再会から突然始まる
「久しぶり澪!わー、やっぱり背、抜かれちゃったかー」
「一年でめちゃくちゃ伸びたからな。珠里も随分変わったじゃん」
「そぉ?私、大人っぽくなった?」
そういってわらう顔が、大人っぽくなっていて、更に俺を惹きつける。
「それで、今日は何するんだ?」
「あ、あのね、まずハガキを買いに行かなきゃいけなくて、あとはそのハガキのデザイン。だからパソコン持ってきてもらったの。ネット以外は私、あんまり得意じゃないから……」
なる程。俺の宝物のMACノートPC、そういう用途だったのか。確かに持ってきたよ。ちょっと重かったけど。
「そうだ、場所取りもやらなきゃね。そっちは時間かかりそうだけど」
「ま、それは今度だな。で、まずハガキだろ?じゃあ郵便局……大通りにあったような」
「うん、たしかね。じゃ、行こっか」
珠里は、綺麗な髪を揺らして華麗に方向転換した。
「澪と二人きりって、小学校以来だよね」
郵便局に向かう途中、珠里はそんなことを言い出した。
「そうだね。あの頃は楽だった…」
色んな意味で。
昔はよく一緒に遊んだ。川や空き地や公園、悪戯して怒られたこともあった。まさにガキって感じだったんだよね。その頃から珠里は可愛かったけれど、泥で汚れた顔でニッと笑う珠里は、どうしても「可憐」とは言い難かったんだ。だから気にしてなかったんだけど、中学に入っておとなしくなり、身嗜みを整えて女の子らしくした瞬間、彼女の人気は急上昇。とてもじゃないけど地味な俺には手の届かないところに行ってしまった。
あの頃は、恋に悩むことも、テストで落ち込むこともなかったんだけどな。
「うん……。私の学校であんなことしたら、頭の固い先生達に小一時間説教されそう」
「またあんな風に暴れてみたいって思う?」
「うん。ちょっとあの頃の自分が羨ましい」
みんな、思っていることは同じなのかな。
「あ、ここのゲーセン新しくなってる。澪、あとでプリクラ撮ろうよ」
「あー、いいけどさ、…なんて書くの?落書き」
「いいじゃん、恋人ってことで」
「え!?」
いいのか!?こんなことあって!
「……やっぱり、私なんかとじゃ嫌か」
「いぇ、全然」
「え?」
「あ、いや、…別にいいよ」
「ほんと?じゃあ色々やっちゃうよ!」
い、色々!?や、待て動揺するな俺。冷静に冷静に……!
「……公序良俗に反しない程度にな……」
なんか日本語間違えた気がする。
「そっ、そんな変なことしないって!とりあえずまず郵便局いこう!!」