表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうやら僕は宇宙組織に指名手配されたようです  作者: さくらみち
宇宙組織に指名手配されました!
4/10

ドラマチックに撮りますー犯人はあなたです!!ー

――突如、宇宙からの訪問者により宇多川望は宇宙組織に指名手配されてしまったということを知る。果たして彼は何をしたというのだろうか。そして彼の行方はどうなるのか――


 僕は無言で目を細めながら、僕と服ダサ美少女の中間にいる周りより背の高いクラゲ型(少なくとも僕を縛り上げているこいつらよりは背が高い)宇宙人の掲げているスケッチブックにしかみえないものの文字を読んでいた。なんで宇宙人なのに日本語を書けているのか甚だ疑問だが、そんなことよりも内容だ。


「なんですか、さっきからそれは。さっきはまた次回とか……、まるでドラマや映画のようです! しかも今のはまるで今までのあらすじじゃないですか!!」


 先ほどから言いたかった言葉を、縛っているクラゲ型生命体(もうクラゲでいいか)に抵抗しながら、前かがみになって必死に言った。


「そうです」


 きっぱりと答える美少女に僕はポカンとしてしまった。え、これドラマや映画なの?


「私は実は最近、地球のドラマや映画をみるのがマイブームなんです。そんな感じ出ているでしょう?」


 なんだか美少女はうっとりしている。

 ああ、なんだそういう意味ね。

 ……はっ!! もしやそれも、その服も影響を受けていたり?? 何年前、いや何十年前の映画にはまっているの? ていうか地球のドラマとかって宇宙でもみれるんですか??


 混乱していると、僕を縛り上げている宇宙人以外の宇宙人が僕たちの前に出てきて迅速な動きで、ロケットに向かい、何かの機材をご丁寧に頭の上に持ち上げてこちらへ、てってと素早く戻ってくる。僕と彼女の右脇の空間に、クラゲたちがトンカチや木材にしか見えないものなどを使って、どかどか何かを作っている。何を作っているんだ? ロケットに視線を移してみると、まだまだ続々とカメラ機器、照明、衣装用のものなどなどが運ばれてくる。そして気づけばどこかのドラマや映画の撮影セットのような場所が完成していた。


 ってなにこの状況、今からドラマかなにかの撮影でもするんですか? 呆然と口を開いているといつの間にか僕はセットの中央に運ばれ、縛りついていたうにょうにょした手の代わりに腰や腕ごと金具でぐるっと縛られた。それも椅子とセットで。そのため僕は椅子に強制的に座らされている状態だ。後ろを見ようにもうまく体が動かないので椅子がどんな形なのかわからない。頭を後ろに預けてみると背もたれがあった。柔らかくて心地がいい。いや、心地がいいというのはおかしな表現で、まず縛られている時点で居心地はかなり悪いんだが、それでもふかふかしているなと思ってしまうぐらい良い椅子だったのだ。


 しかし、このセット、まるで取調室みたいだな。窓のない狭い部屋(セットなので僕の左側は開いた状態)の空間に机が一つありその上にスタンドライトが一つある。その机の前に僕は座らされている。なんとなくなにをしようとしているのかがピンと来た。おそらく刑事ドラマ的なことをしたいのだろう。


 左に目をやるとセットの下には、三脚のついたカメラの前にヘッドホンをつけたクラゲ、長いマイクを持つクラゲ、鏡のような板(たぶんレフ版と呼ばれる女優さんとかを綺麗に照らしたりする映画などで使われるやつ)を持つクラゲなどなどわらわらいた。


 本格的か! 


 突っ込まずにはいられない。クラゲは完全にスタッフと化している。なんだこれは。シュールだな。

 そして視線を横にずらしていくと隅のほうで椅子に座ってなにやら脚本らしきものを読み込んでいる女の子がいた。前かがみになり小さくなりながら熱心に脚本らしきものをみているので顔どころか体さえもちゃんとみえないが、たぶんいや確実にさっきの服ダサ美少女だ。服ダサ美少女は近くにいたクラゲに脚本を見せ、話し込んでいる。


 本格的だな!! 


 またもや思わず突っ込んだ僕であるが、彼女の姿がしっかり見えたとき、あまりのきれいさ、かわいさに目を奪われてしまった。彼女はザ・探偵といった服装でいかにも探偵が被りそうな帽子を斜めにオシャレに被り、サイドの高く結い上げた金色の髪がのぞかせていて、そのきれいな髪にも目がいくのだが、なんといってもあの美貌である。黒ブチ眼鏡をかけ、一見地味であるけれど、この世のものとは思えないぐらいかわいい。道行く人が絶対振り返るとそう確信するぐらいやばい。ちょっとまともな服を着ただけでこの破壊力。やっぱりあの服が酷すぎたんだよ、うん。でもひかりんも負けてないけどね。そこはファンとして訂正せねばならない。

 

――サファイア様は兼ねてから地球に訪れたら、映画やドラマの主演をやってみたいと常々おっしゃられていました。そして宇宙組織による指名手配犯であるあなたのもとへ地球に行くこの機会を逃すまいと意気込んでそのためヒト型にまで変形して―――


 いつの間にやらセットの中央に入っていたさっきの背の高いクラゲがスケッチブックを片手で見せてきて、およよと青光りしている目から流されている涙をたくさんの手で拭う。

 ああ、なるほどなるほど、本場の地球で好きなドラマや映画の体感をしてみたいってのね。わかるわかるよー。僕も好きなドラマとか映画だったらエキストラでも出てみたいなあと思うもん。臨場感を味わいたいってのわかるよー。

 

 ……ってなるか!! ならないよ!!!

 

 ふつう、その夢ここで叶えようとする??

 仮に犯罪者として連行する僕の前でそれ繰り広げちゃうの???

 っていうかさっきから思ってたんだけど、それなんなんですか。そのスケッチブックみたいなやつ!! 普通にペンで書いてるの?

 

 心で突っ込みを繰り広げていると、およおよとしながら背高せたかクラゲが何か動き始めた。 


―――サファイア様は幼少期からかわいそうな日々を過ごされてきたんです。ここでぐらい羽目を外してもいいはずです――


 今、僕の目は確かにクラゲがスケッチブックにペンで言葉を書いているのを捉えた。スケッチブックのようなものじゃない。あれは確実にスケッチブックだ、用途的に。けれども書かれていたものがみたこともない文字だったので、きっと翻訳もできる超ハイテク機器スケッチブックなのだろう。おお、すごい。僕は囚われていることや犯罪者として指名手配されていることも忘れ、目の前の最新鋭技術に感動をした。

 

「さて、始めましょうか」


 脚本をばっと後ろに放り投げた探偵服の美少女は立ち上がって僕の前に姿勢正しく機械的にやってくる。クラゲスタッフはあわあわしながら、後ろで脚本をキャッチしていた。

 探偵姿の美少女は机にバンっと片手を置き、前かがみになり、至近距離で僕を睨みつけている。

 ああ、この取調室セットの中でまさに尋問を繰り広げようとするのだろうか。予想通りだ。

 あれ? ちょっと待てよ。頭に一つの疑問が湧いてきた。今目の前にいるこの美少女は探偵なのか刑事なのか、どっちなんだ!? 自分がいま危ない目にあわされそうなことより、ドラマや映画好きな僕としてはそっちが気がかりだ。刑事もの? それとも探偵ものなの?! 設定をちゃんとしてくれ!!


 そんなことを思っていると悲劇が起きた。目が焼け死ぬ! 美少女が僕にライトを当ててきたのだ。目の先にまで近づけてくる。ってかそれ、絶対地球製じゃないな!? 見た目は地球のものにそっくりだけど、絶対違う。信じられないほど痛いもん!! 目が充血している絶対今!!! 現在僕は大絶賛悲鳴中だ!!!!


「ちょっと、それじゃあ僕は死んでしまいますよ!!」


 目を瞑りながら、できる限りライトから体を反らして抗議する。しかしライトは追ってくる。


「あれ、でも、ドラマじゃこんな感じ」

「じゃないです!!! そもそも宇宙で本当に地球の観てるんですか!?」


 まあ確かに決め台詞の時にはしてることもあるけどさ、開始して何秒でライト当ててる?! ああ目絶対やばい今、鏡でみたい、目を確認したい。


「ふふふ。私はね、ありとあらゆる宇宙のドラマや映画をみるのが好きでね、この地球ってかなり端にあるから取り寄せに苦労したんだけど、裏ルート使ってまで集めたのよ。ほんと大変だったんだから聞いてくれる? あのね―――」

「そんなことはいいですから!! いいからそれをどけてください!!!」


 楽し気に話す彼女の言葉を強制的に終わらせた。しかしライトはまだ照らされている。


「……仕方ないわね」

 

 彼女はコトっとライトを机に置いた。はあ助かった。いや助かってないのだけど。この後、これから宇宙へ飛ばされそうなんだけど。でもその前に僕の目がピンチ。目を頑張って開いたものの、まぶしくてちかちかして見えない。ていうか痛い目が痛い。今までに味わったことのない痛みだ。酷い。


「ではあなたがいかに極悪人であるかをお話ししましょう」


 彼女の足音が聞こえる。たぶん目の前で探偵か刑事かになりきって、かっこつけて歩いているのだろう。くらくらして見てないけど。目どころか頭も痛くなってきたし、超最悪。僕は前かがみになってうなだれた。だが動いた瞬間縛られている金具で体が痛くなってしまった。うう……。


「我々宇宙組織とは、確認している惑星同士連携して宇宙の平和を保とうする組織です。地球でいう国際警察に似ているかもしれません。あなたに注目したのは宇宙ステーションによる報告からでした。地球へ旅行に行っている宇宙人が戻る予定を過ぎても帰ってこないと。一体二体ならまだしも、何百体、何千体という宇宙人がここ17年、消えていったのです。さすがにおかしいと私は思い、調査しました」 


 目をぼんやりと開くと、ああなんかやっと焦点が定まってきたようだった。それに頭痛も消えてきた。あーとりあえずよかった。けど、どっと疲れがやってきた。眠くなってきたー。眠い眠らせて。


 僕は時折前かがみに倒れそうになりながら、そのたびに痛みが来てはっとしながら頭を上げる。ほとんど耳に入ってこないけど、頑張って起きている。意識はある。


「それがあなたです!!!!」


 びしっとした女の子の声が聞こえ、びくっとして目を見開くと、あろうことか先ほどのライトが目に飛んできやがった。こいつ決めのときにライトをあてりゃいいとでも思っているのか!!? しかも今度は目を見開いてみてしまったから超やばい!! 目が断末魔の叫び声を上げている。いや目だけでなく、声も上げている!!


「とはいっても数週間前のことは覚えていないでしょうから、今日のことから説明しましょう。まず朝のことです。地球時刻6時あなたの家に忍び込んだウオーター星人があなたによって殺されてしまいました」


 絶賛雄たけび上げ中の僕だが、なんとなく言葉は聞こえてきている。くそ、そのライトをどけろおおお!!!


「次にあなたはウオーター星人の仲間からの攻撃をかわし、かつ急所を狙い、殺しました。地球時刻7時15分のことです」


 ああ、やっとライトをどけてくれた。瞼が開かない。くっついたんじゃないかと思う。どうしよ、目を開けたらみえませんでしたとか、真っ暗な世界が僕の世界ですとかしゃれにならない。頑張ってうっすら目を開いてみた。ちかちかするけど探偵服をきている女の子がぼんやりみえる。……視力あった! よかったああああ!


「そして仲間からの総攻撃を避けるため、あろうことか猛獣の獣を使って蹴散らしました」


 ん? 獣? 何の話? 目をこすりたい衝動に駆られながらも見ると、彼女がなにやら考えている顔をしながら、口に手を当てて片方の手は肘を押さえているいかにもかっこつけたポーズをつけていた。


「えーとなんのことだかさっぱり」


 話をほとんど聞いてなかったのもあって、さっぱりわからない。とりあえず僕は猛獣使いではない。


「そういうと思いました」


 やれやれといったような仕草をしている彼女がくっきりと見える。ああ、やっと普通に見えてきた。


 彼女はジャケットのポケットからメモリーカードのような機械を出してきた。そして聞き取れない言葉を叫ぶと、周りの宇宙人よりかは背高せたかクラゲがやってきて、スケッチブックの代わりに今度はラジカセみたいな機器を頭にのせている。そして受け取ったそのメモリーカードみたいなやつを頭の上の機器の上に載せてセットすると、ほかのうにょうにょした二本の手を僕のこめかみに当ててきた。

 するとその瞬間ビリっとしたような痺れが体中に放たれたと思うと同時に脳裏に響く声がした。低い男性の声だった。


―――映像とともに私が説明しましょう――――


 目の前が一瞬真っ暗になった後、何か映像が見えてきた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ