。

結婚したがる貴婦人は山ほどいるが彼の女遊びを止めさせられる、いや、せめて彼に興味を惹かれるような女性を見つけたいという切実な思いだった。


だが辺りを見渡すが良い女性が見つからない。皆がこぞって挨拶に来るが、そこには見え見えの下心があった。どんなに女性が美しかろうと、女を取っ替え引っ替えするレヴァルーシュを止めてはくれないだろう。

やはりこのパーティーにいい女性は見つからなかった。彼の母、ロザリオーネはやはりダメか、と諦めかけていた時、ふと目に留まる女性を見つけた。


彼女の名はシェリシア・ミネラクスト。伯爵の娘である。

シェリシアは王宮で働いていて、王宮で働く者は男性であると言われてきたがシェリシアはそれを見事覆した。仕事は的確にこなし、部下の信頼も厚い。

最早シェリシアが急に仕事を止めることになったら周囲の混乱を招くだろう。

シェリシアはきっちりと纏め上げた金髪にアメジストを嵌め込んだような瞳を隠すように眼鏡をしている。身長は165と普通の女性よりは少し高い。出るところはしっかり出ていて、締まるとこは締まっている。一見地味に見えるものの、彼女から溢れる気品は隠せなかった。

近寄りがたい雰囲気を纏っていて、誰かと話すこともなくただ壁際の隅に立ち、給仕人から貰ったシャンパンを飲む姿はとても綺麗だった。


母、ロザリオーネは隣にいた自分の夫を突き飛ばし、シェリシアに小走りで近付いていった。夫、クリクスは「ロ、ロザリー?」と困惑した様子だった。

その様子は周囲を驚かせた。普段のロザリオーネは大人しく、儚い雰囲気を纏った美しい女性だ。だがその面影は今では皆無、レヴァルーシュと同じ色の目は全開に開き、鼻息が出るほどに興奮していてシェリシアの手を取った。

周囲は何事か、と耳を済ます。辺りはシン、としていた。


「貴方、うちのバカ息子と結婚しない?」


「……は?」


突然の事で驚いたシェリシアはポカン、と口を開けてロザリオーネを見ていたが我に返り失礼、と咳払いをした。シェリシアは何かを言おうとしたがそれは周囲によって遮られた。


「まぁ、どうしてあんな地味な方が?」


「きっと媚を売って結婚を迫ったのよ」


ザワザワと周りが騒いでいる。周りから、特に女性から好奇や、嫉妬の視線が刺さる。


(__どこをどう聞いたらそのように聞こえるのかその耳を疑う)


シェリシアは溜め息を溢した。


「……取り敢えずここから離れましょう」


シェリシアはそう言うと、休憩室へ案内した。

突き飛ばされたクリクスもロザリオーネの後を付いていった。




その光景を見ていたレヴァルーシュは興味深そうにシェリシアを見ていた。


「へぇ、今度の奥さんは"あの"シェリシア嬢か」


ボソッと呟いたその言葉は周りの音に消されて聞こえなかったが、レヴァルーシュの腕に絡んでいる美しい女性はその呟きが聞こえていたようだ。


「何か言いまして?」


その美しい女性は自慢の胸をレヴァルーシュの腕に押し付ける。

それを見たレヴァルーシュは特に反応しなかったが、女性に微笑んだ。


「君が美しすぎて僕は気が気じゃないよ」


「まぁっ 」


女性は頬を赤らめ、歓喜の声を上げる。

そのまま2人はキスを交わした。それを見ていた周りの女性達は「ずるいですわ、私にもしてくださいませ」とせがんでいた。


この光景を見た女性以外の人々はごくり、と喉を鳴らす者もいれば、顔を赤らめて見て見ぬふりをする者もいた。



__________________




休憩室と言うには豪華すぎる広い部屋。

肌触りの良いふかふかのソファーが2つあり、その間にテーブルがあった。1つのソファーにシェリシア、もう1つのソファーにロザリオーネとクリクスが座っている。


「……それで、何故私にそのようなお話を?」


沈黙を続けていたが、痺れを切らしたかのようにシェリシアは本題の話をした。


「貴方も噂は聞いてますでしょう? うちのバカ息子がとんだ女たらしだと」


「…えぇ」


否定はしなかった。事実そうだからだ。

すると、ロザリオーネは俯いていた顔をバッと上げ、シェリシアに迫る勢いで近付いた。目には涙を浮かべている。


「あの子と結婚してほしいの!」


「……何故私なのですか? 私よりも何倍も美しい方はいるし、何より身分が釣り合いません」


「身分なんて関係ないわ! それに貴方だって十分に美しい。せめてあの子を止めることが出来る子がいればと」


シェリシアは何故自分がレヴァルーシュを止めなければいけないのか分からなかった。

その思考を読み取ったのだろう、ロザリオーネはシェリシアに説明した。


「貴方は他の女性と違ってレヴァルーシュを見ても顔色を変えなかったし、興味が無さそうだったからレヴァルーシュは貴方に興味を惹かれると思ったの。だから彼の女遊びも止められると思って」


「ですが私に止められるという確証は無いですよね」


シェリシアの言っていることは正しい。

小説のように女遊びをする彼と主人公が一目惚れして恋に落ち、彼は主人公に夢中になって女遊びも止めるとなれば誰だって苦労はしない。

ロザリオーネはその正論にうっ、と呻き声をあげた。


「もう結婚出来ればなんでも良いわ!」


急に開き直ったロザリオーネを見てシェリシアは苦笑をした。


「分かりました、引き受けましょう。元より断る理由がありません。こんな行き遅れを貰ってくれるなら父もきっと喜びます。ただ、1つお願いしてもよろしいですか?」


「え、ええ! 何でも言って! お金? それとも宝石やドレス?」


その食い気味のロザリオーネに苦笑いしつつも、それらは受け入れなかった。


「生憎と、お金には困ってはおりません。ですが、もし叶うのならばフォンレイクス家にしか無いというあのワインが欲しいのです。お恥ずかしながら私はお酒が好きでして、1度は味わってみたいのです」


「……あぁ、あのワイン? 丁度良いわ。私達お酒が飲めないからどう処分するか迷ってたの。好きなだけ飲んでちょうだい!」


ロザリオーネはそんなことか、というようにその条件を受け入れた。普通の令嬢ならば、あれが欲しいこれが欲しいと言ってくるものだが、シェリシアは酒だけでいいと言う。やはり、シェリシアは他の令嬢よりも少し変わっている。

ロザリオーネは、そのシェリシアの謙虚さに世界中にあるお酒をあげたいと思うのだが、シェリシアはそれを拒否するだろう。

だからそれは言わなかった。


「では、交渉成立というわけで。あぁ、それとレヴァルーシュ様との関係は期待しないでください。私、浮気する男は嫌いですので」


「あら、少しだけなら良いじゃない?もしかしたら本当にそうなるのかもしれないし」


クスクス、と少し悪戯に微笑んだロザリオーネはまるで少女のようだった。一方、クリクスは2人の会話に入れず、ただ会話に頷いていただけである。





初めまして、紫乃です!

この小説は私の夢に出てきた物語と妄想を組み合わせて作りましたw

文章力が無いので、何か間違っている点があれば指摘をお願いします。


か、辛口コメントは私のガラスのハートが壊れるので、できるだね優しくしてください(;゜∀゜)

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