早くも、弱い認定受けました。
ーー「で、何でそんなに弱いの?アホリア。」そんな純粋そうな顔でこっち見るな、エヴァン。てか、さり気なく人の名前にアホとか入れないでくれる!?ライザーの件で私への信頼は地に落ちたらしい。私は最早開き直ることにした。「弱いものは弱いから仕方ないじゃん?」「へぇ?」毒舌王子の額に青筋が立った。ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!エヴァン先輩、笑顔怖いっス。エヴァンは冷たい目で私を一瞥するとアルフに尋ねた。「大体、どうしてアホリア選んできたの?」ごもっともです。私もヒジョーに気になるトコロ。多分、いや絶対、私より周りにいた勇者様の方が強かったよ。うん。投げかけられた問いにアルフは刀を手入れしていた手を止めて顔をあげた。「ん?どれにしようかな、だけど。」ええええええぇ!!!?ま、まさかの必殺奥義神頼みのパターン1"どれにしようかな?"で決めただとぉっ!?どれにしようかな?とは、ど、れ、に、し、よ、う、か、な、て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り、と指をさして決めるアレである。てきとーすぎる。自分で言うのもなんだが、だからこんな結果を招くのだ、と言いたい。かなりの俺様男だと思っていたが、実は結構子供らしい。意外な発見に驚いていると、不意にアルフがこちらを睨みつけてきた。し、思考を読まれた!?思わず冷や汗がタラリと流れる。だが、お咎めの言葉はなかったので、ホッといきをついた。そんな中、ずっと考え込んでいたラシェルが声をあげた。「でも、おかしいですわ。」「何が?」グレヴィリウスが小首をかしげる。「だって、貴女は勇者なのでしょう?」「もちろん。」ラシェルの問いに胸を張って私は答えた。偶然でもなんでも、試験に受かったのだから私は勇者様なのである。「仮にも勇者ともあろう者があそこまで弱いのはおかしいですわ。そう思いませんこと?」弱い弱いって地味に傷つくわっ!だが、強運すぎた試験を思い出し、乾いた笑いを浮かべた。「あはははははは。まぁ、運も実力のうちだし?」ワザと遠回しに言ったが、ラシェル嬢はそれを許さなかった。「つまり偶然受かったのですね。」グハッ。心のダメージ200。他人に言われるのと自分で言うのとでは違うのである。心が痛いぜ。それに追い打ちをかけるようにアルフが言った。「まぁ、とにかくお前は役立たずだから、引っ込んでろ。狩りは俺たちがやる。」うっそーん。私は大きな衝撃を受けた。狩りしなかったら勇者様じゃないじゃん!「囮とかには使ってあげるから心配しないで」エヴァン、何故君は笑顔なんだ!よからぬことを考えてるだろ!絶対!!マグマの上に放置プレイとか、魔獣を釣る為のエサ代わりとか…!そんなのいやぁぁぁぁあ!!!!!だから、その笑顔やめてってば!心の中で悲鳴をあげている私をみて、レヴィリウスは髭をさすった。「アメリア、楽しそうだな。」全然楽しくありませんっ!やっぱり、グレヴィリウスの思考回路にはついていけない。これは楽しいんじゃなくて怖がってんの!新手のイジメですか!?ガックリする私をラシェルは慰めた。「心配なさらないで。馬鹿はどんな時代も生き残るものですわ。」全然慰めてないわっ!私はこれからの行く末を案じて、深い深いため息をついたのだった。誰かこのドS集団からタスケテクダサイ。。。