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同盟を結ぼう

遅くなりました!これから話が動く、はずですww


☆訂正です。

学校名に初期と後半でズレがありました。正しくは


椿=ハート

紫苑=スペード

桔梗=ダイヤ

柊=クラブ

本文はまだ訂正していません

途中奏が手紙を渡しているのはダイヤエースです。彩芽の先輩です。


要するに、13話よりも前で二回ほど学校名が変わってしまうミスがありあした。13話以降は変更ナシです。


こんな重要な所を間違えて本当すみません……

 『手紙配布終わったよ』

文末にはピースマーク。今届いた奏からのメールだ。

 ご苦労様、と返信して、ケータイを閉じた。

 目の前のパソコンが映すのは、背景が真っ黒でゴシックな雰囲気の掲示板。怪しい雰囲気しかしないページだが、とても面白い。

 なにせ、たちばな系列校4校の生徒しかいないんだから。

 ページにはロックがかかっていて、そのパスワードは「4校中最も長い学校名」半角英数。そんなの、桔梗の別名——キネーズィッシェグロッケンブルーメしかない。アルファベットだとchinesische Grlokenblume。ちなみにこの呼び名、桔梗の生徒でさえ暗唱できる人は少ないため、たちばな系列校以外の人なんか知るはずがない。

 元々歴代ジョーカーの誰かが情報収集の為に立ち上げたページらしく、今でも匿名なのを良いことに各学校の作戦やら秘密やらがだだ漏れだった。こんな良い情報ソースを使わない手はない。

 トランプの遊戯は始まったばかりで、まだ書き込みは「今年も始まりましたね!」的なものが多いけど、これだけの人数がいるなら今後役立ちそうだ。

 さて、と伸びをして、タブレット端末に手を伸ばす。

 タッチペンを左手でくるくると回しながら、俺は頬杖をついた。

 どうしようかな。一番最初にどこを狙おうか。とりあえず、去年クラブに負けたダイヤがハートと手を組んで情報共有なんてしたら、スペードに勝ち目はなくなってしまう。なんとかハートとダイヤを対立させなくちゃいけない。

 じゃあクラブはどうだろう。クラブは二年前、当時のジャックをハートに取られて奪還できていない。そちらを奪いつつ、ダイヤから取った人材を手放さないように戦略をたてるだろう。スペードを勝たせるんだったら、クラブと同盟を組むのはいい手かもしれない。

 端末にそれぞれのマークを書き込んで、関係図を作る。

 今回は『神』からハートを勝たせるなと言われている訳で、本当は残り3校で袋叩きにすると楽なんだけど、どこまでやっていいものなのか。

 珠里を殺したくないし、そこまで派手にはやりたくない。明日奏に聞いてみよう。

 さてと、じゃあ次に俺がしなきゃいけないことは。

 スペードとクラブを同盟関係に持ち込ませること、かな。



 「……と、いうわけで、同盟組みませんか」

翌日王宮でそう提案してみた。

「はぁ、成る程、利害が一致してるわけか」

「でもよ、それじゃダイヤを敵に回すことにならねぇか?」

「大丈夫です。ダイヤはハートの敵になるはずなんで」

「……どういうことかな?」

男子三人が首を傾げる中、里谷さん一人が「あ」と声をあげた。

 そういえば、里谷さんは最近髪をおろしてる。元々清楚な感じだったけど、ちょっと雰囲気が変わってこれもこれでいいと思う。でも何があったんだろう。

 「あの……こっちのバンクが佐藤君だってわかってるから……。クラブスペード連合に対抗しようと思ったらジョーカーを手にいれないと……」

「ダイヤは一応、ババヌキのことを知ってるみたいなので」

……嘘。知ってるんじゃない。教えたんだ。

 奏に配って貰った手紙はそういう内容だった。だからハートには配っていない。

 「……確かにこいつの情報処理における能力は、自他共に認める凄さだな」

三笠が言う。ちょっと自慢っぽくなっちゃったかな。

「……一理あるね」

「いやぁ、一理どころか正論すぎる程まっすぐな見解だろうがよ」

今考えれば何でこいつがジョーカーじゃないのか不思議なくらいだし、とキングが笑う。

 「じゃあ、同盟組む方向で。行ってくれるかなクイーン」

「了解です、エース」

里谷さんが冷静な表情で、小さく敬礼した。



 王宮を出ると、廊下に文庫本を持った奏がいた。

 美しい夕日を映した髪は、瞳と同じ朱に輝く。

 「遅い」

明らかに不機嫌そうな表情で睨まれた。そうは言われてもな。

「じゃあ待ってなくていいのに」

「私があんたのご主人様なんだから!」

「——という名目だけど実は寂しがりやの女王様気質?」

「そ、そんなことない。いくら一人暮らしだって、そんなこと思ってない!!」

やけに必死だな、というのが俺の感想だ。

 あぁ、アレだ、おそらくこいつはツンデレとかクーデレとかそっちの部類だな。いや単なる強がりとも言うか。

 こういう奴の対処法は、二次元的にいくならば——。

「……じゃあ俺んちに、今度泊まりにおいでよ」

「え!?いいの!?やった、一人じゃ寂——しくなんかないけどっ!」

……あぁ、やっぱそういうことなんだ。

 うん、こういうのはね、軽く流すのが一番だよ。

 「それで」

校門を出たところで、奏の纏う空気が変わった。

 表情、雰囲気、トーン。

 「今日は、何が決まった?」

彼は、紛いなりにも『神』だ。その一瞬迸る威圧感は、まるで神そのもの。

「あー、同盟結ぶのが決定したくらいかな……」

「スペードとクラブだっけ」

「うん。これで思い通りに行けば、すぐにハートの袋叩きとか出来るんだけど」

「袋叩きか。上手くいくといいけど……ね」

それは、やってみなくちゃわからない。けれど、最善策を尽くしたつもりだ。人事尽くして天命を待つ、ってやつかな。

 ……いや、待ってる場合じゃないかも。



 ダイヤ王宮。

「皆さんっ!ご報告です!」

慌てた様子のバンクがドアを開けて入ってきた。

「スペードとクラブが……同盟を……っ!」

「え…!?」

「嘘……早っ…!?」

同盟を結んだというメールが、スペードから送られてきたのだ。

 同盟宣言や宣戦布告は、施行日から2日後までに全校に知らせなければならない。先程決定したらしい同盟は、締結後5分という異例の速さで4校全てに伝わったようだった。

 「……どうしようかエース」

「……。作戦担当のクイーン、何か意見は?」

「はーい。向こうには澪がいはるし、今回は情報戦になると思いますー。せやけどこちらには誰もいないんで」

「澪……佐藤澪か。そんなに強敵なのか?」

「凄いですよぉ。同中なんやけど、あいつの知識量には舌をまいてました。なんでスペードなんやろなぁ、ちゃんと勉強すればハートかて狙えた筈やで。……あー、せやなくて、要するにとにかく凄いんですわ。もしかしたら今回の同盟も澪の仕業かも知れませんで」

独特の関西弁で勢いよく喋るクイーンは、それだけ言うと溜め息をついた。

 澪を敵にしたくはなかった。珠里は仕方ないと思うし、朔夜は奪えばいい。だが澪は、どうやっても関係を取り戻せないけれどどうしても関係を元に戻したい人物だ。

 好きなのかなぁと、ぼーっと考える。だが、別に珠里が澪に片思いでも嫉妬したりしなかったし、独占欲が湧いてきたりもしない。

 これは友情だ。きっと。恋情ではない。

 「……エース、クイーンとして提案します。ジョーカー略奪なんてしたら、あいつらの思い通りになってまう」

静かな口調で、は彩芽は告ぐ。

「ハートと同盟を組みましょう、エース」










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