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プロローグ
「時刻、午前11時59分。これより”メインコア”の接続を開始します」
狭い倉庫の中、腕時計を見つめる私の前に一体の『アンドロイド』が横たわっている。
”彼女”が動くことはなく、まるで眠っているかのようだった。
鏡を通し、19歳になった自分の顔を見る。そのとき、
「あっ」
黒い髪の毛の中、一本の白髪がキラリと光った。
「んしょっと」
プツリと引き抜きじっくりと眺める。
「……この一年、いろいろあったもんね」
白髪を捨て、もう一度鏡に目を向ける。
そこにあどけなさの残る少女はもういない。
今日までの出来事が、彼女の起動にもう一度挑戦する勇気を与えてくれたのだから。
髪を後ろで結び、両頬をパシンッと叩いて気合を入れる。
そして深呼吸して私は言った。
「お願い!起きて!!!」