5 ショッカー
栗間さんが言うには、100年後の車はリニアモーターカーみたいに磁気で走っているそうなので全然揺れない。それに地下だから景色が全然変わらず、あたしはうとうとしてしまった。
そういえば昨日は一人でCOM相手にひたすら桃鉄をやっていたので2時間しか寝ていない。
栗間
「まだ長野までだいぶあるので寝てていいですよ。向こうについたら忙しくなりますし。」
あたし
「…ん。栗間さん運転大丈夫ですか。」
栗間
「自動運転に切り替えれば疲れないので大丈夫です。」
あたし
「じゃあちょっと失礼します。」
栗間
「あ、これ付けた方がよく寝れますよ。」
栗間さんがダッシュボードから取り出したのはヘッドフォンだった。
あたし
「あ、どうも。」
今も昔も音が気になって眠れない人は多いようだ。あたしは映画館でも寝れる方だが、せっかくの好意を無にできないので装着して眠る。
……………………………………………………
高校のサッカー部が舞台の夢をみた。
小池徹平
「マネージャー、俺のウィンドブレーカー知らない?」
あたし
「はい。肩のところほつれてたから治しといたよ。」
小池徹平
「ありがとう!あれ?ポケットになにか入ってる。…お守り?」
あたし
「ら、来週の県大会、徹平君が怪我しませんようにって…」
小池徹平
「わざわざ俺のために?マジ嬉しいよ!ありがとう!」
あたし
「徹平君にだけだから他の人には内緒だよ。」
小池徹平
「それって…」
あたし
「///」
小池徹平
「よし!俺、今度の試合でマネージャーにハットトリックをプレゼントするよ!」
あたし
「本当?頑張ってね、徹平君!」
小池徹平
「そしたらマネージャーじゃなくて…ななって呼んでいいかな。」
あたし
「え…。も、もちろん!」
岡田准一
「おいおい、やけに仲良いじゃん。」
あたし
「岡田君。」
小池徹平
「お前には関係ないだろ!あっちいけよ。」
岡田准一
「小池、お前じゃ無理だよ。マネージャーにハットトリック見せてやれるのは俺だ。」
あたし
「え…っ」
小池徹平
「むむむ。じゃあマネージャーをかけて勝負だ!逃げるなよ、岡田!」
岡田准一
「それはこっちのセリフだよ。せいぜいボールと友達になれるように頑張るんだな。」
あたし
「ふ、二人ともやめt」
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うぎゃあああぁぁあああぁ!!!!!!
自分がみた夢が史上最高に恥ずかし過ぎて、思わず絶叫して目が醒めた。
横で運転している栗間さんがビクッと5センチくらい跳ねた。
栗間
「ど、どうしたんですか?」
あたし
「あ、いえ!ちょっと変な夢を見たみたいで。」
栗間
「変な夢?」
あたし
「うへ、うへへ…。」
栗間
「おかしいですね、そのヘッドフォンを付ければその人に一番合ったいい夢が見られるはずなのですが。」
あたし
「これそんな装置なんですか。(めちゃくちゃいい物じゃんwwwあの夢の続きミタスwww)」
栗間
「最近使ってなかったので壊れてしまったようですね。安物ですし捨てましょう。」
あたし
「あ、壊れてるならあたしに下さい。」
栗間
「だめです、未来の物を過去に持っていくと罰せられるんですよ。」
あたし
「え!そうなんですか!でもこれ壊れてるから…」
栗間
「壊れててもダメなんです。捨てますのでダッシュボードに入れておいて下さい。」
あたし
「じゃああたしが捨てておきます。」
栗間
「いや、今の時代は分別とかゴミの日がややこしいのでいいですよ。」
あたし
「分別の仕方なら熟知しております。」
栗間
「そんなわけないじゃないですかw」
あたし
「何と言おうとあたしが捨てます。これは死んだばっちゃの遺言なんです。」
栗間
「変な人ですね、そこまで言うならまぁ…いいですよ。」
あたし
「ぐふふ。」
栗間
「そろそろ長野市に着きます。アシモはいつも長野県庁にいるのであなたにはそこで働いてもらいます。」
あたし
「え!学歴もコネクションも袖の下も県民の血税を着服してもなんとも思わない悪に染まった心もないから県庁で働くなんてあたしには無理ですよ。」
栗間
「アシモは自分に従順な人間しかそばに置きません。なので少しでも反抗的な人間はすぐクビにしてしまうのです。」
あたし
「と言うことは庁員を始め、県議員や国会議員の席はがら空き…むしろ人手不足ってことなんですね。」
栗間
「その通りです。実際に今、国政は機能していません。」
あたし
「じゃあ海外との関係は?」
栗間
「江戸化計画を始めたとき、日本は鎖国しました。」
あたし
「なるほど!…うーん。鎖国したあとの食料問題の事とか聞きたいですがやめときます。」
栗間
「どうしてですか?」
あたし
「この話のつじつま合わせるために、今からモバイルgooで食品の流通のことを調べなきゃいけないからです。めんどくさいです。あと100年後の政治経済のことも深く聞きたいけど知識がないので書くのはやめときます。」
栗間
「書く?なに言ってるのか理解できませんが、それがいいでしょう。なんとなく。」
長野市の看板を通り過ぎたころ、前方にパトカーが停まっていた。
あたし
「?…栗間さん、あれはなんですか?」
栗間
「あ!アシモ団の検問だ!私の心を読まれたらマズい!」
あたし
「あわわ。」
栗間
「ムーンコズミックパワーメイクアップ!」
あたし
「!?(な、なにこのおっさん)」
栗間さんの車は減速し、パトカーの横に停まった。
アシモ団
「イーッ!(免許証を見せろ!)」
栗間
「どうぞ。」
アシモ団
「イーッ!(なになに、仙台の栗間。)イーッ!(俺の目を見るんだ!)」
栗間
「…。」
アシモ団
「イーッ!(お前はアシモ様に従うか!)」
栗間
「もちろんです。」
アシモ団
「イーッ!(お前もだ!女!)」
あたし
「は、はい…もちろんです!」
アシモ団
「…イーッ!(二人とも嘘はついてないようだな。)イーッ!(通ってよし!)」
栗間
「どうも。」
生まれて始めて機敏に動くアシモをみた。あんなロボットがショッカーみたいに動き回るのは気持ち悪い。
あたし
「ふぅ…、ドキドキしました。あたしはともかく栗間さんは現代の人なのになんで心を読まれなかったんですか?」
栗間
「精神にシールドをはったんです。三分しかもちませんが。」
あたし
「なるほど。さっきの掛け声はそれですか。てっきり栗間さん、思考回路がショート寸前になったのかと。」
栗間
「ははは。つい、月の光に導かれ何度も巡り会いたくなっちゃったんです。」
あたし
「まったくもう栗間さんはミラクルロマンスですね。」
栗間&あたし
「あはははははは。」
続く。
ちなみにこれを書いている間にクリスマスが終わりました。
みんなに幸あれ!特にあたしに。いや冗談抜きにマジで。
メリークリスマス。