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折々な日常の中で  作者: 仲村遊一


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ツーリング


少し昔を思い出した。




最近、仕事が終わって帰宅してから1人でツーリングに出かけることがある。

仕事が忙しいこともあるが、ただ単にバイクに乗りたいという理由で行き先を決めず適当にバイクを走らす。

幸いにも田舎町に住んでいるので、程よく走りやすい道が近くにあり、マイペースに気分良くバイクを走らすことが出来る。

休みの日に日中ツーリングする時もあるが、その際はバイカーの挨拶「ヤエー」を行うのを楽しみにしている。


この間も夜、仕事が終わってから1人でナイトツーリングに出かけた。

適当にバイクを走らし、見つけたコンビニで休憩する。

暑かったので水分補給をしようと店内に入ると、一番くじの前で学生がたむろしていた。

夜も9時過ぎだというのに集まってみんなでワイワイ騒いでいる。

周りの大人も注意すべきかどうかを悩むほどに騒いでおり、店員さんはどうするかなと見ていると、見て見ぬふりをしていた。

いかにもヤンチャしていそうな学生たちは大声ではしゃいでおり、若気の至りといえばそれまでだが、大人の感覚ではうるさいと言われても仕方ない程にはしゃいでいた。

それを横目に缶コーヒーを購入し、外でタバコと一緒に嗜む。

渇いていた喉が潤っていく。

一服していると先程の学生たちが買い物を済ませ出てきた。


自転車で来ていた学生たちは購入したであろう商品を皆で食べたり開けたりしながら店外でもはしゃいでいた。

そのコンビニは住宅地の近くにあるので、この声量は近所の人にはうるさいだろうなと勝手に想像したが、注意する勇気も無い為、一服を済ませそのコンビニを後にした。


バイクを走らせながら思った。

自分にもそういう時代があったなと。


箸が転げても笑える年頃の時は同じようにコンビニにたむろし、友達などとたわいも無い会話をして帰っていた。

今となれば非常に勿体無い時間の使い方をしたなと感じるのだが、その当時は楽しく、また永遠にこの時間が続くようにも思えていた。

友達との関係も社会に出てからも続くと思っていたし、学生と社会人との違いも頭では理解していても実際のところはわかっていなかったのだなと思う。


もっと勉強しておけばよかったや、バイトでは無く部活動に力を入れておけばよかったなど、今なら感じることや考えられることが当時はわからなかった。

先輩や両親から言われていたことはこういうことだったのか、と感じることが多く、30代を迎えた今になってみれば幾ばくかの後悔を感じることが多い。

あれほど毎日いた友達も今となっては殆ど合わなくなったし、どこで何をしているのかさえわからない。

その程度の人たちを友達と果たして言えるのだろうか。


時間は有限で永遠など存在しない。

エッセイを書いている今ですら過去になり続けている。

青春を謳歌している学生を見て、今という時間の大切さを改めて感じた。


時は戻らない。

後悔の多い人生だが、たまたま立ち寄ったコンビニで見たあの学生たちを見てこれからの人生をある意味見つめ直すいい機会になった。


関わってくれる人たちを幸せにしたい。

そのためには今何が必要でどういうスキルを身に付けなればならないのか。

そのためにはどういう努力が必要か。


あの学生たちにはこのエッセイを読んでもピンと来ないだろう。

だが、数年経った際にたまたまこのエッセイを見つけ、読んでくれた時にハッとすることだろう。


これからの人生、1つでも後悔が少なくなる様、あの学生たちの言動や行動から学び、これからの人生に繋げていきたい。

何処からでも何かを拾って学べる自分でいたい。

漠然とだが、そう思った。


ウカウカしてはいられない。

いつも以上にアクセルを吹かした。

夜道ということもあり、バイクは滑らかに進んでいく。


何かに行き詰まったり悩んだりしたら、また行こう。

あの住宅地の真ん中にあるコンビニに。

ツーリングと評してバイクに跨って。





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