11 アーマード
あたし
「どうしよう。もう栗間さんしか頼れないのに。」
伊藤
「どっかで捕まってたりして…」
あたし
「\(^O^)/オワタ」
職員
「さっきからどうしたんだい?クリマーサンって?」
あたし
「なんて説明したらいいのか…」
伊藤
「簡単に言えば俺達は未来から来た人間で、今テレパシーで栗間さんに助けを求めているんです。」
職員
「そうだったのか。クリマーサンに早く返事してもらわないとまずいな。」
あたし
「ちょwww柔軟www」
未来人は物分かりがいいようだ。
伊藤
「シッ!」
あたし
「?」
栗間『…ウフフ…』
あたし
「あ!今微かに栗間さんのテレパシーが。」
伊藤『栗間さん!?』
栗間『ウフ…波平ったら…』
あたし『栗間さん聞こえますか!?』
栗間『おや?二人ともどうしたんですか?』
伊藤『何してたんですか。こっちは今大変なんですよ!』
栗間『サザエさん読んでました。昔はカツオくんの方が私より年上だったのに…』
伊藤
「あるあるww」
あたし『サザエさんどころの話じゃないですよ!捕まっちゃいました。』
栗間『え!ホントですか?』
あたし『伊藤君と職員さんの三人で小部屋みたいなところに閉じ込められて…』
栗間『壁を壊せばいいじゃないですか。』
伊藤『無理ですよw』
栗間『アーマードスーツを着てれば簡単じゃないですか。』
あたし伊藤
「うあー。あったねそんなもん…。」
正直、忘れていた。
栗間『着てないんですか!?』
あたし『急過ぎて…。捕まった時に仕事部屋に忘れてきちゃいました。』
伊藤『やっちまった。最悪だ…』
栗間『ど、どうしましょうか…』
職員
「あのさ、俺ハブ?」
あたし達が絶望していると職員さんが寂しそうに言った。
伊藤
「あ、別にハブにしてるわけじゃ。」
あたし
「今ちょっとしたミスがあって大変なんです。」
職員
「みんなでお菓子食べようよー。」
あたし
「空気読めよww」
伊藤
「お菓子?どこにそんなものが。」
職員
「ひよこ見つけたからさ、閉じ込められてるとお腹すくと思って持ってきちゃった。」
職員の手には『東京銘菓ひよこ』の紙袋があった。
あたし伊藤
「あーーー!!それは!!!!」
あたし
「ちょっと中見せて下さい!!」
ひよこの紙袋の中にはアーマードスーツが二着入っていた。
伊藤
「やっぱり。栗間さんがアーマードスーツを入れてくれた紙袋だ。」
職員
「なんだい、これは。ひよこじゃなかったのか…」
あたし
「ひよこ以上に今必要なものですよ!ありがとうございます!」
職員
「頭だけ残して一列に並べるのが楽しみだったのに…」
あたし
「気持ちわるっ!」
伊藤
「あんなに可愛いひよこになんてことを…」
栗間『私は皮をはいで中身だけ食べるのが好きです。』
あたし
「そう言えばひよこの正しい食べ方ってどうなんだろう。あの可愛さじゃどう食べても残酷な感じだよね。」
職員
「全国ひよこ協会のHPに載ってるかも。」
あるのかひよこ協会。世界は奥が深い。
伊藤
「死ぬほどどうでもいいよ!早くアーマードスーツ着ろよ!」
伊藤君がバッとシャツを脱いだ。
あたし
「脂肪wwww」
職員
「脂肪wwww」
伊藤
「うるさい!」
伊藤君は恥じらう乙女のようにそそくさとアーマードスーツを着た。腹回りがピッチピチだ。
あたし
「レンジャーで言ったらイエローだねwwww」
職員
「カレー好きそうwww」
伊藤
「スーツきついから治してくれって言ったのに…」
これはこれで面白い。
あたし
「あ!てかこんなところで着替えられないんだけど。どうしよう。」
伊藤
「いや、興味ないし見ないよ。」
あたし
「まぁいいや、服の上から着よう。」
無理矢理着たらなんとかなった。どうやらフリーサイズのようだ。フリーサイズのアーマードスーツってなんだよ。
職員
「なんかごわごわしてるけどそれでいいの?」
あたし
「大丈夫ですよ、多分。」
伊藤
「ちょっと試してみるか。」
伊藤君が部屋にあったパイプ椅子を持ったら、パイプが溶けたようにぐにゃぐにゃと曲がった。
職員
「うわっ!」
あたし
「すごっ!」
伊藤
「すげー。全然力入れてないんだぜ!」
あたし
「あたしもあたしもー。」
そこら辺にあったボールペンを手にとり、指でつまんでふるふる振った。
あたし
「ほらほら曲がって見えるー!」
職員
「実際曲がってるwwなんて光景だww」
伊藤
「俺だってほら!電卓!」
電卓のボタンを押したらそこにズボズボと穴が空いた。
あたし
「ちょw計算できないじゃんwww」
職員
「わはははは」
栗間『うっうっはだしのゲンかわいそう…』