一番の手柄は、、
アルフがダッと駆け出すと同時に、他の三人も戦闘体勢にはいった。グレヴィリウスは自慢の大斧を振りかざし、ラシェルは素早く呪文を唱え始める。そして、、エヴァンは。チラッとエヴァンの方を見て二度見する。………エヴァーーーーーーーン!!!!何故君はサボっているのかね!?戦おーぜ!そこは!!「僕は盗人だから、戦う必要はない。」マジですか。っってそれは自ら役立たず宣言!?勇者において戦わないってことは致命的ですよね!?人のことけなしておいて自分もなんかいっ!!「脳が腐ってる奴と一緒にしないで欲しいから言っとくけど、ソイツみたいに僕は非力じゃないし、迷子にならないし、魔獣から不意打ち食らって肩なんか怪我しないし、馬鹿じゃない。」あ、あれれれ?誰かさんとスッゴくかぶるんでけど気のせいだよね!?うん。気のせ「それに肩怪我してんのに薪のこと気にするアホじゃない。」…はい。わたしですね。私はガックリと肩を落とした。脳腐った奴って…。腐った…。地味にショックを受けてる私にエヴァンは言葉を続けた。「大体僕がここにいるのは、その脳が腐った誰かさんの護衛の為だっての。」ほぇ…?私は弾かれたように顔を上げた。こ、この毒舌王子が、私の護衛だとぉっ!?ありえなーいありえないない。だけど、実際向かってくる魔獣は全部エヴァンがしとめてるから本当なのだろう。「僕が護衛してあげるんだから、怪我すんなよ?バカリア」ん?今ちょっとデレたか?人の怪我の心配だなんて、、あの毒舌王子が、ちょっと…感動!成長したなぁ。「ちょっ、なんで頭撫でてんの!?キモイ」「いやちょっとエヴァンの成長に感動したから。」「は?」困惑した顔をするエヴァン。だが、右手はキチンと魔獣を倒しているあたり、偉いと思う。ふと、殺気を感じて、キョロキョロとあたりを見渡せばアルフがギロッと睨んでいた。あの睨み方は断じて嫉妬なぞではない。“しっかり魔獣に集中せんかいっ!このあほんだらぁ!”っていう睨み方だ。うん。エヴァンもそれに気づいたようだ。顔に引きつった笑いを浮かべている。まぁ、私は護衛されているようだから、傍観に徹するとしよう。改めて周りを見渡すと、大分数が減っているのが分かる。エヴァンと話してる間(注: エヴァンはちゃんと倒してました)に狩っていたらしい。サボってた間に(注:もう一度言いますがエヴァンはちゃんと仕事してます)。「紅蓮!」魔獣の牙をサッとかわし、アルフが斬り込む。「…ラッツェルカムフェルミート」ラシェルの方は漸く呪文が終わったらしい。バンッダララララッ!!!!あちこちで爆撃音が鳴り響き、爆発が起きた。……全滅っすか。・・・・・ってええええええええええええええぇぇぇぇ!!!!?今までのアルフさんたちの頑張りは繋ぎだったんですね!ショーゲキ!ラシェル強すぎっ格好良すぎです!姐さん!そして、呪文長すぎっす!!手柄を横取りされたメンバーはなんだか不満そうだが、「…俺の獲物。」アルフ気持ちはわからないでもないけど、そんな射殺すような目で睨まんでも。「仕事が減った」顔と台詞があってなさ過ぎにもほどがあるよ!?エヴァン何故そんなに悲しそうなんだ!「……斧に石当たった」あんなバッスバッス魔獣叩き斬ってたのにきにすんのそこ!?結構ちっちゃいことで悩むグレヴィリウス君でした。「負け犬はお黙りなさいな。」フンっとお高く止まるのはもちろん姐さんですね。……つくづく思うこと。このグループメンドクサイ…。