表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

9 量産型

栗間

「なんだか一ヶ月くらい宿屋にいた気がするけど毎度おなじみの気のせいですよね。」

あたし

「はい。」

伊藤

「そろそろ時間だよ。県庁行かなきゃ。」

昨日の道を通ってあたしたちは県庁へ向かった。朝日を受けているワリオ城は健康的だ。こんな城から出て来るワリオなら踏み付け一回でで倒せる気がする。

あたし

「作戦は今日なんですよね。なんだか実感が湧かないです。」

伊藤

「栗間さん、ちゃんと指示してよ。壊すったってどうしていいのかわからないから。」

あたし

「なんだか怖くなってきた。失敗したら殺されるかもしれないのに、なにこのマッタリ感。」

栗間

「大丈夫ですよ。ワッてやってガーンすればあぼーんですから。」

伊藤

「んでメインコンピューターをバーンしてボーンね。」

あたし

「てゆかあたしコンピューターのこと分からないんですが。起動の仕方も知らないし。」

「えっ。……マジ?」

伊藤君と栗間さんがどん引きした顔になった。

伊藤

「それ社会人が自転車に乗れないくらいありえないよ。」

あたし

「…しょうがないじゃん。あたしの時代では1000人に1人しかパソコン持ってないんだもん。」

ちょっと見栄をはった。

栗間

「たしか携帯は肩にかけるやつなんですよね。」

あたし

「えぇ、まぁ、そうです。」

伊藤

「じゃあ幸田シャーミンの時代だ。」

あたし

「なんで知ってるんだよwww」

栗間

「では私は自殺した科学者のことを調べてきます。とりあえず勤務しながら様子を伺って、何かあったらテレパシーで声かけてくださいね。」

あたし伊藤

「おk」

ドキドキしながら受け付けに行き、案内のアシモに今日から勤務だということを伝えた。

しばらくして昨日面接したアシモがやってきた。

アシモ

「おはようございます。昨日はどうも。」

あたし伊藤

「どうも。」

アシモ

「じゃあ業務内容を説明するので付いてきて下さい。」

アシモに付いていくと書類が山積みになった部屋に通された。

あたし

「これは?」

アシモ

「アシモオリジナルへの反逆者のリストです。ほとんどの人は今、奴隷として働いています。」

伊藤

「ほとんど?」

アシモ

「特に危険とされた人間は処刑されるので。」

あたし『…くわばらくわばら…』

ほんとまったく一切関係ない話ですが、くわばらの語源は幽遊白書の桑原だと思ってました。かなり本気で。昔からあった言葉だったのね。

伊藤

「コンピューターで管理しないんですか?」

アシモ

「もちろんそうしてるんですが、一人一人のデータの項目が膨大なのと、人手不足でパソコンへの入力が滞っている状態で。だからあなた達にお願いしたいのです。」

伊藤

「え、仕事ってそれだけなんですか?こんな簡単な仕事だったら短時間で終わるはずじゃ…」

アシモ

「私達量産型はその書類を見るのが辛いんです。人間はそれ以上に辛いんでしょうが。」

あたし

「…ん?」

アシモ

「いえ、何でもないです。アシモオリジナルに逆らう人間はそうなって当然なのです。」

あたし

「あなた達量産型アシモはひょっとして…」

アシモ

「私はこれで。作業に取り掛かって下さい。

あなた

「ひょっとしてアシモオリジナルのやり方に」

アシモ

「ここはアシモオリジナルとダイレクトに繋がっている場所だと言うことを忘れないで下さい。こちらはいつでもあなた達を処刑できるんですよ。」

あたしの言葉を遮るようにアシモは部屋を後にした。

部屋には大量の書類とあたしと伊藤君だけが残った。

伊藤

「もしかしたら手下のアシモ達は無理矢理従わされてるだけなのかな。」

あたし

「うん。良心もあるみたいだったね。今だってあたしが余計なこと言わないようにしてくれたし。」

伊藤

「なんかやだな、壊すの。」

あたし

「しょうがないよ。現にこれだけ大勢の人が殺されたり奴隷にさせられてるんだもん。」

この書類の中には栗間さんの家族も混ざっているのだろう。

伊藤

「なんとかならないのかな。てかその前に壊すって言ってもオリジナルに会わなきゃ無理じゃん。どこにいるんだよ。」

あたし

「まぁ、とりあえず仕事進めとこうよ。怪しまれるから。」

伊藤

「うん。」

あたし

「えーと、これを…」

伊藤

「パソコン自体は俺の時代とそんなに変わらないな。楽勝。」

あたし

「…」

あたし

「ねぇ伊藤くん。」

伊藤

「何。」

あたし

「Qのキーってどこにあるの?探してもないんだけど。」

伊藤

「…ここ。」

あたし

「すいません、フヒヒ。」

まったく頼れるピザだ。この問題が解決したらピザを奢ってあげよう。

あたし

「ゆ…」

あたし

「えーと…ごめん、延ばす棒は?」

伊藤

「ここ!」

あたし

「ありがと。ユースケ・サンタマリアンヌ、と。…ちょwwwこれユースケの子孫wwww」

伊藤

「サンタマリアンヌ?外人?」

あたし

「んーん、めちゃくちゃ日本人。ユースケが苗字だったんだ…へぇ…」


「う、うわぁ!!」


突然、部屋の外から叫び声がした。

あたし

「な、なに?伊藤君見て来てよ。」

伊藤君が部屋のドアを開けて廊下へ出た。

伊藤

「あっ!」

あたし

「なになになに?」

伊藤

「さっきのアシモが…」

あたし

「どうしたの?」

あたしも廊下へ出た。

立ち止まる人の間から、さっきのアシモが胸から煙を出して倒れているのが見えた。

伊藤

「まさか、さっきの話のせいでオリジナルに殺された…?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ