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ニス

作者: みつ

賢一が、ファミレスに着くと、吉永は、もういた。



賢一と、吉永は、普段通り、色んな話をした。もう一人、田原もやってくる予定だったが、田原は遅刻していた。


賢一と、吉永が食事を終えた後に、田原はきた。前もって、遅れそうだとメールしてきたが、かなりの遅刻だった。それでも、田原は、二人の中にスンナリ入っていった。賢一も吉永も、


「遅かったな」と言ったくらいで怒ることもなかった。田原が加わり、話が、また盛り上がっていった。そして、吉永が、


「俺、そろそろ帰るわ」


と言って帰って行った。

賢一と、田原は二人だけになった。賢一が、田原に言った。「さっきも、お前、話してたけど、お前の彼女って、そんなブスなのか?今日もデートで遅れて、お前の話は、彼女の悪口ばかりだろ。よく、そんな女と付き合ってるよな」

田原は、それを聞いて、コーヒーを飲んだ。少しだけ沈黙があった。


そして、田原は言った。

「俺の彼女は、超かわいいよ。お前たちの前で言う、彼女のことは全て嘘さ」


賢一は、それを聞いて笑った。それを見た、田原は携帯を取りだし、待ち受け画面を賢一に見せた。


「俺の彼女だ」


アイドルばりの、女が待ち受けになっていた。賢一は、笑うのを止めた。

田原は言った。


「けっこう前から、お前たちに話を、合わせていたんだよ。




今日の彼女とのデートも最高に楽しかったよ。ここに遅れてきたのは、わざとだ。吉永の話は、正直、あまり聞きたくないんだよ。あいつ、言うことが、いつも暗いし、ネガティブだし悪口が多いからな」


そう言って、田原は席を立った。賢一は、何も言えず、動けず、田原を見ていた。


田原は、そのままファミレスのレジに、自分と賢一の会計を持って行った。


去り際に


「賢一、お前だから、話したんだ」


と言って。


賢一は、考えていた。確かに田原に、あの待ち受け画面の彼女がいても、何ら、おかしいことは、なかった。田原のことは、賢一が一番よく知っていた。そして、賢一は、吉永と田原と同じように友達として付き合ってはいるが実際は、田原とだけ、いる時間の方が楽しかった。





賢一は、色んなことを、考えていた。田原に合わせられていた事実は、特に腹は立たなかった。ただただ、賢一は、あんな彼女がいる、田原が羨ましかった。そう思っていると、携帯にメールがきた。



「お前も早く、俺みたいな彼女をつくれよ」


田原からだった。賢一は、それを見て笑った。なんだか、ジッとしていられない。会計をして、自分も帰ろうと、席を立つ。


(そうだ、会計は田原がしてくれたんだ)


そのまま、店を出た。帰りの車で賢一は、考えていた。


(田原のことを、できるだけ真似てみよう。








俺が好きなように真似て、いつか、あいつを超えてやる!そうしたら・・)



賢一は、そう考えながら、しばらく3人の付き合いは続きそうだと漠然と思っていた。


(了)

登場人物は、全て架空のフィクションです。

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