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塗り薬と風呂と復旧補助

ーーー謝罪ーーー

感想にコメントを書いていただきましたtakuzou様、こちらの間違いで感想を削除してしまい、返信ができなくなってしまいました。申し訳ありません。ご指摘いただいた点は順次直してまいります。


ーーーーーーーー

深い眠りから俺の意識が浮上する。

それはある感覚が俺を呼び起こしたからだ。


……なんか身体中がくすぐったい。誰かに触られているような……。


ん、くすぐったい?触られてる?


違和感を感じた俺はゆっくり目を開けると、そこには異様な光景があった。



いつ脱がされたのか、肌着一つ付けていない俺の上半身に村の女性たちがペタペタと緑色の液体を塗りつけているのだ。


「えっと……ナニシテルンデスカ?」


異様な光景を目の前に俺は上手く思考できないまま片言で発音する。

俺が起きたことに気づいた女性たちはニコリと微笑む。


「あら起きたのね、ケイさん」

「なかなかお疲れのようでぐっすり眠ってらしたので、今のうちに治療用の塗り薬を塗っておこうと思いまして」

「勝手ながら、脱がさせてもらいました」



……うん。塗り薬なのは理解(わか)った。


別に女性たちに囲まれるのは悪い気分じゃないし、むしろ眼福です!それに薬を塗ってくれるというのはありがたいよ?


でも……なんか恥ずかしい!

胸板とか脇腹とかペタペタを女性に触られるというのは、女性との接触経験がほぼ無い俺にとって心理的にかなりハードルの高いものだ。


塗り薬は塗らないと効果が出ないというのも分かっているが……とにかく!


「じっ、自分で塗りますから大丈夫ですよ」


思考を再開させた俺はベッドから起き上がって、その場から離れようとする。しかしーーー、


「いいえ!私たちがやりますよ」

「ふふっ、照れてる照れてる〜」

「怪我人なんだから寝てないとダメですよ」

「ケイさんの手では背中とか届かないでしょうし…」

などと言い、俺を(とが)めようとする。


塗ってくれるという親切さはありがたいと思うが、……なんか彼女らの感情に変なのが混ざってないだろうか?


妙に危ない感じがする。

まあ、若い男子という存在が(ひさ)しく居なかったという事もあるだろうが…。


このままではいけないが、しかし塗らせないと彼女たちは解放させてくれないようなので背中だけ塗ってもらい、あとは自分が塗ると言って帰ってもらった。


ようやく彼女らのサンオイルを塗るかのような遊びから解放され、精神的に疲れた俺は着替えると暗くなり始めた外へ出た。


昨夜に襲撃があった村を見渡すと、昼間に何処(どこ)からか運び込まれたのであろう何十本と積まれた丸太が焼失した家々のあちらこちらにある。


その近くには汗をかいた村人たちとコルボがいた。俺はコルボの後ろから声をかけた。


「これは再建用の建築材ですか?」

「ああ、お目覚めになりましたかケイさん。そうです。建設に使う木々を必要な分だけ切り倒す作業を今日中に終えることができたので、明日からは村人全員で焼失した分の家を建てることにします」

「そうですか。すみません手伝えなくて…」


俺が謝るとコルボは大袈裟(おおげさ)に両手を振る。


「とんでもない!ケイさんにはそれ以上のことをしてもらいましたよ。ところで、今日は盗賊からの防衛成功の祝いも兼ねて、先日のように食事会を開こうと思ってましてね。ケイさんも一緒にどうでしょう?」


その誘いはありがたい。俺が作るよりも彼らが作る方が栄養バランスも取れてるし、これから1人で料理する気にもなれなかった。

俺は


「じゃあ、お願いします」

「では食事の準備は整っているはずですから、行きましょうか」

「はい」


先日と同じような夕食会で、昨日のミューリ発見から盗賊を倒すまでの経緯を()かれ、食事を()りながら簡単に説明したり、子供たちと一緒に踊ったりした。


食事会がをお開きとなった後、俺は川の近くにある共用風呂へ向かった。


風呂そのものは男女に分かれていないが、塔の鐘が鳴る時間帯で入浴するのを分けているらしい。


周囲を板で囲まれた更衣室と風呂は決して広くなく、俺は比較的生地が荒いタオルを腰に巻き、風呂場へと入るとそこに石造りの露天風呂があった。


「おぉ……」


俺は思わず声を漏らした。

村の風呂とは思えないほどに造りが見事だ。

それは向こうの世界にあった地元、宮城県の奥羽(おうう)山脈付近にある温泉地と思わせるようだ。


風呂場内は誰もいないようだ。

俺はかけ湯をした後、足からゆっくりと湯船に入る。

湯の温度は丁度良く、ソファに腰掛けるように肩まで一気に浸かる。


「ぷはー、いい湯だなあ……」


この世界で初めての風呂だ。

向こうの世界で学生マンションの1人暮らしをしていた時はユニットバスがあったが、水道代を節約するために湯船に浸かることはほとんど無く、シャワーのみで済ませていた。

久しぶりの温かい湯船が疲れた身体をとっぷりと包み込み、これ以上ないほどに心を(いや)してくれる。


無意識に首を上げると、輝くカーテンと表現したくなるほどの幾千幾万(いくせんいくまん)の星が、漆黒の宇宙(そら)に浮かんでいるのが見えた。


「………綺麗だな」


ビルが立ち並ぶ世界を生きてきた俺はこれほど星が見える景色を見たことがない。

こんな素晴らしい景色を、向こうの世界にあった眠らない街は人工の光によって隠し続けていたのだ。

向こうの世界にいる人々に教えてやりたいくらいだ。


芸術鑑賞でもするかのように星空を見続けた俺はすっかりのぼせてしまっていた。


ーーーーーーーーーーーーー


次の日、俺は怪我の治療中のために木材を運んだり、組み立てたりする事は出来ないがその代わりに建築に必要な設計図製作(この世界の文字などはまだ読むことも書くこともできないため、製図は村人が代わりにやってくれた)や、川の桟橋で魚釣り、建設に参加している老若男女の昼食などを作る調理班の女性陣に混ざって料理をしていた。


どうやらこの村では教育施設そのものがないために製図に必要な計算ができないらしい。

できるのはせいぜい小学生低学年レベルの算数ができるくらい。村長であるコルボは例外のようだが。

そのために数学のできる俺はかなり必要とされた。

また男が仕事、女が家事・料理するという概念がこの世界にもあるらしく、男であるのに料理が出来る点に周囲から驚かれた。


その驚きに対して俺は「旅をしているうちに自然と料理ができるようになった」とだけ答えておいた。


まあ本当は向こうの世界で一人暮らししていたからであるが、そんなことを彼らに話すわけにもいかない。


何十人分の料理を一度に作るのは結構大変だった。


日中は建築設計の計算と調理に尽力し、夜は夕食会で遊ぶという、そんな忙しくも楽しい2日間は過ぎーーーー、



輸送隊が来るという3日目の朝が来た。








こんばんは、作者の大橋リッキーです。


ハードフライト7話を読んでいただきありがとうございます。


今回はヌルヌルシーン(ドキドキするシーンを私的にがんばって作ってみたつもりですが、まだまだ未熟なようです(^^;;))からコールトン村の滞在最終日の朝までを投稿させていただきました。


2000字を目安にしたため、思ったより早く投稿することができました。



さて、お待たせいたしました!

次回こそ、ヒロインと飛行機が登場します。

内容はケイの乗る飛行機が村を離れるまでのシーンにしたいと思っております。


投稿は10/30〜11/5の間に投稿したいと思っております。


7話の内容、ハードフライトに関する質問、ご指摘、感想などお待ちしております。


評価やブックマーク等も付けていただきますよう、よろしくお願いします。


ーーー新作のお知らせーーー


また本日29日の18:00頃に新作【ゾンビな俺と生きた彼女との754日(仮)】(切ない恋とゾンビアクションをメインとしたもの)のプロローグを投稿する予定です。そちらの方も2000字(プロローグは1000文字程度)を目安に執筆します。もちろんどちらの作品もペースは落とさずにします。


そちらの方も読んで頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。



ーー追記ーー

29日19:30に新作【ゾンビな俺と生きた彼女との754日】をを予定通り投稿いたしました。

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