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折々な日常の中で  作者: 仲村遊一


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支えられて


こういう人たちに支えられて生きてるんだと自覚した。




先日、仕事終わりに会社の上司達と飲みに行こうと誘われた。

実際はあまり乗り気ではなく、さらに資格試験間近な為勉強したかったのが本音だが、誘われた以上行くしかない。

これも社会人としての定めか、と自分の中で簡単な言い訳を作りながら、指定された場所に車で移動する。

その場所は会社の近くに最近できたスーパーで、そこで買い出しをし、お店の裏手にある公園で酒盛りをしようということだった。

その公園の片隅には屋根付きのちょっとした休憩スペースがあり、そこでみんなで飲もうという。

いい大人がここで?と思いながらも参加すると言った以上腹を括り、頭の片隅には勉強しなきゃとチラつきながらも只々時間が過ぎるのは嫌なので、流れに任せて楽しもうと思った。


この発想が本当に余計だった。


会が始まり最初の方は会社の愚痴を言い合ったり、たわいの無い会話をしたりしていたが、お酒が進むにつれテンションが上がっていったのか、ただの公園がさながらフェス会場と化した。

こちらは飲んでいないし、なんなら住宅地の真ん中にある公園で苦情が来ないか不安になっているのに、目の前の上司達は全く気にするところか苦情が来るなら来いと訳のわからないことを言っている。

一緒にいるのが本当に恥ずかしくなっていき、楽しむと決めた少し前の自分を心の底から軽蔑した。

会が始まって3時間ぐらいが経過した時、何とかお開きにその場の空気を持っていき、その場所から一刻も早く帰りたかったため逃げるように帰った。


久々に強いストレスを覚え1人では抱えきれないと感じ、会社の中でも仲良くさせて頂いている人に連絡を取り、自宅までの帰り道電話に付き合ってもらった。

会社の愚痴、今回の会の内容、会社内の人間関係など、会社の人間どうし電話の会話だけで誰がどうといった内容が伝わるため、本当にありがたい時間を作って頂いた。

ひたすらに一方的に愚痴り続け、ハッと思った時には1時間が過ぎていた。

家の近くにあるコンビニには着いているのに電話を切るタイミングがわからなくなり、また感情的に喋っていたため相手の方もいつ電話を切っていいのか分からなかったのだろう。

こちらの配慮が足りないことに反省しつつ、お礼を言い電話を切った。


何かでストレスを感じた際にはいつも頼ってしまっている気がする。

離婚問題、人間関係、仕事。

言いやすくまた聞き上手な部分もあるが、本当にいつも間接的に支えてもらっているな、と感じる。

家族とはまた違う支えてもらっているという感覚。

本当は頼りたくなく、負担になっているのを自覚しているので、今年の自分の中のテーマである「自律」といった部分が遠く感じているのだが、弱い人間とも自覚しているので頼ってしまう。

中々自分の中の感情のコントロール機能が向上しないのが歯痒いが、人に迷惑をかけないようこれから一歩一歩向上していこう。

仕事もプライベートも忙しそうにしているのに、ちっぽけな愚痴に夜遅くまで付き合ってもらえるというのは本当にありがたい。

それとまた同時に本当に人間の出来た人なんだなと感じる。

会社内だけでもこういう人に近づけるように、また逆に何かの力になれるように自分も努力していこう。

それに気づけただけでも今回の電話は有意義だった。

こういう人たちの為に自分は頑張れる。

間接的にも直接的にも支えてくれている人たちを少しでも幸せに出来るように。

これからの仕事でのモチベーションを見出すことができた。


あれから数日経ったが、会社内であまり関わる機会が無く、未だ直接お礼を言えていない。

面と向かってしまうと何故が言葉が出てこないのは誰に対してもそうなのだが、殊更自分との距離が近い人ほど照れが出てしまい余計言えない。

口下手で引っ込み思案は本当に大切にしたい人の前では損だな、と感じるのだが、これも自分なので勝手で悪いが理解してもらっている部分かなと思う。

だが、こういう自分とも決別し、しっかりと感謝や謝罪は面と向かってしないといけないなと思う。


人として恥ずかしくない生き方をしよう。

胸を張って正しいことをしていると言えるように。

それもある意味「自律」だろうと思う。


ちゃんとお礼を言えるように頑張ろう。

てか、頑張れ自分。

ちょっとした勇気が自分も相手もいい気持ちにできる。

そしてそんな言葉をしっかりと知っている。


「ありがとう」





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