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01「目を覚ました妹は厨二病を患ったようだ」

雑な設定ですが、よろしくお願いします.





―三日前の朝、俺の妹が交通事故にあった。


妹は意識不明の昏睡状態。

何度も、何度もベッドに横たわる妹に呼び掛けても、妹は目を覚まさない。


何故、何故俺の妹が?


いつものように「おはよう」って言って

いつものように「行って来ます」って言ったのに


「ただいま」

その一言、その一言だけはいつまで経っても妹は言ってくれない。


妹に過失があったわけではない。

むしろ原因は相手側のドライバーにあった。

運送屋として働いていたドライバーは、ろくな睡眠をとらずに、長距離の移動を何度も繰り返した。だが、そんな無茶が何時までも続くわけがない。限界がきたドライバーは、意識を夢の中にへと落とした。

制御を失ったトラックは、不幸にも登校中の妹を襲い、そのまま電柱にへと衝突した。


ここで不思議な話なのだが、妹はトラックに轢かれたというのに怪我自体は軽症だった。

だが、頭を強く打ったのか、意識だけは何時まで経っても戻らない。


医者の話によれば、妹はいつ目覚めてもいい状態なのだが、それがいつになるか全く分からないらしい。

その話を聞いた時、母親はその場で泣き崩れ、父親は黙って何も出来ない自分を責めた。


ただ俺だけは、兄である俺だけはそんな話を聞かされても実感が持てずにいた。


だって、こんなにも綺麗な顔で寝てるのに

何時もと変わらない寝顔に見えるのに

妹がいつ目覚めるか分からないなんて信じられなかった。


「……アキ」


俺は今日も妹の眠る病室を訪れていた。

こうして毎日会いにくれば、妹が何時ものように「んー……あと5分」とでも言って目を覚ますのではないかと思ったから。


だけど、妹は目を覚まさない。

言葉に出来ない感情が溢れ出てくる。


これ以上は見ていられない。

そう思って病室から出ていこうとすると―


「……ん、んん……」


「アキ―っ!?」


微かに、微かにだが、確かに妹の声が聞こえた。


「アキ!聞こえるかアキ!起きろ……起きてくれ!」


「……おにー……ちゃん?」


俺は身を乗り出すようにベッドに駆け寄り、必死で妹に呼び掛ける。

意識がまだはっきりしていないのか、妹は震えるような声で俺を呼ぶ。


「あ、ああ!そうだ、俺だよ!俺だよアキ!」


「おにーちゃん……あれ?私は……」


次第に妹の声がはっきりとしてきた。

妹は額を押さえながら、ゆっくりと起き上がる。


「よかった……!本当によかった……!」


「わ、わっ?どーしたの、おにーちゃん。いくら久しぶりだからって…………え?」


俺は感激のあまり妹を抱き締めた。

妹から聞こえる心臓の鼓動の音が、確かに妹は生きていると言ってくれているように思えた。


「っ―!!」


「ぬわっ!?」


だが妹は兄の抱擁が気に入らなかったのか、突然俺を突き放してベッドの上に立ち上がった。

妹は、突き放されて病室の床の上で尻餅をつく俺を無視して、慌てた様子で部屋の中を確認する。


「お、おい。急に立ち上がったりして大丈夫なのか?まだ寝てた方が……」


「おにーちゃん!」


「は、はい?」


そして妹は俺に向かって、聞き間違えなどではなく、確かにこう言った。


「おにーちゃん!!アイツは……!『魔王』は何処にいったの!?」


…………ああ。おふくろ、親父。


どうやら俺の妹は頭を強く打ち過ぎたようだ。




残念、この物語はシリアスではなくギャグのようだ。

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