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妖雑貨店  作者: 妖雑貨店
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プロローグ

幾千の生物が集い、交わり、そして別れる場所。

全ての世界の隣にあり、同時に裏でもある、少し視点を変えるだけで訪れることが出来るこの世界を人々は愛と少しの尊敬を込めて「裏庭(バックヤード)」と呼ぶ。誰もが中立、誰もが平等、人も神も動物も敵対している世界の住人どうしでも、裏庭に訪れたならみんな同じくお客さん。

裏庭でお客さんが守るルールはたった3つ。

1つ、争わないこと

2つ、商品に対価を払うこと

3つ、住人になろうとしないこと

それさえ守れば裏庭はどの世界よりも住みやすくどの世界よりも自由で安全な理想郷。守らなかったらどうなるか、それは守らなかったやつにしか分からないので誰も知らない。お客さんが知る必要もないし、知っているとしたら何故かこの世界に住むことを許された住人達「仕立て屋 マダムキュリー」「海中レストランシェフ オスター」「宝石商オーナー 烏馬(からすば)」「箱庭植物園園長 ラゴラ」「星間ホテル支配人 GM(ジェミニ)」「妖雑貨店 狐田(こんた)」の6人だろうが彼が聞かれても答えるわけもない。知りたければ自分で試してみればいい、と言われるのがおちだろう。だから、難しい事は考えず楽しむ事が裏庭では1番だと人々は言う。

今日も裏庭のメイン通りと名高い1番街はお祭り状態。誰が始めたか分からないパレードで人々は踊り歌い終着点のない行進は何処まででも続いていく。露天の店主もホテルの客もこぞって外に出て裏庭への愛を歌って花を撒き散らす、買い物をしたいだけのお客さんには迷惑な話だがこの裏庭に訪れる客でそんな小さなことを気にするお客さんは中々いないから問題ない。

何せ裏庭では時間だけはたっぷりあるのだから。やはり楽しまなければ損なのである。

話は戻るが、どうしても裏庭の住人になる方法が知りたいなら雑貨店に行けば大切なものと引き換えに何でも売ってくれるらしい、情報でも何でも。混沌と愛に満ちた1番街から少し外れて、人通りもまばらになり怪しい空気の漂いはじめる3番街のどこか、レンガ造りの小道を脇目も振らず駆け抜けた先にその雑貨店はあるとか。

──ある客は、大きな歯を磨くためのブラシを。

──ある客は、特注品の機械仕掛けの腕を。

──ある客は、望んだ国を。

対価はお客の大切な宝モノをたった1つ。

風変わりな服を纏った狐耳の店主が営む、日用品から貴方だけの特別な品物までなんでも手に入る不思議なお店。訪れるコツは、少しの好奇心と道を駆け抜ける勇気。


妖雑貨店(およずれざっかてん)」は今日も営業中。




☆毎週日曜更新です!


単話完結ですが、世界観人物共に連作なので

ぜひ週末は妖雑貨店へいらして下さい。

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