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6 伊藤虫

県庁の案内看板がでてきて、栗間さんは車を停めた。するとエレベーターのように車が上昇し、地上の駐車場についた。

栗間

「……検問してからここまで来るのにすごく時間がかかったような気がします。」

あたし

「気のせいです。」

栗間

「いや、絶対一週間くらいかかってますよ。」

あたし

「絶対気のせいです。」

栗間

「忙しかったんですか?」

あたし

「えっと、まぁ、年末年始ですし色々と。すみません。」

栗間

「…」


栗間

「着きました。これが今の県庁です。」

あたし

「うわぁ。」

そこにはあたしが知ってる県庁とは全然違った別の建物があった。

レンガ造りで夜でもないのに暗く、城を思わせるその建物はどこかでみたことがある。そう、これはあの初代ゲームボーイの神ゲー…

あたし

「6つの金貨のワリオ城じゃん!」

栗間

「6つの金貨?」

あたし

「マリオが6つのステージをクリアして、金貨を6枚集めるとワリオに戦いを挑めるってゲームです。1991年製造の。」

栗間

「そのゲームに出て来るワリオ城っていうのとそっくりなんですか?」

あたし

「そっくりと言うかまったく一緒ですよ。すごい。」

栗間

「なるほど。それを元に作られたんですね。この県庁ができたとき、国民はわけがわからなかったんですよ。なんでこんな時代錯誤なデザインにするのかって。」

あたし

「これ考えた人はワリオのファンだったんですかね。」

栗間

「でしょうね。一時期1900年代がブームでしたから。」

栗間

「あ、これを建てるとき妻や娘も手伝ったんですよ。」

あたし

「へぇ!凄いですね。」

栗間

「奴隷としてですが…」

あたし

「…………」

あたし

「…で、ここに就職するにはどうしたらいいんですか?」

栗間

「あれです。」

栗間さんが指さした先には貼紙がしてあった。


「急募 県庁職員

 時間:9時〜18時

 詳しくは担当(アシモ)ま でお気軽にお電話下さい 。」


あたし

「セブンの求人みたいなノリですね。」

栗間

「さっそく電話しましょう。」

栗間さんが胸ポケットから携帯を取り出した。形状は過去のそれとあまり変わりはないようだ。もう小型化のしようがないのだろうか。

栗間さんはしばらく話し、面接の予定を入れてもらったようだ。

栗間

「ではここからはななさんだけで行ってください。」

あたし

「え!栗間さんは?」

栗間

「わたしが行っても心を読まれたら即捕まってしまいます。ムーンコズミックパワーも3分しかもたないので。」

あたし

「えー!いきなり一人は怖いですよまじで。」

栗間

「離れていてもテレパシーで会話はできますから。」

あたし

「でも…。」

栗間

「うーん、佐藤くんを置いてきたのは失敗でしたね。」

あたし

「もう一回仙台に戻って佐藤くん連れてきましょうよ。」

栗間

「無理ですよ、面接は一時間後なんです。」

あたし

「佐藤くんの大切さにいまさら気付くなんて…」

伊藤

「おれは伊藤だぜー。」

なんか小さいのが栗間さんのポケットから顔を出した。

あたし

「佐藤くん!」

栗間

「ぎゃ!虫!」

栗間さんはポケットを叩いた。伊藤くんは動かなくなった。

あたし

「何やってるんですか!今の伊藤くんですよ!きっとポケットに忍び込んで仙台からついてきたんですよ!」

栗間

「え!た、叩いちゃいました…」

栗間

「怖いからななさんポケットの中見てください…」

あたし

「嫌ですよ。絶対潰れてますよ今の…」

栗間

「えぇ〜…」

栗間さんは恐る恐るポケットの中をみた。

栗間

「うわぁ…」

あたし

「や、やっぱり潰れてます?」

栗間

「もぞもぞ動いてる…」

あたし

「とりあえず生きてるんですね。よかった。」

栗間

「気持ち悪いから大きくしますね。」

栗間さんはブリザドを唱えた。伊藤くんは元通りのピザデブになった。もう色々とめちゃくちゃだ。

伊藤

「なにするんすか栗間さん!」

栗間

「ごめんなさい、てっきり虫かと。」

伊藤

「まぁいいや。話しは全部聞いてたよ。俺もアシモに近づいて壊せばいいんだろ?」

伊藤くんはなかなか頼もしいピザだ。

栗間

「そうですか、なら話しは早い。じゃあこれからななさんと面接に行って下さい。」

伊藤

「おk。」


栗間

「ではアシモ潰し大作戦スタートです。」

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