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「逃げるのぉ……いや〜ん!」  作者: ジェシカ.love
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俺は凍死寸前に助けられた

ホームレス仲間よ、さらばだよ!


しかし


寒いなあ。



俺は地下のホームレスの奴らから


おさらばして



夜中に街をうろつきだした。



あんなやつらといても何も徳にはならない。



奴らから貰った段ボールの紙を



体に巻き付けて


下にはパンツと靴下だけだ。



靴はスニーカーが有ったが




底が破けてしまい


今は裸足だ。



俺は


稲垣太陽 (いながきたいよう)



22歳。



簡単に言えば世の中で悪さをして


取り調べ中に逃げた男だ。



逃げてから一年半になるかな?



記憶も薄れてきたな。



地下のホームレスの中には



有名な証券会社の社長がいたのは驚いたなあ!



「俺はな、大卒でな、某証券会社の社長をしていた。偉いだろう!」




自慢気にホームレス仲間に話していた。




俺は社長ならホームレスにはならねえな。



俺はそいつにタメに話した。



「社長さんならホームレスはしないよな。勿体ないな!」




俺をにらみながら


そいつはこう言った。



「君には分からんだろうなあ。仕事が上手くいけば良いが、ライバルに抜かれた時には


俺の責任だと悩んだ。それからノイローゼになった」


俺はうなずきながら社長の話を聞いていた。



「そして、家族を捨て、会社を捨てた。


今は何の悩みもないから幸せだよ。

後は家族に知れずにこの世からお別れするだけだよ、君は若いのだからここから離れなよ。


逃げてるならヒゲを生やして変装しなさいよ。


俺も気が変われば、先は分からんが……私の名前はな『坂田真太郎、48歳』


縁があればシャバで会いたいなあ。頑張ってな」



俺はその社長の事は気になったが



ホームレスからおさらばした。




12月の真冬の午前一時



俺は不精ヒゲを生やして



変装をして今夜泊まる家を探してさ迷っていた。




ここは何区かな?


何街かな?



さすがにこんな時間に誰も歩いていない。




スナックからカラオケの音が聞こえた。



俺を見たら誰でも怪しむな。




俺は下を見ながら歩いていた。



足は裸足だから道を歩いて行くうちに感覚が無くなっていた。




早く



どこかに入りたい。



犬小屋でも良いから……このままだと



凍死するわ。



貸家が見えて来た。


貸家は平屋で二軒あった。



貸家の中に一軒だけ電気がついている家を見つけた。



俺はその貸家の軒下に身を隠して様子を伺っていた。



中から犬が吠えだした。



犬は俺の存在を知ってか



「ワン、ワン、ワン」



中から声が聞こえる。



『ポール?なぜ真夜中に吠えるんだ?ポー、止めなさいよ。うるさい!」



えーっ?



女の一人住まいかな?




ポールか。



俺の体温はもはや、下がり過ぎている。




凍死するか……この家に入り込むか……一か八かだな。



足は凍っているからか



一歩が出ない。



よーし、


まさか婦警じゃないよな。




俺は凍死するよりこの家に入り込むと決めた。



女は一人だ。



絶対にな。



這いつくばりながら



やっと玄関に着いた。



手の感覚も


もはやない。



それでも最後の力を振り絞り




「ピンポーン、ピンポーン」




中からの



「誰かな?お酒を飲んでるのにさ、ポール、吠えないの。うるさい!」



俺は思った。



しかし、犬は利口だなあ。



「はーい、だあれ?はーいよ」




俺は度胸だして話した。



「あのさあ、寒いなあ。夜中に悪いな!」




女は酒の臭いがプンプンしていた。



「あれ……だあれ?あれ?ヤッチンじゃないの!ヤッチン、会いたかったよ!寒いから入りなよ」




えーっ?



『ヤッチン?』



俺はヤッチンになるのか?



俺は稲垣太陽だけど。



女は俺を見て驚きもせずに



「なんだあ、ヤッチンたら。寒いじゃないよ。なんか痩せない?段ボールの紙を体に巻き付けてどうしたの?


ああ……久美が驚くと思ってね。そとかあ!」




女の名前は


『久美』かあ。


「寒いから、お風呂に入りなよ、それから飲むんだよ」




俺を犬はまだ吠えている。




女は俺を知り合いか?


ヤッチンと勘違いしているアホな女



俺はアホな女に感謝しながら




風呂に入った。



凍死はまぬがれた。






俺は逃げきるよ、いや〜ん?

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